飯 豊 / 大 日 岳

会山行ku-ninn7
【日時】200681416日(月・火・水)
【メンバー】3
【天候】晴れ時々ガス
【山域】飯豊連峰
【地形図】
【コースタイム】
<8/14>ブドウ沢出合8:18 − 川入切合8:50~8:56 − 五段山9:469:55 − 地蔵山11:32 −
三国岳12:47~13:12 − 切合小屋14:4614:57 − 草履塚15:3515:56 − 本山テン場16:52
<8/15>飯豊本山7:558:00 − 御西小屋8:55~9:03 − 大日岳10:0710:22 − 西大日岳10:4611:05 − 大日岳11:31 − 御西小屋12:34~12:53 − 飯豊本山13:54 − テン場14:13
<8/16>テン場7:52 − 草履塚8:448:47 − 切合小屋9:16~9:27 − 三国岳10:42~11:46 −
地蔵山12:31~12:38 − 五段山13:47~14:03 − 川入切合14:29~14:34 − ブドウ沢出合14:52


 「長いこと山に登ってきたが、いま一度、飯豊を全山縦走したい。それをするには今夏しかない!!」と言う会員がいて、お盆過ぎに決行されることとなった。全山縦走だと3〜4日はかかるので荷(酒?!)は重くなるだろうし、交通手段も大変だろう。ここは私たちが助けなければ、と、勝手にサポート隊を編成し、お盆に荷揚げをしておこうと話しがまとまった。切合、御西各小屋に置いてくることにしたものは、ビール、日本酒を中心にレトルト米、丼もの、酒の肴などを2泊分。私たちだけが盛り上がり、自己満足的ありがた迷惑だろうな<Tポート隊となった。さて、入山をどこにするか…。大日杉、弥平四郎コースは林道が途中で寸断されており、車が奥まで入れないそうだ。小白布沢コースは来年まで一般車進入禁止。少し長いけど、標高差の少ないブドウ沢出合から登ろうということになった。

 8/14 メンバーは3人。某スポーツ店推奨の顆粒サプリメントを3人して飲む。誰でも馬並みのパワーを期待できるのだそうだ。荷揚げ品もあるので重荷となるが、馬パワーで登っていく。天気は高曇りなのだが、相当に暑い。五段山で豊栄山岳会の人たちに会う。大日杉から登ってきたそうで、4WDだとなんとか駐車場まで入れるそうだ。剣ケ峰を越え、三国岳着。やはりお盆で、人が大勢休んでいる。今日は切合までなので、ゆっくりと大休止することとなる。私は馬パワーが効いているのか非常に元気なのだが、2人がイマイチ疲れ気味のようだ。

 15時前に切合着。トイレの新築工事が進んでいる模様だ。ゆっくりと宴会ができるとほくそ笑みながら、テントを…と思ったら、テント場に縄が張ってあり進入禁止となっている。「?」「すいません、テントを張りたいのですが…」「あっ、テント?今年ね、トイレ工事でテントはご遠慮願っているの」「??」「小屋の素泊まりか、本山まで行ってテントを張ってもらえる?」「???…お、お金がないの」「それだったら上だね。ここから2時間だよ」「????」。ヒョエ〜ッ、やっとここまでたどり着いたのに、これから2時間もぉ〜。でも仕方がない、素泊まりするお金がないのだもの。

 ゴールだと思っていたところが、ゴールでなくなった。緩んだ気持ちを引き締めるということは、大変なことだ。草履塚の下で30名ほどの団体とすれ違う。満員の小屋で1泊するのだったら、頑張って行き、上でテントを張ったほうが天国だ!と自分に言い聞かせながら登る。ガスも大分濃くなり気持ちが焦るのだが、足の進みは遅くなっていく。途中で荷物をやり取りしながら、なんとか暗くなる前に本山のテン場に着く。急いで水を汲みに行き、テントを張る。ひとりが食欲がないと横になってしまったので、2人で静かな宴会とし、そそくさと寝る。

 8/15 昨日より天気は良く、快晴の朝を迎えた。未明からガサゴソとうるさかったので、自然と早く起きだす。山中では夜遅くまで騒ぐのは断然悪いということは分っている、だが、朝早くの行動は何時だって許されてしまう。昨日具合が悪かったメンバーも一晩寝たら回復したらしく、ビールを飲んでいる。昨晩食べなかったメニューを食べながら、ゆっくりと朝を過ごす。

