Rossboeden@チロル道中膝栗毛,ブツは無事届けられたかの巻


個人山行(なんちゃってテレマーク)
【日  時】2024年2月2日(金)
【メンバー】 M、ゲストU、D夫妻
【天  候】 小雪・無風
【山  域】 チロル
【実録時間】 シュパイヒャーランゲタールダム脇駐車場所【標高1,900m】10:51 -
       ロスボーデン【標高2,195m】11:58 < 昼の憩い > 13:15 - 駐車場所 13:44



 本年最初の突撃は1通の極秘指令から始まった.
 それは,ノルウェーにいる極秘エージェントMからの特命指令から始まった.
 それは,世界秘密通信網「LINE」を介して始まった.
 
 その内容をこっそり教えると「これから宅配便で届くであろう「ブツ」を万難を排してノルウェー在住のD夫妻に引き渡せ!この限りなく不可能なミッションが失敗しても当局は一切関知しない!」というものであった.
 ただ,その指令はいつまでたっても煙となって消えず,今も我がスマホに残っているのが少し気がかりではあった.
 
 その指令から間もなく,確かに我が家に「ブツ」がこっそりと時間指定の宅配便で届いた.
 確かめると透明なパケに包まれた,それは黄金に輝く総重量600,000ミリグラムの「ブツ」である.
 誰にも見られることなくザックの奥底にその「ブツ」を忍ばせ,一人では心細かったので青森在住の我が同級生U隊員も仲間に引き入れて,東京は羽田で落ち合った.
 
 まずは,わざわざ一旦シンガポールへ飛び,あえてノルウェーではなくミュンヘンへ向かう.
 更に用心に用心を重ね,あえて第三国の通常カンガルーのいないオーストリアはインスブルックでD夫妻と落ち合うことにする.
 追跡を逃れるため,念には念を入れてミュンヘンからあえてモーツァルト巡礼を装い,一旦はプラハに向かう.
 その後ウイーン,ザルツブルグを経由し,ようやく昨日秘密のN型山岳会海外駐在隊員D夫妻とインスブルックはトライアンフフォルテの一角でこっそりと落ち合い「ブツ」を無事に引き渡した.
 
 国境を越えるたびに国境警備隊員に怯え,見知らぬ人とすれ違うたびに緊張のあまり顔を引きつらせながらも飛行機や汽車から命を懸けて飛び降りもせず,断崖にぶら下がったりもせず,無事に届けることができた.やれやれ.
 
 で,気が付くと季節は冬,場所は偶然チロルの州都インスブルックである.
 周りを見渡せば白き山,山また山である.
 ミッションも無事完遂したことだし,せっかくなので山スキーでもしよう,ということになり,U隊員,D夫妻との4人で突撃!とあいなった次第なのである.長い!

 
 【駐車場所に向かう】

  当初,移動手段がないので,ガイドツアーに参加しようと思っていたが,D夫妻がミュンヘンからレンタカーでやってきてくれたので,ありがたく車で移動してキュータイスキー場の先のダム脇からSchafzōl(シャフツォル)の谷を自力登山とあいなり,スタートする.

 
 【駐車場所】

 おそらく山スキーヤーのために除雪したと思われる駐車場所に到着.
 既に数台の車が止まっていて,支度をしている人達もいる.
 当初は駐車場所から良く見えるシャフツーレンの山頂に登ろうと計画していたが,雪の状態から緩いところでロスボーデンの谷を目指す.
 ダムの提体を越えるとトラバース気味に高度を上げていく.
 固い雪で登りにくい.
 林道なりに登ったほうが良かったようだ.

 
 【ダムの提体上】
 
 
 【針葉樹林のトラバース】
 
 樹林を抜けたところでシャフツーレンとロスボーデンの谷ルートとの分岐に出る.
 広―い谷底である.
 
 【広―い谷底】
 
 シャフツーレンを登る人が遠くに見える.

 
 【急登の人】
 
 谷底をゆるゆると登る.
 ここも雪が少ないのだろう,水流が出ているところがある.

 
 【谷底を行く.】

 若いD夫妻には物足りないだろうが,年寄りにはこれで十分なのである.
 時間もじかんなので,本日はモレーンと思われる周囲よりも少し高くなったところを山頂とする.
 
 
 【本日の山頂】

 周りの山やまを眺めていると,D夫妻のT隊員が怪しげな動きをする.
 なんとザックから昨日,こっそりと引き渡したばかりの「ブツ」を取り出したではないか!
 衆人環視の山の中で取り出したではないか!
 しかも,それを広げ出したではないか!
 うすうす気づいてはいたが,その「ブツ」はAテント謹製,黄金色に輝くテントの冬張りだったのである.
 そして,このミッションにはもう一つの隠されたミッションがあったのである.
 それはテント祭りである!
 テント祭りを挙行せよ!
 なお,当局は一切関与しない,プシュー・・・・(缶ビール開栓の音)
 当然のこと,我々はめでたくも遠くチロルの地ロスボーデンの谷でテント祭りをつつがなく挙行したのであった.めでたし,めでたし.
 
