飯豊・クサイグラ尾根

会山行ku-ninn3
【日時】2006520-21日(土・日)
【メンバー】4
【天候】<5/20>雨→曇り<5/21>晴れ
【山域】飯豊山塊
【地形図】飯豊山・長者原
【コースタイム】
 <5/20>雨→曇り 温身平7:06816mピーク8:251088mピーク10:42-岩場11:211550m幕営適地地点14:17~14:43-はい松ヤブ15:32-烏帽子からの雪渓16:21-烏帽子岳18:29-カイラギ小屋18:56
 <5/21>
晴れ カイラギ小屋8:05-北股岳8:30-門内小屋9:17-地神北峰10:32西俣ノ峰12:52~14:21-梅皮花荘16:00


 5/20 天気は回復傾向にある…そのことを信じて決行した。新潟から出てくる時はどしゃ降り、だが、温身平から出発する時は小雨となっていた。温身平から橋を渡り、すぐの尾根に取っ付く。尾根上に道はしっかりと付いていた。だが、816m1088mのピークを越えるごとに道形は薄くなって、ヤブが濃くなっていき、距離も稼げない。この先からは雪が広がっているのだろう、そんな期待が何回も裏切られ、延々とヤセ尾根が続いていくだけだ。雨は止んでおり、ヤブがなければ雨具もいらなくなっている。3ピッチ半、4時間以上も歩いたところで、フィックスロープが張られている岩場に着いた。思い出した!10年以上も前にこの岩場まで日帰りで来たんだ!そうそうこの岩場だった!!なんて感慨にふけっている時間もなく、どうにかこうにか泊りの荷で岩場を通過する。しかし、まだヤセ尾根、ヤブこぎは続く。私が想像していたクサイグラ尾根(10年前のことは岩場以外まったく記憶になし。山菜を採って楽しかった思いだけ残っていた…)はどこにいったのだろう。快適な雪渓登りはまったくなし、こんなところではテントも張れない、そして、気持ちばかりが焦っていく。

 

<這い松のヤブ、遠方は烏帽子岳>   <烏帽子岳への雪渓登り、後ろはダイグラ尾根>

6ピッチ、7時間半も歩いたところで、幕営適地といわれる雪の上に出た。ダイグラ尾根のノコギリ歯が真近に見える。行く手には雪の急斜面が迫っている。幕営するにはここしかないだろう。時間は15時前…どうしよう。雪上の幕営+水作り+翌日の行動<<<小屋泊+水場+翌日の余裕ある行動、比べれば後者のほうがいいに決まっている。重い腰をあげて、200m強の雪の急斜面を登る。これからは雪の上だから、距離も稼げるだろう……甘かった。よりすごい這い松の混じったヤブこぎが待っていた。それにプラス、背より高い根曲がり竹の林も通過していく…這い松で振られ、根曲がり竹で滑り、疲れと焦りのイライラ感がピークに達し、爆発寸前のところで、烏帽子岳から伸びる雪渓に出られた。温身平からすでに9時間は経っていた。

最後の力を振り絞り、日没と競争して歩く。天気は十分に回復し、青空が広がっている。烏帽子岳を通過し、小屋に急ぐ。夏道があるって素晴らしい。ありがたさをしみじみと感じる。歩き始めて11時間50分。なんとか、電池なしでカイラギ小屋着。さて、入ろう!と思ったら、扉が開かない???。2階から入ってみると、冬期間、扉がキチンと閉まっていなかったらしく、雪が吹き込んで開かなかったのだ。雪を削って出入りできるようにする。水汲みに行き、貸切の小屋の中でテントを張る。テントの中は暖かで、湿った衣類もすべて乾き、快適な一夜となった。

 5/21 快晴になった。ゆっくりと朝寝をし、出発する。縦走路は北股岳の登り、扇の地神あたりに雪が残っているくらいだった。どこのルートを下るかでもめたが、西俣ノ峰ルートを通ったことがないメンバーがいて、そちらを下ることにする(私はもうヤブこぎをしたくないので、梶川峰を下ろうと言い張ったのだが、簡単に却下された)。

地神北峰から縦走路を少し入ったところで、西俣ノ峰に続く尾根に入る。最初は大きなカールだが、雪の急斜面を下ると尾根上が顕著にわかるようになる。天気は申し分のない快晴で迷いようがない。左手には東俣川を挟んでの朳差岳がド迫力で迫っているし、真正面の行く手には枯松山がピラミダルでそそり立っている。雪はまったりと付いていて歩きやすいし、展望もよい!と反対したことなど忘れ、感激しながら下る。途中、多少のヤブこぎがあったが、ほとんど雪の上を快適に歩き、西俣ノ峰着。快晴、大展望の中の昼食、最高のひと時だった。西俣ノ峰から稜線を右方向にはずれる。少し下ると雪もなくなり、夏道になる。西俣ノ峰までは大分登られているらしく、しっかりとした道だ。途中で山菜なんかを採る余裕もあり、1ピッチで梅皮花荘着。飯豊山荘に続く林道から、山スキーヤーがスキーを担いで続々と戻ってきている。山スキー日和だったろう。

 

     <西俣ノ峰ルート、前方は枯松山>      <東俣川を挟んでの朳差岳>

 帰宅してから地図をもう一度よく見てみる。クサイグラ尾根はヤセ尾根で長かった。よくこんなにも歩いたと感心するばかり。でも、このぐらいに細い尾根だったら雪の付きが悪いだろう……ということを、読図せずに行ったのかしら、無知とは恐ろしいし強い!!と感心、いえ、反省した山行であった。でも、それにしてもクサイグラ尾根は長く、ヤブはすごかった。疲れと焦りと読みの甘さで私の力は限界に達していた。だからこそ、いつまでも心に残る山、ルートになっていく。

もう多分泊まりの荷では行かないだろう。でも、もう一度歩いてみたい。誰か、私の泊まり装備をカイラギ小屋に上げてくれないかしら、と本気で思っている。