大岳(八甲田山)ラッセル泥棒
個人山行(山スキー・なんちゃってテレマーク)
【日時】2020年2月7日(金)
【メンバー】M,N型山岳会:N,Y,D,S,T,I,K祭山岳会:O,ゲスト:K,U
【天候】 小雪
【山域】 八甲田
【地形図】 酸ヶ湯
【実録時間】 酸ヶ湯(標高880m)09:08 − 標高1290m付近 11:28 <昼の憩い> 13:01 − 酸ヶ湯13:47
昨年は超ド級の寒気の中,小岳を目指したが,はるか手前で断念した.
これは,再挑戦せねばならない.
1年を経て再突撃である.
今シーズン一番の寒気で,八甲田でもそれなりの降雪があったようだ.
昨年のラッセルが思い出される.
取付きの道路脇には,昨年と同じように壁になっている.
壁になっているが,地形図の鳥居の付近で,少しだけ低くなっているところがある.
昨年と違って,簡単に上がることができる.
約1名はスキーのまま登れるではないかともいう.
【取り付きの鳥居脇】
鳥居脇に上がって,水平移動をして昨年の取付きに向かう.
向かうと,なんとトレースが付いている.
なんという行幸.
ありがたくトレースを使わせていただく.
昨年の教訓から,帰りも滑られるように,大岳を目指して直登する予定であったが,速やかに計画を変更する.
【なんとトレースが!】
トレースは大岳周遊ルートの標識に忠実につけられている.
付けられているが,ところどころ降雪と風で消えている.
それでも,楽々ラッセルである.
いや,ラッセルとは言えない.
あっという間に昨年断念した場所に至る.
【大岳周遊ルート】
【1050m付近】
さらに進むと,1050m付近でトレースが怪しくなり,1100m先の急斜面ではもはやノートラックである.
昨年のラッセルの試練が再びやってきた.
しかし,我々は10人パーティーだ.
D,Y,S,D,Y,K,D,Y,S,…,…の順で力強く進めば問題はない.
我々は,進まなければならない!
と,心もち鼻の穴を広げていると,なんと我々の後から,2人パーティー追いついてくる.
どんどん近づいてくる.
なんと,その2人はスイス人である.
こんなところでスイス人である.
八甲田でスイス人である.
トレースを散々使って,最後に美味しい斜面をさっさとさらっていく.
それをラッセル泥棒という.
許せない!
などと,ほざいていると,男女2人のスイス人パーティーは,我々が息も絶え絶え奮闘している深雪急斜面の脇を「何かあったら助けますよ!」とサクサクと軽やかに風のように追い越していく.
我々は,心もちこうべを垂れながらスイス人パーティーの付けたありがたいトレースをしずしずと進む.
ラッセル泥棒は,我々でした.
合掌.
【スイス人パーティーが先を行く.】
急斜面を超えてアオモリトドマツの樹林帯に入るころから,風雪厳しく,斜面もガリっぽくなってくる.
これ以上進んでも,滑りは楽しくない.
当然,本日の山頂は,ここまでである.
昼の憩いに向け,武漢の新型コロナウイルス緊急突貫突撃工事にも劣ることなく,アオモリトドマツのツリーホールを掘り下げてテントフライを設営する.
フライに入ればぬくぬくである.
【ありがたいフライ】
悠峰山の会,N型山岳会,K祭山岳会と親交を深めれば,いよいよ滑降である.
待ちに待った滑降である.
我々はアオモリトドマツのツリーホールにはまらないように,慎重に滑らなければならない.
人は,はまってしまう可能性のあるツリーホールには,なぜかはまる.
慎重には滑るが,白い粉の前に理性はアンドロメダ星雲の遥か彼方だ.
たまりませーん!
【1170m付近】
【1100m付近】
白い粉を堪能し,全員が揃うのを待っているうちにさっきまで吹きすさんでいた小雪がやんでくる.
時おり青空も見えてくる.
うっすらと硫黄岳も見えてくる.
気が付けば真実の口があるではないか.
間違っても手を突っ込んではならない.
【後ろに硫黄岳】
全員揃ったところで,弾丸トレースを外さないように滑る.
滑る,滑る!
ボブスレーコースを滑る,ひたすら滑る.
バリバリ滑る.
バリバリ滑るが,足もバリバリだ.
取り付きの鳥居が見えてくれば,白い粉まみれ,人生のささやかな楽しみを噛みしめる.
【酸ヶ湯へショートカット】
しかし,この後に試練が待っていた.
取り付きの道路には降りず,酸ヶ湯の駐車場にショートカットをする.
最後は約2メートルの段差を飛び降りる.
良い子は決して真似をしてはならない.
【酸ヶ湯駐車場】