 
 【テント祭り】
 
 テント祭りの儀を終えて外に出ると,小雪が降り出してきて視界も悪くなっている.
 先行の隊もみんな下山したようだ.
 谷の真ん中でテントフライを張っていたので,心配して声をかけてくれる人もいる.
 我々も下山である.
 
 
 【下山開始】
 
 谷底は3cm程度の新雪が載って,滑りやすい.
 針葉樹林のトラバースは気を付けて滑る.
 
 
 【下山ルート】
 
 案内標識があるのを下山時に発見する.
 このルートで登るのが正規なのだろう.
 これ以上下ってしまわないように柵も付けてある.
 
 
 【案内標識あり】
 
 林道に出ると,すぐにダムの提体が見えてくると無事帰還である.

 
 【スチューバイタールとエッツタールの案内看板】
 
 インスブルックも連日暖かく,昨日は雨が降ったくらいだが,この標高まで上がると雪は十分だが固いところもあって,なかなかに手強い雪ではあった.
 インスブルックのHPには山スキーのコースが地形図とともに紹介されていて,駐車場所も確保してある.
 駐車場所に苦労する我々にとっては,なんともうらやましい環境ではある.


【参考@山スキー】
・インスブルックにはシャモニーのようなガイド組合がないので,個別にいくつかあるツアー会社を選んで申し込まなければならない.
・ツアーガイドは日帰りツアーで一人130€(1€@165円で21,450円)くらいから
・キュータイというスキー場にある会社(Follow Me)は水曜日のみ50€(地元観光協会後援)のツアーを開催していた.
・問い合わせたいくつかのツアー会社は雪崩ビーコン,スコップ,プローブの安全セットを無料で貸し出していた.
・山スキーコースはインスブルック観光協会のHP(Ski touring recommendations for the Innsbruck region)に多数紹介されており,地形図とGPSルートが無料で入手できる.ただし,ほとんどが無料バスが出ていないところなので,自力で登山口に行かなければならない.
・山スキーセット(板,ブーツ,ポール&シール)のレンタルはスタンダード:147€@3日間,プレミアム:165€@3日間というものがあった.
・どうやらテレマークのセットは無いようである.
・国際宅配便は大きさ制限(合計1.6mや長さ1.5m以内等会社による.)があり,1個2万円以上
・ミュンヘン空港ターミナル1(2から歩いていける.)に宅配会社「DHL」のカウンターがあるが,スキーをインスブルックへ送るには60€@1個!
・スキー2セットを一つにまとめて送る作戦は見事に断られた.
・DHLはクレジットカード不可(現地のキャッシュカード又は現金のみ!)
・ということで,今回テレマークの山スキーセット等を全て持参したが,ザック:18.1Kg(コンサートに行くための服も用意),スキー等:7.1Kg,機内持ち込み荷物:7.1Kg,合計32,300,000mgとなった.年寄りには大変辛い!
・今回使用したシンガポール航空の受託荷物の無料重量は25Kgであるが,スキーセットは重量制限の例外となる(今まで利用した他の航空会社も同様)ので追加料金は発生しない.
・ミュンヘン空港ではバルクカーゴとなるスキーは通常の受け取りレーンではなく,一番端のレーンから別に出てくる.今回,その遥か離れた反対側の端のレーンから受託荷物を受け取ったが,スキーが別のレーンから出てくるとは露知らず(案内一切なし!),あわやロストバゲージかと大変焦った.
到着が早朝のこととて見渡しても関係者はどこにもおらず,関係のない唯一開いていた地元ルフトハンザ航空の窓口で聞いて,ようやく床に投げ出されたスキー2個を発見した次第,汗かきましたわ!
・ガーミンGPS端末用ヨーロッパ各地のTOPO地形図は(http://freizeitkarte-osm.de/)から無料で入手できた.
・山用品の値段は,靴やスキー等の一部に安いものがあるが,日本で売っているものであれば,わざわざ現地で購入することはないと思う.
・インスブルックで何軒かの山用品店(Iスポーツのようなところ)を廻ったがガスカートリッジを売っているところはなかった!

