吾妻連峰


個人山行 sue
【日  時】 2022年10月21-22日
【メンバー】 solo
【天  気】 21日 晴れ時々くもり
       22日 晴れのちくもり
【記  録】 《21日》浄土平7:00 - 鎌沼7:55 - 酸ヶ平小屋8:15 - 一切経山8:40~8:55
        - 家形山9:30 - 烏帽子岳10:50 - 照元山11:35 - 東大巓12:25 - 藤十郎13:05
        - 人形石13:55 - 西吾妻山15:00 - 西吾妻小屋15:10
       《21日》 西吾妻小屋5:20 - 人形石6:25 - 谷内平分岐8:00 – 谷内平小屋9:45
- 姥ヶ原11:05 - 東吾妻山11:40 - 景場平12:45 – 兎平13:45 - 桶沼13:55
        - 浄土平14:15



 久々の個人山行の報告です。今回の投稿テーマは『忘れる』

 以前、冬のグランデコスキー場から西吾妻山に登った。そこからは、東の方に広くなだらかな稜線が延々と続いていた。いつか歩いてみたいと思った。
 冬ではないがその日がきた。

 【1日目】
 浄土平の広い駐車場で車を降りると硫黄の臭いがしてきた。そうだここは活動中の火山なのだ。
 
 駐車場から噴煙が見える

 まずは青く光る『魔女の瞳』を見なければならない。絶対に見逃せない。きれいに晴れているのでいい写真が撮れそうだ。
 が、ない。カメラがない。あわただしく出かけてきたのでカメラを忘れてきている。ショック。スマホで撮るしかない。

 『魔女の瞳』を見に一切経山を目指すがせっかく来たのだから鎌沼経由で行くことにする。登山者の多くは直接酸ヶ平に向かうので、鎌沼はまだ誰も歩いていない。
 
 意外に大きな鎌沼

 霜で白くなった木道を滑らないように慎重に歩いていると前方から単独行のお姉さんがやってきた。
 お姉さんは「五色沼はこの方向でいいですか?」と私に尋ねた。
 私の脳裏には裏磐梯の五色沼が浮かんだ。確かに裏磐梯はこの方向だと思うが、お姉さんの装備は小さなザックだけ。とても行けるとは思えない。
 どこの五色沼だろうと思いつつ私は「ここは初めてなのでわかりません」と言うと、お姉さんはそのまま磐梯山の方に歩いて行った。
 
 酸ヶ平を見下ろす。避難小屋とトイレがある

 酸ヶ平に来ると急に登山者が増える。木道とも別れて一切経山の登りが始まる。火山らしい荒涼とした山肌を登って行くと広い山頂に着く。
 ほとんど草木が生えていないので展望は抜群だ。遠くに本日の目的地西吾妻と思われる平らな峰が見える。本当に遠い。
 
 はるかかなたに西吾妻山(中央奥)

 広い山頂の一角に人が集まっているところがある。行ってみると眼下にコバルトブルーに輝く『魔女の瞳』が見えるではないか。なんと神秘的な色なのだろう、すばらしいと感動していて、はっと気づいた。
 「あっ、これが五色沼だ・・」
 『魔女の瞳』というあまりに印象的なネーミングのため本名を忘れていた。あのお姉さんはちゃんと引き返せただろうか・・。
 
 『魔女の瞳』に改名してほしい

 
 反対側(家形山)から見た『魔女の瞳』は輝いていた

 一切経山を下り家形山まで来ると登山者はいなくなった。そして吾妻連峰の縦走路は続く。

 
 家形山を振り返る。平らな山頂部が屋根のよう

 
 明日通る谷内平を見下ろす

 
 昭元山から来た稜線を振り返る。深い針葉樹林が続く

 
 弥兵衛平 東大巓を過ぎると風景が激変する

 
 東大巓を振り返る。稜線上とは思えないほど広く平ら

 
 中大巓人形石 天元台スキー場への分岐 リフト利用の西吾妻登山者が多い
 
 
 まだまだ湿原が現れる
 
 
 吾妻連峰最高峰西吾妻山頂 まったく展望なし

 
 磐梯山、猪苗代湖が近くなる

 西吾妻山頂を越えるとすぐに西吾妻小屋に着く。今夜の宿泊者は明日下山するという小屋補修の作業員2名と自分の3名のみ。

 
 もう誰も歩いていない木道に寝っ転がってビール

 小屋に戻るとカメラのほかにガスも忘れてきていることに気づいた。なんという失態。もってきているものはレトルト食品ばかりだから火がなくても食えるし酒は冷でOK。でもパックご飯はそのままでは食えなかった。
 火がないとやることもないので早々に寝る。

 【2日目】
 早く寝たのでいつまでも寝ていることができない。とりあえず起きて、シュラフの中で人肌に温めたレトルト食品を胃袋に流し込んだらもうやることがなくなった。
 やることがないのでまだ薄暗い中を出発する。天気はいいが風が強い。
 
 東大顛を越え谷内平分岐までは昨日来た道を戻る。この風景ともお別れ

 
 谷内平 広い湿原に木道が敷かれている。きれいな避難小屋もある

 
 姥ケ原 木道十字路

 最後に東吾妻山に登るつもりでいたが、ガスってきたし、風も強いし、疲れたし、腹も減ったし、東吾妻山はたいした山ではなさそうだし、姥ケ原からこのまま浄土平に降りてしまおうかと思っていたら、どんどん人が登ってくる。東吾妻山から下山してくる人もいる。
 なんでこんな山に登るのだろうと思いつつも、付和雷同人間はみんなのあとに続いた。
 山頂の手前で登山道は針葉樹林から出て階段となった。階段を登りつめて山頂に出て仰天した。そこには予想外の展望が広がっていた。
 2日間歩いてきた山並みがすべて見渡せる。2時間前に歩いていた谷内平が見下ろせる。吾妻小富士の噴火口がのぞける。そして、猪苗代湖、磐梯山、裏磐梯の湖沼群。みんな登って来るわけだ。
 この風景に元気を取り戻し予定どおり鳥子平経由で浄土平に戻った。
 
 
 東吾妻山山頂 磐梯山が標柱に隠れてしまった
  
 
 景場平から東吾妻山
  
 
 兎平から吾妻小富士

 
 桶沼 噴火口に水が溜まってできた

 
 浄土平に帰還

 車で帰路につくと間もなく雨がぱらついてきた。ガスを忘れて暗いうちに出発したおかげで雨にあわずにすんだ。人生塞翁が馬。
 などと思っているうちにまたまた重要なことを忘れていることに気が付いた。今回は下山後に高湯温泉に行くつもりだったのだ。
 魔女の瞳のコバルトブルーと高湯温泉の青白いお湯。いい組み合わせではないか。でももうスカイラインをかなり下ってしまった。引き返す気力もなくそのまま進む。
 スマホで帰宅経路上の日帰り温泉を探していたら会津坂下に1件あった。ナビに従い暗い道をどんどん行ったら、それがまあなんと知っている人しか知らないような所でまさに隠し湯。
 お湯はヌルヌルのアルカリ泉で泉質最高。皮膚病、神経痛、胃腸病等に特効とのことだが、物忘れに効くとは書いてなかった。