涸沢〜北穂高岳〜奥穂高岳

会山行ku-ninn74
【日時】200981416日(お盆)
【メンバー】2
【天候】晴れ
【山域】北アルプス
【地形図】
【時間記録】
<8/14> 新潟4:30 = 沢渡 = 上高地10:15 − 明神11:00 − 徳沢11:5012:00 −    横尾12:5513:05 − 本谷橋14:0514:15 − 涸沢15:55(泊)<8/15> 涸沢5:30 − 北穂高岳7:458:15 − 涸沢岳9:5510:10 − 穂高岳山荘10:2510:40 − 奥穂高岳11:2011:45 − 穂高岳山荘12:2013:00 − 涸沢14:30(泊) 
<8/16> 涸沢5:20 − 屏風のコル6:156:25 − 新村橋8:55 − 上高地10:55


年に一度は北アルプスを歩きたいと、今年は涸沢から北穂〜奥穂を計画した。主稜線は25年くらい前に縦走したことがあったが、ほとんど憶えておらず。また、涸沢は何年か前の海の日の連休に入った。が、深いガスで視界はほぼゼロ。翌日も荒天は治まらず、稜線に上がらず予定を早め徳沢に下りてしまった。その徳沢での夜から雨脚が強まり、上高地に入る唯一の道路が通行止めになってしまうといった貴重な!?経験をしたのだった。その時から涸沢≠ヘ私の中で憧れの地となっていた。

当初は前夜発の予定だったが、天気を勘案し、14日の早朝出発となった。新潟は小雨模様だったが、上高地に近づくにつれ、快晴の天気となる。沢渡でバスに乗り換え、上高地に向かう。上高地の河童橋付近はものすごい人。キャンプ場も賑わっていた。見たこともないような大きなテント、カラフルなテントがあふれていた。

林道をひたすら歩き横尾まで来ると登山者が多くなる。涸沢へは横尾大橋を渡り、横尾谷の左岸に沿う平坦な道を行く。左手には屏風岩が聳え立っている。本谷橋で右岸に渡ると道の傾斜がきつくなり、雪渓が現れると涸沢カールはもう近かった。

 涸沢ヒュッテを通り過ぎるとカールが目の前に広がる!!!ものすごいテントの数だった。上高地のキャンプ場なんて比べられないくらいに、カラフルなテントが所狭しと張られていた。テン場の向こうには瀟洒な涸沢小屋が見える。2回目なのだが、初めて目にする光景だった。憧れの涸沢に足を踏み入れた…少しオーバー?

 テン場の端になんとかテントを張る。カールの夜は小屋とテントの灯りが幻想的な雰囲気をかもし出し、夜半過ぎは満天の星が空を埋め尽くした。星屑をばら撒いたような夜空は忘れられない素晴らしさだった。

 翌日も晴れ。暗いうちから動いているテントがあり、私たちも起きて動き出す。南稜ルートから北穂を目指す。前方には登山者がつながって見える。が、クサリ場で団体さんの前に出ることができ、順調に北穂山頂に立った。南側には前穂や奥穂が、北側には槍ヶ岳がドデンを聳え立っている。360度の素晴らしい展望が広がっていた。

小休止して涸沢岳に向かう。以前歩いたときにキレットより怖かったという記憶があったが、難なく通過した。涸沢岳山頂あたりからガスが湧き出し、奥穂山頂はガスの中に入ってしまった。視界は数十メートル。残念だが仕方がない。展望は北穂から涸沢岳の稜線で楽しんだから良しとしよう。穂高岳山荘でビールで乾杯し、昼寝をしてからザイテングラードを下山する。

涸沢に下りる。昨日よりテントの数は減っているが、まだまだ賑わっている。無理すれば横尾に下れたが、涸沢でゆっくりと過ごすことにする。テン場徘徊や行きかう人たちの観察、また、ヒュッテや小屋のテラスでの眺望俯瞰などカールで過ごす時間を満喫した。

3日目も晴れ。下山はパノラマコースを使うことにする。前穂から伸びる尾根を乗っ越す道で、屏風岩や北尾根を登はんする岩屋さんが多く使っている道なのだろう。「熟練者向け」とか「危険箇所多し」となっているが、登山道となっているし注意すれば大丈夫だろうと歩き出す。一度は歩きたいコースだった。天気も良いし、パノラマコースと名が付くからには大パノラマが待っているに違いない。

コルまではトラバース道でクサリ場やはしごが連続する。夜半過ぎに雨が降ったので濡れており、注意深く通過する。残雪期は通行不可となっているが、急斜面のトラバースが続くので無理なのだろう。涸沢を行き来する登山者のほとんどが一般的な横尾谷コースを使うので、静かな山歩きが楽しめそうだ。

コルに上がると大展望が待っていた。穂高連峰から槍ヶ岳の稜線が目の前に広がっていた。白い岩肌が美しい。涸沢が箱庭みたいに見える。正にパノラマが広がっていた。3000m級の連山をこれほど近くに見たことがあっただろうか。山岳写真を切り取ったような風景はいくら見ていても飽きない。静寂の中、大自然のパノラマを楽しむ贅沢な時を過ごした。

コルからの下りはお花畑が迎えてくれた。今回は高山植物が咲き乱れる箇所はなかった。岩山だから、と諦めていたのだが、思ってもみなかった見事なお花畑に遭遇し興奮気味でカメラのシャッターを押す。コルからの下りは危ない箇所もない。行きかう人もなく静かな山道を楽しみながら下る。このコース、天気の良い日には一押しのコースとなった。また、歩いてみたい。紅葉の頃も最高だろう。

大分下った樹林帯に小説「氷壁」のモデルとなった事件のケルンがあった。前穂の岩場でナイロンザイルが切れて遭難した事件で発生が昭和30年1月2日とある。数年前にドラマ放映の際読み直した「氷壁」だが、今一度読み直してみたいと思った。

林道に出、少し歩いたら新村橋となった。橋を渡ると徳沢だ。今回は右岸を行く。治山運搬路となっている一般車通行止めの林道だが、車が数台止まっている。明神に近くなるにつれ人が多くなり、明神から河童橋は人・人・人。下界の喧騒に中に入っていった。


<2日目朝・南稜の登りから振り返る涸沢カール>


<北穂高岳から槍ヶ岳を見る>




<パノラマコース・屏風のコルからの穂高連山と涸沢>




<パノラマコース・屏風のコルからの槍ヶ岳>



<パノラマコースの下りのお花畑>