【参考@インスブルックでのゲレンデスキー】
・40年前と変わらずインスブルックのホテルに泊まると漏れなくもらえるウエルカムカードがあれば,セルデンとまでは行かないが,周辺のスキー場までのバスや市内のバス,トラム等に乗り放題!となる.
・市内の主要箇所・ホテル前でピックアップして市中心部から歩いて10分程度のホフガルテンの広場で,行き先別のバスに乗り換える.
・今回はスチュウーバイグレッチャーに行ったが,直行バスは08:45にホフガルテンを出発することになっていて,泊まったホテル直近のトライアンフフォルテで08:30にピックアップしてもらうことになっている.バスの止まる場所はホテルに聞いてくれ,とあった.
・そこでホテルの人,二人に聞いたが一人はカジノのところ,もう一人は書いた地図に〇を付けてくれたが,実際にバスが止まったところは付けてくれた○印の道路を挟んで反対であった,
・微妙にカジノに近いところではあったが,私の聞き取り力ではその場所を特定するに至らなかったが,イタリア語を話す先客二人が正しい場所にいたので,とりあえず問題はなかった.
・スチュウーバイグレッチャーからの帰りの直行バスは16:30の一本のみで,行きのバスで「路線バスで帰る場合は590のバスに乗って,途中でトラムに乗り換えて帰ってね,景色がいいからね!」との案内があったように聞こえた.
・年寄りは16:30まで滑っていられないので早く帰ることにしたが,ここでインスブルックに着いたときにスキーバスでの行き方を聞いたときにもらったバスの時刻表が役に立った.
・その時刻表によれば,確かに590のバスの終点は途中のバーンホフまでで,そこでインスブルック行きのトラムに乗り換えることになっている.それ以外のバスはインスブルックとは離れたところに行ってしまうので注意が必要
・当初大勢乗ったスキー客も三々五々途中で降りて行き,そのうちに地元の乗客も降りて行き,そして誰もいなくなって心細くなった頃,途中で日本語でも知っている「キンダーガルテン」というバス停があったのを思い出し,もらった時刻表を見ると確かにその名前があり,すぐに終点バーンホフに着くことが分かり安堵する.
・その終点に着いたが,トラムの駅が見当たらない.バスの運転手に聞くと「左に上がったところ,2分後に来るから走れ!」と教えてくれる.年寄りには大変きつい乗り継ぎである.
・あきらめて次のトラムでいいではないかと余裕で上がると確かにテルフェスというトラムの駅があり,どちらのホームにインスブルック行は着くのだろうかと見渡していると,反対の山側のレールに深紅のトラムが現れ,あわてて線路を横断して乗り込んだ.
・このトラムはインスブルック中央駅まで行くもので,確かに風光明媚なところをのんびりと各駅停車でオリンピックのジャンプ台脇を抜けてインスブルック中央駅に至る.スイスやシャモニーあたりでは登山鉄道と称しているようなもので,時間はかかるがおすすめである.

【参考@旅行】*旅行に興味のない人には時間の無駄です.
○通信関係
・スマホは30日間・12GB・2,560円の現地シムカードをAmazonで買って使用したが,事前に自宅のPCで開通手続きができ,問題なく使えると思っていた.現地でシムカードを取り替えたら,すぐにメッセージアプリに開通の知らせが来た.ところが,実際には開通せず簡単な説明書を見ながら奮闘するも未開通で終わった.問い合わせをしようにもメールが使えない.スマホ使い1年ちょっとの年寄りには無謀であった.
・一番の問題は現地シムカードに切り替えると,なぜか保存済みのドコモメールが開くこともできなくなり,メールの添付ファイル(e-チケット等)が使えなくなった.
・結局,U隊員の助言により現地で「ドコモそのままギガ」(ショートメール等,日本にいるときとほぼ同じ使い方ができる.)の手続き(12日間@9,080円)をした.
・日本よりも駅や列車内等,主要な場所ではフリーWiFiが結構使えるので,仕事等緊急に連絡が必要な人以外,わざわざ海外通信の手続きは必要ないと思った.
○乗り物関係
・席を予約するためにオーストリア鉄道に連絡先のメールアドレスの登録をしていたところ,予約した列車の遅れを逐次うるさいくらいにメールで案内してくれる.
・列車が遅れるのでホテルに電話しようとしたが,そのままギガのスマホでは国際電話の取扱いとなるらしいので公衆電話を探したところ,二人に聞いてようやく駅を出た先の外れにあるのを発見した.日本よりもさらに公衆電話は少ないようだ.
・シンガポール航空のエアバスA350-900のエコノミーで主翼脇非常口後方の窓側席は追加料金が発生するが,満席でも前方から出入りが自由で,かつ,他の人の出入りにも邪魔されることがなく足も思い切り伸ばせるのでおすすめ.
・ユーレールグローバルパスはブラックフライデー(11月の3週間程度の間)のセールで10日/3ケ月のセレクトパスが5日/1ケ月のものとほぼ同額で入手できた.ユーレールグローバルパスは1年間有効なので,このタイミングで買うに限る.
・ユーレールグローバルパスは,いつの間にかスマホのアプリ仕様が主になっていて,従前の紙によるものと違い,駅の窓口に並んでバリデーションをする必要がなく,時刻表も現在のものがオンラインで検索出来て大変に便利.スマホ初心者でも,もはや紙版には戻れない.
・今回ドイツ鉄道(正確にはドイツ鉄道の線路を使う私鉄)の車両内に忘れ物(山用でないジャケットと手袋)を忘れてしまったが,ドイツ鉄道のHPには専用の忘れ物届出ページがあって,ホテルに着いてから手続きしたところ,翌日に受け付けたこと,3日後に見つからなかったとのメールによる残念な回答があった.
・ゲットーのあったテレジーンに行くにはプラハからガイドツアーがあるが高い(10,000円くらい)ので,地下鉄(他の路面電車等共通市内パスの24時間券で780円くらい)とバス(市内券があれば往復1,040円くらい)を乗り継げば行けるが,当然ガイドはない.
○その他
・フリーの地図アプリ「MAPS ME」は事前に至って簡単に必要な場所の地図データをダウンロードしておけるので,道案内に大変便利. 僻地ではグーグルマップよりも詳しいようだ.ただし,テレジーンのゲットー博物館の位置が間違っていて,バスから降りてすぐ目の前にそれがあるのに果てしなく探し回った.そこは町全体が博物館のようになっていて,めったにいない地元の人に聞いてもいろいろと違う博物館を紹介されてしまうのである.
・レストラン等では歳をとったせいか以前より量が増えたのか1品を頼むと確実に食べきれない.二人で1品を頼んでビールを飲むとちょうどよい感じ.
・黒ビールで高名なプラハのビアパブ「U Fleku」の支払いはクレジットカード不可であり,現金を持っていないと大変なことになる!

