二王子岳〜赤津山〜門内岳

会山行ku-ninn92
【日時】2010524日(連休)
【メンバー】3
【天候】
【山域】飯豊山塊
【地形図】上赤谷・二王子岳・飯豊山
【時間記録】 
<5/2・晴れ> 新潟5:30 = 二王子岳登山口6:50 − 一王子神社8:088:18 − 独標9:05 − 小休止9:229:30 − 油コボシ下9:50 − 小休止10:2510:45 − 二王子岳11:00− 二本木山11:20 − 1022m鞍部12:1512:35 − 雷岳13:00 − 桝取倉山14:1014:25 − ヤンゲン峰下1190mテン場16:20
<5/3・晴れ> テン場5:55 − ヤンゲン峰6:10 − 赤津山8:058:35 − 小休止9:4510:10 − 藤十郎山10:20 − 小休止11:0011:20 − 二ツ峰直下12:3013:00 − 二ツ峰 14:0014:30 − 二ツ峰下1580mテン場14:40
<5/4・ガスのち晴れ> テン場5:50 − 門内小屋7:308:00 − 扇ノ地紙8:23 − 滝見場9:4510:00 − 湯沢峰10:40 − 小休止11:1012:30 − 飯豊山荘13:2013:35 − 梅花皮山荘14:45


 当初は会津朝日岳から丸山岳〜窓明山の縦走を計画していたが、下山口となる桧枝岐と登山口の只見間に路線バスがないことが分かり、あっさりと計画を変更した。タクシーで戻ったとすると15000円以上かかってしまう。丸山岳の魅力がタクシー代に負けてしまうというのも寂しいものがあったが、好天の予報もあり、一度は歩いてみたい残雪ルートを行くことにした。こちらも登山口と下山口が違うので、前日に自分の車を下山口となる梅花皮荘に回しに行った。

<5/2> 天気は晴れ。登山口となる二王子神社の駐車場は登山者の車でいっぱいだった。宿泊だろう装備の登山者も見かける。私たちも用意をして出発。1ヶ月前に来た時は雪で覆われていた神社周辺も雪はほとんど無くなっていた。一王子までは雪を踏んだり踏まなかったりだったが、その上からは雪の上を歩く。今年は雪消えが半月ほど遅いようだ。木々もまだ芽吹いてなく、萌えるような新緑ももう少し先、といった感じだ。風も冷たく汗もそうかかずに二王子山頂に立てた。1ヶ月前と同じ、飯豊連峰は白く輝いている。今回自分たちがたどる尾根線もはっきりと見える。長い……。

 二本木山から1022mの鞍部まで雪斜面を一気に下る。ここから雷峰、桝取倉山を越えていく。今日はヤンゲン峰あたりまで行きたいと気は焦るが、小さなアップダウンの中、ヤブや歩きにくいトラバースなどが続き、距離を稼げなくなる。残雪が多くヤブの出現は少ないようだが、雪がザラメでやわらかく、時折もぐったり、足がとられてしまうなど疲れも増してきていた。赤津山まで同じ行程の豊栄山岳会さんがヤンゲン峰手前で幕営、私たちも少し先に行ったところ、尾根の方角が変わる1190mの台地でテントを張ることとした。夜は満天の星空となった。

<5/3> 朝から快晴。雪が締まっているうちにと早発ちしたつもりだったが、昼間より少しはいいか、といった程度、アイゼンも無理していらない程度だった。すぐに尾根の方角が変わりヤンゲン峰に登りつく。目の前には赤津山が大きくそびえ立っていた。いくつかのピークを越え、1193m鞍部から200mちょっとの登りで山頂だ。雪の上を行けたので、最後の急登も助かる。ここがヤブこぎだったら、と思うとゾッとする。

 赤津山頂に立つ。20年くらい前になるだろうか。夏に立ったことのある山頂だった。雨量計?が建っていた、としか覚えていない山頂だった。最高の展望が広がっている。今回歩いてきた二王子岳からの尾根、これから歩く飯豊に続く尾根が見渡せた。行くにしろ戻るにしろ、長く遠い。飯豊連峰もこれでもか!くらいに大きく、そして真白く輝いている。大日岳は白光り!?していていた。出発しようとしていたら、豊栄山岳会さんが登ってきた。赤津から焼峰に縦走し、今日下山するそうだ。先回来た時から雨量計が赤津山頂だと思っていたが、そこではなく、少し東にいった所にある三角点を教えてもらう。