 本山からは360度の展望。5月に登ったクサイグラ尾根も目の前に見える。雪の急斜面だった尾根もすぐ分かる…あの斜面を登りあげても、まだ、より濃いヤブこぎが続いたんだよな…懐かしさと苦しさがよみがえってくる。ひとりが下山するので、本山で別れ、御西小屋へと向う。高山植物が群落をなす、たおやかな尾根上の稜線漫歩を楽しむ。特にマツムシソウが素晴らしい。こんなに群生しているのを見たのは初めてというぐらいに咲き競っている。途中で会った人が「今年はマツムシソウの当たり年だ」と教えてくれた。でも、このマツムシソウ、意外に知られていないらしい。「この紫の花はなんていうのですか」と何人かに聞かれた。


  <マツムシソウの中を行く>          <新築された御西小屋>


御西小屋は新築されていた。以前の小屋より一回り小さくなったような気がするが、トイレも小屋の中にあり、快適そうな小屋になっていた。管理人さんに1泊分の酒と食料を預け、大日岳に向う。大日岳への道のりも花々がすごい。5回目の大日岳。これまで一度も展望を得ることができなかった。いつも道標にタッチして山頂を後にしてきていた。ガスが湧き始めてきていたので、やはり今回も無理だという気持ちで山頂直下の急斜面を登る。山頂…からは、大展望が得られた。新潟の街まで見える。初めての展望、登ってきてよかったと思った。

 時間があるので、西大日岳までピストンすることにする。大日岳を越えると誰もいない静かな世界となる。山頂も同じ、自分たちだけの静かな空間をもてる。ふと、飯豊川を見下ろすと、ヘリが低空飛行している。「県警のヘリかしら、天気が良いので訓練飛行をしているんだよ」なんて、話していた。

 大日岳を登り返し、御西小屋への登りにかかるとガスの中に入ってしまった。視界ゼロの中の登りが続き、とてつもない長さに感じる。風も強くなり、花々の写真を撮りたくても撮れっこない。時間があれば、十走路を天狗の庭あたりまで遊びに行こうなんて考えていたが、即座にパス。テン場へと急ぐ。

 昨日と違い余裕の時間でテン場着。テントをより風が当たらない所に移動したり、唯一残った大切なビールを冷やしたりして、時間を過ごす。飯豊はお盆頃からはもう秋風が吹き出す。外での宴会も長くはできなかった。


<西大日岳の三角点と北股岳方面>      <今夏はマツムシソウがすごい>


8/16 夜半過ぎに雨が降り天気が心配だったが、高曇りの天気となる。途中、切合小屋に1泊分の食料等を置いておく。今日縦走するメンバーが登ってくるのだから、もしかしたら剣ケ峰あたりで会えるかしら…なんて考えていたら、三国小屋で待っていてくれた。川入の民宿で1泊し、早朝に小白布沢コースを登ってきたという。そしてもうひとり、弥平四郎コースからビールを持って上がってきてくれたメンバーがいた。弥平四郎の林道は応急処置でなんとか置くまで入れるようになったらしい。冷たいビールが飲めるなんて考えてもいなかったので、ラッキーである。1時間ほどいて、また20日の日曜日の再会を約束し、おのおののコースへと分かれた。

 上部は涼しかったが、五段山あたりまで下ってくると、暑さが増してくる。最後の力を振り絞って(オーバー?)、車へと戻った。途中で大日杉への林道を偵察に行く。林道に入ってから半分ぐらいの距離からだろうか、林道の真ん中が深くえぐれている。7月の海の日の連休の大雨で水が洪水となり、道を走ったのだろう。水はとてつもなく強く、そして怖い。わだちの上をタイヤがうまく乗っていれば良いのだが、いったん外れると車がエンコしそうだ。秋にはいつもこのコースから入っている。それまでに直してくれるのだろうか。

 初日に飲んだ馬パワー、効果はあったのだろうか?ひとりは足に痙攣を起こし、体調は散々だったようだ。ひとりは可もなく不可もないといったところだろうか。私はどうだったのかな?飲んだ人みんなに効くという馬パワー、中高年の弱った体には少し刺激が強すぎるかな、特にお腹のね!ということにしておこう。

帰宅しても西大日岳で見たヘリが気になっており、新聞を捜し読みしてみた。飯豊川の沢登りでの遭難があったということが記されていた。