笠ヶ岳〜至仏山〜ススヶ峰〜赤倉岳

会山行ku-ninn71
【日時】2009535日(連休)
【メンバー】2
【天候】
【山域】尾瀬山塊
【地形図】尾瀬ヶ原・至仏山
【時間記録】
5/3<高曇り> 新潟5:00 = 津奈木橋9:32 − 笠科川橋9:32 − 尾根に取り付く9:45 − 小休止10:0010:12 − 主稜線1776mP10:57 − 小休止11:1811:30 − 小休止12:2812:38 − 笠ヶ岳12:5713:15 − 小笠14:0814:14 − オヤマ沢田代15:08
5/4<高曇り> テン場6:57 − 至仏山8:008:17 − 小休止9:389:56 − 小休止10:5711:09 − 岳ヶ倉山11:30 − 小休止11:5412:09 − 1850m付近テン場12:4312:50 − ススヶ峰13:05 − 赤倉岳14:0514:15 − テン場15:15
5/5<高曇り> テン場9:17 − 猫又川10:03 − 山の鼻11:2412:36 − 鳩待峠13:34


 <5/3>ここ何年かは5月の連休は晴れの天気が続いていたのだが、今年は曇りベースで傘マークまで付いてしまった。小雨程度ぐらいだと良いのだが…。初日は青空がのぞく穏やかな天気となった。戸倉の駐車場から乗り合いタクシーで鳩待峠に向かう。途中、津奈木橋のところで降ろしてもらい、まずは坤六峠に続く車道を歩き出す。こちらは除雪がされていなく、スパッツを付ける。主稜線は坤六峠からだが、そこまで行くと大分かかりそうなので、笠科川に架かる橋を渡り15分ほど歩いたところから山に入る。

 1776m標高点から派生する尾根に取り付く。小雪だったので雪の量が心配だったが、しっかりとした尾根でヤブもなく歩きやすい。1776mピークで主尾根にぶつかる。地図だと夏道は記載されていないが、目印テープやペンキなどが目立つ。1962mピーク手前で尾根は北に方角を変える。このあたりから湯ノ小屋温泉からの夏道にぶつかっているはずだ。行く手には笠ヶ岳のピークがそそり立って見える。

笠ヶ岳直下は岩が露出している夏道を登る。山頂からの展望は素晴らしかった。高曇りの天気で視界が明瞭に得られないが、奥利根源流の新潟県側の山々が連なって見えた。自分たちが数年かけて歩いた尾根を一望できるという最高の景色を満喫できた。

 縦走路は笠ヶ岳山頂からいったん登った道を下り、山頂を巻くように行く。ここから主稜線はほとんど北に向かって伸びている。広い尾根の向こうに至仏山が大きく横たわっている。小笠で小休止。振り返る笠ヶ岳はこちらから見ても、ツン!と聳え立って見える。悪沢岳を越え、鳩待峠からの夏道に合わさるオヤマ沢田代を今日のテン場とし、針葉樹林帯の中にテントを張る。

 <5/4>朝は深いガスの中だったが、テントを撤収し、歩き始める頃にはガスも切れ始めていた。小至仏山を越え、至仏山へは雪面を拾いながら登る。至仏山山頂も雪は付いていなかった。流れるガスの中、尾瀬ヶ原の奥に燧ヶ岳が見え隠れするだけで、奥利根源流の山々は雲の中に隠れてしまっていた。

 至仏山からの下りも雪を拾いながら下る。2045mピークから標高にして300mほどの急斜面を下るが、この斜面のヤブが強烈だった。大きな至仏山の山腹で季節風がまともに当たり、雪は飛ばされてしまうのだろう。下りだからまだ良いのだが、高さが1mほどのはい松みたいな針葉樹と笹がミックスされているヤブだ。急斜面だし、針葉樹だしでヤブをこぐにも一苦労させられた。究極は雨具着用を面倒くさがったことだ。靴の中が露でぐっしょりになってしまった。山スキーパーティーがスキーを担いで登るのにすれ違ったが、パワーに敬服だ。

 1640mの鞍部近くまで下りると広い尾根になり雪原のブナの林となる。右手には猫又川が近くに感じられる。天気は回復してきていた。主稜線から飛び出している赤倉岳が目の前に存在を誇示していた。振り向くと、至仏山がドデーン!!とこれでもかくらい大きく聳え立っていた。反対回りで至仏山を登るコースは考えられないくらいだ。

ピークをいくつか越えながら、登り勾配でひたすら北に向かって尾根を行く。途中、気持ち良さそうな広い雪原にベーステントがあった。私たちはというと、ススヶ峰山頂直下の針葉樹林帯をテン場にする。赤倉岳ピストンが頭にあり、テン場選択に時間をかけたくなかったからだった。テン場候補に荷物をデポし、非常装備だけの空身で赤倉岳に向かった。

 まずススヶ峰山頂に登る。山頂湿原の一部が顔を出していた。何回かこの連休に来ているが、初めてだ。やはり今年は小雪だったのだろう。ススヶ峰から広い針葉樹林帯の山腹を下り、尾根に乗る。1761m鞍部から赤倉岳の登りとなる。足跡が無数付いている雪の急斜面を登りきり、ヤブが出ているヤセ尾根を行くと、赤倉岳の山頂だった。山頂ではかわいらしい道標が私たちを迎えてくれた。

 踏破したかった赤倉岳。山頂からの展望は素晴らしい一言だった。平ヶ岳が大きく横たわっている。その平ヶ岳から丹後山までの山々が一望できた。本谷山や下津川山、小沢岳も指呼できるくらいだ。実のことを言うと、あまり期待していなかった山頂だった、が、大満足の登頂になった。

 <5/5>前日に赤倉岳に行っているので、最終日はゆっくりとした出発だった。ブナ林の尾根を下り、猫又川まで下りる。例年だと猫又川の右岸と左岸を行ったり来たりしながらのトレースだが、今年は右岸をへつりながら行く。鳩待峠まで来ると登山者で賑やかだった。水の流れで雪消えが早いところには水芭蕉のツボミも見られた。天気も予報よりも良く、展望も得られた。鳩待峠からバスに乗り、出発点の津奈木橋を通り過ぎた時、すべてに満足して下山した気分の自分がいた。

 数年かけて自分なりの奥利根源流の山々を歩いた。05年・白毛門〜朝日岳〜巻機山、06年・巻機山〜下津川山〜ネコブ山、‘07年・尾瀬〜平ヶ岳〜丹後山〜本谷山、08年、丹後山〜本谷山〜下津川山、そして、09年・笠ヶ岳〜至仏山〜赤倉岳〜尾瀬、と、奥利根湖を囲む山々を踏破し、尾根を線でつなぐことができた。

まずは奥利根の山々を、尾根を歩きたいと思った。そして、次は自分が登頂した山を、歩いた尾根を見てみたかった。この夢を追いかけてきた5年だった。さて、来年からの5月連休、今度はどこの山稜を歩こうか。夢はまだたくさんある。


<笠ヶ岳を振り返る>




<至仏山の下り>


<赤倉岳に向かう>


<赤倉岳直下>



<赤倉岳山頂にあった道標>




<猫又川に下る尾根からの至仏山>