天狗角力取山

個人山行(山スキー・なんちゃってテレマーク)

【日時】201053日(月・祝日)日帰り

【メンバー】T・M(悠峰山の会・山スキー部隊)

【天候】 晴れ

【山域】 朝日連峰

【地形図】 大井沢

【時間記録】 林道車止め(大井沢川500m砂防ダム上部)09:58 − バカ平上部(標高750m10:5111:03    竜ヶ岳分岐(トラバース道:標高1100m11:5812:10    雨量観測所12:15 − 1397m標高点 13:2513:40 − 天狗小屋 <昼の憩い> 13:4815:06    焼峰(標高950m付近) 16:0616:13    車止め 16:50

 

5月のゴールデンウィーク,いつもは悠峰山スキー部隊で桧枝岐,月山または鳥海山周辺に泊まりで出かけていた.ところが,今年はメンバーのそれぞれやんごとなき事情によりなかなか日程が合わない.私も仕事の都合をなんとか調整して連休の中日5月3・4日をフリーにし,同様に都合をつけたメンバーと二人で月山と天狗角力取山に行くことにする.

当初の作戦では,初日は軟弱に月山スキー場からちょびっと申し訳程度に姥ヶ岳に登って湯殿山鞍部に滑り込み,石跳沢周辺を滑って志津に戻るという超お気楽山スキーを楽しみ,翌日余裕を持って天狗角力取山に登ろうというものだった.ところが,月山道路を志津に向けて走っているとラジオの天気予報が明日は朝のうち雨,その後も寒気が入って安定しないと言っている.

今日は最高の天気である.実は2週間前にも天狗角力取山に登ろうと,仕事を終えてから車を走らせ車中泊で翌朝目覚めると,思いっきりみぞれだった.単独では登る元気もなくやむなくそのまま引き返したのである.

新雪が期待できるわけでもないので,残雪期は天気が良いのに限る.時間は遅かったが,急遽天狗角力取山に登ることにし,直ちに大井沢に向かう.

2週間前には大井沢からすでに雪があり,496m標高点の橋までしか除雪してなく,雪の壁ができていたが,いつの間にかそのあたりの雪は,すっかり消えていた.さらに林道を進むと標高500mの大井沢川の大きな砂防ダムを巻いたところに車止めがあり,すでに4・5台の車が駐車され,方向転換もままならない.なんとか車の向きを変え,駐車場所を探してうろうろしていると,幸運なことに山菜取りにでも来たのだろうか,1台が帰っていく.すぐにその空いた場所に車を置き,支度をする.

林道には雪がないのでスキーを担いで歩き出すが,100mも行かないうちに林道の除雪は終わり,そこからすぐにスキーで歩けるようになる.

林道を一旦大井沢川と南俣沢の出会いまで下る.そこから夏道どおりに河原と思われる平坦地を歩く.9年前の夏にここを歩いているが,まったく記憶にない.その平坦地からバカ平に上がるところに国立公園云々の看板があり,その先の夏道はちょっと急になっていて,ところどころ夏道が出ているが,なんとか雪をつないでバカ平に上がる.

バカ平は標高650m付近までカラマツ林が広がっていて,緩やかに登っていく.ところどころに赤テープがあり,それを外さないようにつぼ足のトレースが続いている.カラマツ林が終わり,ブナが出てくるあたりからようやく斜度が出てくる.すでに下山する人達何組かとここまでにすれ違う.

高度が上がるに連れ雪も少しづつきれいになってくる.快適に登っていくと標高800mあたりから,尾根が細くなり,雪が切れて夏道が出ている.仕方なくここでスキー板をザックに取りつけて夏道を歩く.夏道なので,ときどき板が木の枝に引っかかるが,藪と違ってずいぶんと歩きやすい.

標高850m付近でまた雪がつながり,ここで最初の小休止とする.北の方角に月山がようやく見えてくる.

