唐  松  岳

会山行ku-ninn6
【日時】2006112日(日・月)
【メンバー】2
【天候】1日…晴れ、2日…雪
【山域】北アルプス
【地形図】白馬町
【コースタイム】記録なし


 2006年の幕開けは快晴だった。日本海側で元旦に晴れというのもめったにないことだ。明日は下り坂になりそうだし、今日できるなら山頂をピストンしたい、そんな思いで新潟を出発した。

 八方尾根スキー場からスタートする。ゴンドラからリフトを2回乗り継ぎ、八方池山荘に行く。ここで標高1850m弱、時間は10時を回っていた。ルートはほぼ夏道沿いなのだろう。山頂まで標高差1000mほど、コースタイムにして4時間くらいだろうか。第3ケルンまでは広い尾根の雪原が続く。翌日の荒天のことを考えて、念のため赤ポールを数箇所差しながら登る。スキー場を抜けると人がぐっと減り、山に登っていくパーティーは2、3組ほど。思っていたよりもずっと少なかった。天気はこれ以上ないくらいの晴天、風も無風に近く、とても厳冬期とは思えない。

 テン場は下ノ樺のあたりが最適だそうだ。行く尾根の中でダケカンバが林立している場所がある、そこら辺で幕営を…と考えながら歩いていたら、ダケカンバの林の中に前日幕営したのだろうか、ちょうどテントを張る大きさにブロックが積んであるのではないか。これはラッキーとばかりに自分たちもテントを張り、空身で山頂をピストンすることにする。時間は押し迫っていたが、チャンスを最大限に生かしたかった


 <下ノ樺のテン場>                  <八方尾根を行く>      

上ノ樺を越え、丸山ケルンを通過する。このあたりも広いので間違えやすいのだろう。今冬は早くに大雪が降ったので、尾根上は雪が多いいのかもしれない。ガレ場はほとんど雪に埋まっていた。雲が少しずつ広がり始め出していた。山頂に着くまで大丈夫なのだろうか…冬の剱岳を見てみたい、その一心で登っていた。

 尾根を乗っ越すと主稜線で、目の前にはドデ〜ンと大展望が広がった。風は強いが、歩けないことはない。冬の北アルプスではそよ風の部類になるのだろう。15時前に山頂着。360度の展望、まだ青空も広がっている。剱岳も目の前だ。強引に登ってきて良かった。この時季、そして、この標高、もう二度と登れないかもしれないもの。

 下りは時間との競争だった。途中、私たちと同じ山頂ピストンのパーティーにすれ違う。北アルプスの中では登りやすい山だろうに、すれ違うパーティーは少なかった。ここ数年お正月の北ア山行をしているが、今年が一番静かな山となった。十分明るいうちにテント着。明日は下るだけなので気が楽になり、夜中も起き出してガサゴソしていた。

 翌日は朝方から雪。稜線上は吹雪いているかもしれない。何パーティーかが登っていく。昨日のトレースは消えてしまっていたが、その人たちのトレースをたどる。念のため差してきた赤ポールが心強い。スキー場近くまで来ると雪は小降りになり、スキーヤーがあふれていた。

 午前中に下山したので、新潟まで下道で帰ることにする。そのかわり上越での食事が鮨となった。山といい鮨といい、大満足、大満腹の正月だった。来年の正月はどこに行こうかなあ。


 

<唐松岳山頂>               <山頂から小屋に下る>

今冬、唐松岳で大きな遭難事故が2件あり、死亡者も出た。ある程度の標高までリフトで行き、比較的短時間で登頂できる唐松岳。条件さえ良ければ日帰りピストンもできるが、いったん荒れると猛烈な厳しさとなるのだろう。改めて、自分たちが恵まれていたと実感し、これからの山行のためにも自然には謙虚であれという初心に帰らなければと思った。