 赤津山からは緩やかな雪の稜線漫歩となる。照り輝く飯豊連峰に向かって歩いていく。千石平、万石平も雪の下だ。藤十郎山直下で少しヤブが出ていたが、安定して雪の上を歩ける。距離が稼げるはずなのだが、歩みは遅く、休みが多くなる。今日の目的地である門内小屋まで行けるのだろうか。気は焦るが、足はなかなか進まない。行く先の二ツ峰は鋭くそびえており、仰ぎ見るといった感じだ。急斜面は雪が割れている。ヤブこぎ覚悟で二ツ峰直下まで近づくと、古いトレースは尾根の西側の樹林帯の雪を拾って付いており、幸せにもヤブこぎをせずに山頂に着いた。

 二ツ峰山頂からも360度の大パノラマが広がっていた。自分たちが踏破した峰々、歩いてきた尾根線を見渡す。長大な尾根だ。山を楽しみながら歩く余裕などなかった。ただ歩くだけで精一杯だった。でも、自分が歩いてきた山々を振り返ってみると、より親近感が増し、懐かしさでいっぱいになった。思いの外、行き交う登山者も少なく静かな稜線歩きだった。

雪のない山頂で思う存分くつろぐ。門内岳は高く、大きく見える。もう歩きたくない、その思いでいっぱいになる。仲間もみな同じだったようで、二ツ峰を下りた台地で幕営することになった。この日は春の日差しが降り注ぐ中、ゆったりとした時間を過ごすことができた。

<5/4> 夜半過ぎから風が強まってきた。天気は下り坂のようで、雲の流れが速い。飯豊の主稜線もガスの中だった。風が強く寒いので、雨具を着込んで出発する。門内岳に近づくにつれ風はより強くなり、山頂では立っているのも大変なくらいな強風、そして視界ゼロとなった。強風と寒さですぐに小屋に下りる。小屋には2人パーティーが出発するところだった。小屋の中もすさまじい風の音がする。昨晩からすごかったようだ。だが、昨晩は新潟県山屋でいっぱいになったとのこと。賑やかだったに違いない。

 当初は西俣ノ峰経由で下りる予定だったが、強風のため梶川峰経由で下りることにする。梶川峰も多数のトレースが付いており、迷う心配はなさそうだ。梶川峰から滝見場までの急斜面はより慎重に下りる。滝見場から振り返ると、よく下りて来られたな、と思うくらいの急斜面。ここまで下りてくると風もやや収まる。

 今年はやはり残雪が多い。湯沢峰まで雪の上を行く。また、湯沢峰からの下りも雪がびっしりと付いている。お昼で大休止した800〜850mくらいまで残雪で埋まっていた。数年前の同じ連休に来た時はブナの新緑やタムシバ、オオカメノキの白い花などの春の粧いで賑わっていたし、春の恵みのコシアブラを採った記憶もある。今年は残雪量の多さや低温で、春はどこ?といった感じだ。温身平までの林道ももちろん深い雪で覆われていた。

 長者原までの車道は一応除雪されていたが、数箇所デブリを越える。天気は急速に回復し、快晴になっていた。車道脇のフキノトウを採りながら、疲れた足を引きずって歩く。梅花皮荘に止めてある自分の車に着いた時は疲労困憊。プラ靴で足がすれていた。駐車場で足を投げ出してボケーとしていると、こちらに突進してくる車が……会の仲間だった。それも冷たいビールとソーメンを持って来てくれたのだ(私は運転手なので飲めなかったが)。仲間の顔を見て、ありがたい気持ちとうれしさでいっぱいになる。満開の桜の下で食べるソーメンは格別の味だった。



<二王子岳山頂>



<二本木山に向かう>



<赤津山・奥が二王子岳>


<赤津山頂の三角点と道標>


 <主稜線を行く>


<飯豊に続く尾根>


<二ツ峰>



<二ツ峰山頂>


<2日目のテン場・奥は門内岳と北股岳>


 <2日目のテン場と二ツ峰>