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標高900m付近から望む竜ヶ岳

 

再びスキーで歩き出すと,焼峰の950m付近でまたしても雪が切れている.またもスキーを担いで夏道を歩く.ときどき雪もつながるが,結局標高1100mの竜ヶ岳へ向かう尾根から竜が池上部の鞍部へと抜けるトラバース道までスキーを担ぐ.

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写真右側のブナに隠れた奥のピークが赤見堂岳

 

どうやらここから先の雪はずっとつながっているようだ.ここで2回目の小休止を取り再びスキーで歩き出す.高度を落とさぬように竜ヶ岳上部の鞍部を目指す.ところどころに竜ヶ岳側の斜面から落ちてきたデブリがある.

雪庇の発達した竜ヶ池上部の鞍部を南側から乗り越すと1255m標高点ピークの右脇には,懐かしい赤見堂岳のピークが望める.1100mのトラバース道からこのあたりまでが特に素晴らしく,白い広大な斜面に大きなブナの林が広がっている.

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標高1220m付近の尾根を歩く(写真右のピークは1397m標高点)

 

この鞍部から先は,白い斜面のところどころに灌木があるだけだ.1255m標高点ピークの南側を巻いて尾根なりにいくつかの登り降りを交えながら確実に登っていく.尾根の南側には遠く真っ白な大朝日岳,西朝日岳から寒江山へと続く朝日連峰稜線の連なりが終始望める.

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1397m標高点の雪庇(写真左のピークは障子ヶ岳)

 

立派な雨量観測所先の斜面を登り詰めると障子ヶ岳へと分岐する1397m標高点だ.すでに時間は午後120分を過ぎている.シールをはがし,天狗小屋に滑りこむ.途中クレバスにはまりそうになり,避けようとして転んでしまい,それを小屋の管理人にしっかり目撃されてしまう.

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天狗小屋(写真中央)と天狗角力取山(写真手前稜線左のピーク,奥は西朝日岳(左)と寒江山(中央))

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快適な天狗小屋(3D)

 

小屋の中は暖かい.2階で遅い昼の憩いを取って,少し昼寝をする.気持ち良すぎるがもう午後3時を過ぎている.帰ろうではないか.

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小屋から高度をできるだけ落とさぬように1397m標高点を巻いて雨量観測所脇を滑り抜ける.何回かの登り返しを交えながら滑って行く.1255m標高点を登ってきたように巻くと,あっという間に竜ヶ池上部の鞍部に出る.ここは,登ってきたときとは逆に北側から雪庇下に滑り込み,そのまま1100mのトラバース道に至る.滑りやすい残雪のざらめ雪で実に快適である.

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竜ヶ池付近(写真右奥は月山)

 

その先のスキー板を担いだところは,北側の急斜面を滑り降りる.天狗小屋の管理人さんは,そのまま北側の斜面を行けば,板を外さずに降りられるとのことであったが,失敗した時の藪こぎは避けたいところであるので,標高1000m付近で夏道に戻り,登りで板を脱いだ標高950m付近まで夏道を歩く.

ここから先は,登りで板を担いだところも北側の斜面を滑り,そのままバカ平に出る.ここからは漕がなくてもいいが,やっとこさ滑る緩斜面を適当につぼ足トレース沿いに行くうちに南俣沢出会いの平坦地に出る.後はひたすら林道を登り返すと車止めが見えてくる.

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写真奥が車止め

 

天狗小屋の管理人によると,今年は積もった雪の量はいつもとそう変わらないが,4月になってから雪が思いのほか融けなかったので,今の時期としては雪が多いとのことである.おかげで,スキー板を担いだのは,登りで標高差100m程度,下りで50m弱だけだった.予定と違って出発時間は遅かったが,小屋で昼寝までして明るいうちに帰ることができた.これも山スキーの機動力のおかげだ.

スキーができて,山登りが好きなら山スキーは本当に楽しく,行動範囲を広げてくれる.山スキーは滑るだけではなく,ルートを考えて登るのも思いっきり楽しい.これはもう山スキーを始めるしかないでしょう!