【参考@モーツァルト関係】*モーツァルトに興味のない人は著しく時間の無駄です.
・モーツァルト自身の指揮によるドンジョバンニを初演した当時のまま現存するプラハのスタボスケー劇場では,月に一回程度ドンジョバンニを公演している.
・フィガロの結婚は残念ながら冬季はやっていないようだ(2024年).
・スケジュールの公開とチケットの売り出しは同時で,1月のスケジュールは8月1日にホームページで公開され,同時に空いている席を選んで買うことがる.日本時間では1日の15時から公開され,席をゲットできた.
・バルコニー席は前の方なら比較的安く,近くで見れる上にもう一人が知り合いならば二人で寛いで,何なら逆立ちしながらでも観劇できるので,おすすめである.
・プラハのベルトラムカ荘は何かのイベントが無いと開いていない.特に冬季は何もやっていないので,柵越しにむなしく覗いて帰ってくることとなる.
・モーツアルトが埋葬されたサンクトマルクス墓地には埋葬されたと推定された位置に記念の墓碑が置かれているが,たくさんある墓の中にそこだけ開けた場所に独立して存在しているので,最初に行ったときはそれなりに探した.同じような人がいるようで,入口にある案内板のその場所は,塗装が擦り切れて下地が出ている.
・ザルツブルグではモーツァルトの誕生日に合わせて1月24日から2月4日まで(2024年)モーツァルト週間が開催されている.
・その間,ザルツブルグ音楽祭と異なり,モーツアルト関係を中心に毎日3回から4回モーツアルテウム大ホールや日本の第一生命が再建に尽力したタンツマイスターハウスのホール等でのコンサートや各種イベントが有料(内容や会場により235€から5€)から無料まで目白押し.
・モーツアルテウム大ホールは柱があって,見えにくい席は20€から25€と大変安くなっていて,現地で実際に確認したところ,1階席では最後列23列9と同15,2階席では4列6がおすすめ.反対に1階席23列8と同14,2階席では4列2は最後まで柱を眺めながら聴くことになる.
・タンツマイスターハウスのホールは小さいので,フィガロ,スザンナのアリア(伴奏はモーツァルトが使っていたフォルテピアノ!)を約6mの至近距離で聞けるのは痺れます!
・魔笛の小屋は従前モーツアルテウムの中庭に置かれていて,よっぽどの幸運かコネが無いと見ることも近寄ることもできなかったが,現在タンツマイスターハウスの中庭に再移築されていて,この2月1日から一般に公開されるとのこと.
・今回はモーツアルト家の手紙のサインについての説明イベントの移動中に勝手に見学して触ってきた!
・無料のイベントではチケットの確認も無く,満員でもなければ自由に参加できるようだ.
・プラハでもザルツブルグでのコンサートでも2割くらいの人は力を入れてドレスアップし,6割くらいの人がそれなりの恰好,残りが普段着に見受けられた.山の格好で行っても断られませんが,その雰囲気を楽しんでいる人もいるようなので,ブレザー等の上着くらいは着ていったほうが無難と感じた.