文三郎道〜赤岳

個人山行ku-ninn16
【日時】200711-2日(正月)
【メンバー】3
【天候】
【山域】八ヶ岳
【地形図】
【時間記録】
<1/1・晴れ> 5:00新潟 − 10:00美濃戸口 − 10:1510:23デポ地 − 10:55美濃戸 − 11:4812:00小休止 − 13:32行者小屋テン場
<1/2・曇り&ガス> 8:04行者小屋 − 9:00稜線分岐 − 9:24赤岳 − 9:47分岐          − 10:2412:27行者小屋 − 14:0014:12美濃戸 − 14:50美濃戸口


「雪の赤岳に行ったことがある?」正月山行のことを話していた時に聞かれた…???赤岳って八ヶ岳の?八ヶ岳なんて15年ほど前の晩秋に南から北に全山縦走した、それしかない。その時の2泊3日はすべて荒天、プラスなぜか思い出といったものも全くといっていいほど残っていない。だから雪があろうとなかろうと行ったことが無いというに等しいのだった。だからか、今年は赤岳に行くことになった。

 元日は昨年に続き晴天。松本付近からの北アルプスも輝いていた。小雪なので車が林道奥の美濃戸まで入るかも?!とチェーンを付け頑張ったが、途中でリタイア。根性なしの車だ…と思っても仕方ない。ザックを置いて、美濃戸口に車を戻しに行く…といっても私は待っていたが。美濃戸には4WD車ばかりが3、40台止まっていた。4WD車のありがたさを感じた瞬間であった。

 天気は申し分ない快晴。雪は例年、特に昨年より少ないらしい。少ない雪が固まり、アイスバーンと化していたが、登りにはアイゼンは必要ない。さすがは八ヶ岳だ、年越しを山中で過ごした大勢の登山者にすれ違う。私はといえば、もしかして昨年と同様に今日中に赤岳ピストンできるかも…と高揚した気持ちで歩いていく。途中の小休止で厳冬期に2回入っているメンバーの「行者小屋はもう近いな」との一言で私の気持ちの中では当日アタックは揺るぎないものとなっていた。

 歩いても歩いても着かなかった。私の中では小休止から4〜50分、13時前には余裕で行者小屋着のはずであった。輝く赤岳を真正面に広い河原を歩き行者小屋に着いたのは、近いと言われてから1時間半も経った頃であった。赤岳当日アタックは諦めなくてはいけない時間になってしまっていた。

 八ヶ岳の主稜線を見上げる小カール上に行者小屋とテン場はある。今日は昨日よりテント数が大分少ないようだ。私たちは昨日の跡にテントを張り、陽に輝く美しい山々を見ながらの宴会となる。この時季にしては暖かいのだろう。夜になっても無風、月が大きく浮かんでいた。

 翌朝はガスの中。とりあえず登ってみようと出かける。雪の急坂を登り終えるあたりから風が出始める。強風のため主稜線直下で引き返した人たちに会う。視界は50mほど、風は分岐あたりで風速15mもないくらいだろう。気温がさほど下がっていないので凍てつくといった感じがしない。アタックを諦めて戻るほどでもなかった。

 赤岳の山頂はそれほど風が強くなかった。昨日は青をベースにしたカラーの世界が広がっていたが、今日はモノクロの世界だった。何も見えない山頂…やはり昨日無理してでも来れば良かったか…不思議にそうは思わなかった。冬の晴れは、もちろん良いに決まっている。でも、荒天の中の標識しか見えない山頂、そしてその山頂を幾度も振り返ってみる下り道。なぜか、その孤高の山頂との相対、そして下った後の何ともいえない安堵感も捨てがたいところがあるのである。

 下りは早い。夏道のはしご段などが出ていなかったので、雪の上をスタスタと下って来れた。行者小屋で昼食兼大休止。ガスは上がり始め、出発する頃には赤岳も姿を現してきた。行者小屋からはアイゼンを外した。それが、雪があるところは良いのだが、下るにつれアイスバーン化して大騒ぎ。ツルツル滑り、山頂直下よりも危なかった。昨日と比べ、静かな登山道。八ヶ岳本来の冬に入ろうとしているようだった。


 <行者小屋に向う>


<行者小屋のテン場・赤岳が輝いている>


<文三郎道を下る>