黒部源流〜雲ノ平

会山行ku-ninn31
【日時】2007年8月12-14日(日〜火)【メンバー】2人
【天候】晴れ
【山域】北アルプス
【地形図】
【時間記録】
 8/12(日) 新潟5:00 = 折立10:08 − 小休止11:09〜11:17 − 三角点11:44 − 小休止12:20〜12:27 − 五光岩13:02 − 太郎平小屋13:38〜13:44 − テン場14:02
 8/13(月) テン場5:40 − 太郎平小屋5:57 − 薬師沢小屋7:34〜7:45 − 赤木沢出合9:28 − 小休止 9:38〜9:50 − 五郎沢出合10:55 − 祖父沢出合11:11 − 小休止11:19 〜11:30 − 小休止12:48〜 12:54 − 夏道出合13:55〜14:30 − テン場16:00
 8/14(火) テン場6:40 − 薬師沢小屋8:40〜8:47 − 小休止9:59〜10:08 − 太郎平小屋11:07〜13:00 − 三角点14:31〜14:40 − 折立15:34 − 車15:52


 山岳雑誌に特集されていた黒部源流・奥の廊下。上の廊下よりも水量は少なく、険しい滝もないらしい。写真でも美しい光景ばかりだ。天気は晴れのうれしい予報なので、遡行してみることにする。黒部源流でソウメンを茹でて食べたら、ことさら美味しいに決まっている!!!

 12日。新潟を早朝に出て折立に向う。折立は車が溢れかえっており、大分手前の車道脇に車を止めることになった…私は登山口で待っていたのだが……。お盆で天気が良い、ということで、登山者が繰り出したようだ。昨年のお盆の飯豊本山は思ったより登山者が少なく、登山ピークも過ぎたのだろうと思っていたのだが、さすがは北アルプス、さすがは百名山であった。

折立から整備された登山道を行く。道幅が広く、急斜面もジグザグに切ってあるので歩きやすい。その上ガスが出始め太陽が隠れたので調子よく太郎平小屋に着く。そこにも登山者でごった返しているので、今日のビールを買ってテン場にと急ぐ。テン場も混雑していたが、なんとかテントを張り宴会へと突入。うす暗くなっても到着する登山者の数に驚きながら、が、ランタンを点けないうちに爆睡してしまっていた。

 13日。3時前から話し声が響き渡る。山では夜はご法度だが、朝はいくら早くても良いらしい。私たちも用意をして出発する。薬師沢小屋へと下る道は登山者でつながっていた。3本の沢を横切り、いくつかの湿原を通り、沢音が大きく近づいてきたと思ったら、小屋に到着した。

 黒部川はゴウゴウと流れていた。赤木沢方面↓≠ニいう看板が出ており、黒部川に下りるのに鉄はしごも付いていた。河原を少し歩いたところで沢靴とヘルメットを装備する。未知の世界に踏み出す時の緊張とワクワク感が交差する。

 沢がまだ深いので、左岸と右岸とを渡渉しながら行く。腿までの深さもあったが、流れがそうないので歩くことができる。赤木沢出合手前の2mほどの滝は右岸をへつる。そして着いた赤木沢出合。本流と交わる所がトロ場となっていて、幅広い緩やかな滝を形成していた。水は光を受け、より深いエメラルドグリーンの流れを成しており、美しいの一言では言い表せないくらいの渓谷美をかもし出していた。



<黒部源流・奥の廊下を行く>

赤木沢。最盛期には一日に百人は入渓するだろうと言われている人気の沢だ。薬師沢小屋に沢での幕営禁止との看板も出ていた。今回は源流遡行だが、一度は入ってみたい沢である。岩から離れて大分経つ。訓練などで少し慣れとかなくては無理みたいだ。

 赤木沢と別れ、黒部源流を行く。水量は徐々に少なくなってきているとはいえゴウゴウと流れる沢の中、相変わらずの渡渉を繰り返しながらのゴーロ歩きが続く。五郎沢出合、祖父沢出合を過ぎても不変的ともいえる変化に乏しい源流歩きが続く。空は雲ひとつない吸い込まれそうな藍色が広がり、夏のギラギラした光がこれでもか!くらいに差している。大きな雪渓も残っており、稜線歩きにはない涼しさが救いとなっていた。が、宿泊装備での遡行は体に応え始めてきていた。沢幅が狭まり始めると源頭は近くなり、それまでの長い遡行からなんとか開放された。6時間かけて標高差400mを登ったことになった。

黒部川の源頭、最初の一滴…ポッチャン、ポッチャンではないとは思っていたが、サラサラ、キラキラと染み出している、と勝手に想像していた。だが、黒部川は最初からゴウゴウと音をたてて凄まじく流れ出ていた。念願のソウメンは美味かったが、空腹すぎたのと時間との競争もあり、よくわからないうちに食べ終わってしまった…のが実感だった。



<源頭が近くなってくる・前方は鷲羽岳>

雲ノ平の日本庭園はチングルマとアオノツガザクラの群落が広がっていた。雲ノ平のテン場はカール上にあるのだが、上部が植生復元ということで立ち入り禁止となり、直接カールを下れなくなっていた。道は尾根を巻くように付けられていて30分近くの遠回りを余儀なくされ、疲れが何倍にもなった。

この日もテン場は満杯だった。私たちはうまく張れたが、真っ暗になっても到着するパーティーがいる。ここ数年、テント装備登山者が多くなったように感じる。窮屈で身勝手がきかない小屋泊りよりもテントの方が快適に過ごせるし、プライバシ−も保たれる。テントや他の宿泊装備の性能の向上やより軽量化されたということもあるのだろう。これからはテン場確保も大変になるかもしれない。夜は満天の星空。この日一日は雲も湧かない、夕立もない安定した夏日であった。

14日も晴れ。前日よりはゆっくりと出発する。黒部川を挿み、薬師岳から黒部五郎岳、水晶岳が聳え立っており、まさに黒部源流や支流に囲まれた隆起した台地雲ノ平≠ナあった。700m近く下って薬師沢小屋に着く。ここの下りは樹林帯に囲まれた巨岩が目立つ急斜面で歩きにくい。登りも辛そうだった。

一日経った薬師沢小屋。黒部川は相変わらず音をたてて流れていた。昨日は強固なこの音から逃げたいと歩いたが(結局は最後まで逃げられなかったが…)今日、優しく感じるのは一度入渓したからなのだろうか。ここから400mの登りで太郎平小屋に戻る。太郎平小屋では奮発して生ビールでの乾杯となった。

この日も入山する登山者が多い。その人たちとすれ違いながら下る。折立から車道を1kmほど歩く。さまざまな車が止まっていて、ナンバープレートも合わせて見ながらいく。ひょんなことに気がついた。西のナンバーが多いいのだ。それに、東北地方のナンバーがない(新潟が北限?)し、東京近郊ナンバーも極端に少ないのである。首都圏は公共交通機関で来るほうが便利なのかな、東北は遠すぎるのだろうと勝手に解釈しながら車に戻った。



<赤木沢出合・美しいの一言>