焼峰山〜赤津山

個人山行ku-ninn93
【日時】201051516日(土・日)
【メンバー】2
【天候】
【山域】飯豊山塊
【地形図】東赤谷・上赤谷・二王子岳
【時間記録】 
<5/15・曇りのち晴れ> 新潟6:30 = 焼峰山登山口8:10 − ウグイス平9:259:40 − 修蔵峰下10:4210:50 − 焼峰山11:35 − 焼峰の頭11:4812:00 − 四ツ倉(1169mP13:2513:45 − 小倉(1144mP14:23 − 小休止14:3014:40 − 大倉(1169mP15:00 − テン場15:03
<5/16・曇りのち晴れ> テン場5:05 − 松ノ木峰(1197mP5:25 − 西ノ峰6:47 − 赤津山7:458:10 − 西ノ峰9:03 − 松ノ木峰10:20 − テン場10:3011:03 − 大倉11:10 − 小倉11:30 − 四ツ倉12:0712:30 − 焼峰の頭13:45 − 焼峰山13:5714:50 − ウグイス平15:5016:00 − 登山口16:45


 今年の連休に二王子岳から飯豊の稜線を歩いた時に、豊栄山岳会さんが赤津から焼峰を歩くと教えてもらった。そういえば、残雪期ルートで聞いたことがあるルートだった。後日地図を見てみると、楽しそうな!?ルートだ。今春は雪解けが鈍く、例年より残雪が多いだろう。行くなら今春だ!と計画をした。

 天気は晴れベースで落ち着いていそうだ。焼峰のコースは20年近くぶりになる。山も春らしくなり、ブナなどの新緑やイワウチワ、カタクリなどの早春の花が咲き競っていた。ウグイス平から見晴らしの良い尾根道となる。前方には焼峰がそそり立っている。水場はまだ雪の中でそのあたりから雪を踏むようになる。ようやく着いた焼峰山頂。体が重く、スローペースの登りになり、お昼になっていた。

 焼峰の頭から見る縦走路。尾根上にいくつもの突起が連なっている。それも最初からヤブ尾根となっている。ここまで予想外の時間がかかり気落ちしているで、縦走路に踏み出すことに気後れしてしまう。登りでバテ、歩けるのだろうか。大きく見える1169mピーク、四ツ倉の登りもヤブのようだ。そこまで3時間はかかりそう。明日、赤津まで行けないのではないか。天気も曇りで、自分の気持ち同様すっきりとしてくれない。

 なんとか気持ちを立て直し、縦走路に踏み出す。ヤブの急斜面を下り、尾根上を行く。だが、ヤブは多少刈っているのだろうか、踏み跡がついているので、想像していたよりも歩きやすい。最初のヤブの鋭鋒を越え、四ツ倉には思っていた時間の半分で登頂できた。四ツ倉から雪の斜面を150mほど下り、次の1144mピーク、小倉まで同じ高度を登り返す。小倉の手前はヤブだったが、あとは雪の上を行けそうだ。思いのほか距離が稼げ、あっという間に縦走路の半分近くまで来ていた。稜線も新雪が10cmほど積もっている。数日前寒かったので、降ったのだろう。この時季にキラキラと輝く新雪の上を歩けるとは!!

 次のピーク、大倉を越えると鞍部になり、すぐに松ノ木峰の登りとなる。この登りの急斜面がもろヤブとなっていた。時間は15時。まだ先に進める時間だ。だが、荷物を担いでヤブこぎをし、松ノ木峰を越えたとしても、良いテン場があるとは限らない。奥に進んでも、翌日はまた荷物を担いで戻ってくるのだ。この鞍部は見晴らしが良く、快適そうなテン場なので、この鞍部で幕営することにする。

天気は急速に回復し、青空が広がり始めたと思ったら、テントを設営している間に快晴となった。蒜場山、大日岳を始めとする飯豊連山、そして赤津山など、素晴らしい展望となる。新雪ですべてが輝いて見える。温室状態の暖かいテントの中でのんびりと過ごす。

翌日は早朝に歩き出す。天気は曇りで飯豊の主稜線は雲に覆われていた。まずは松ノ木峰へのヤブ斜面を登る。ヤブこぎも空身だと楽だ。松ノ木峰から雪の急斜面を120mほど下り、西ノ峰への登りとなる。鞍部から尾根の方角が変わる標高1200mまでが今回一番のヤブこぎとなる。標高差は120mほどだ。ただ、空身なので自分にしたらスイスイと登る。

1200mから西ノ峰はまでまったりとした雪の斜面。新雪が20cmほどだろうか。今回アイゼンと持参しなかったが、この新雪があるおかげで助かったかもしれない。途中、鉄柱のようなものが頭を出している。そういえば夏ルートは赤津沢の手前から入り、西ノ峰経由だった。西ノ峰からは尾根が狭くなり、ほとんどが夏道(廃道?)が出ていた。赤津までいくつもの鋭鋒を忠実に越えていく。赤津に近くなると尾根は広くなり、雪斜面を登り切ると山頂に着いた。

赤津山頂からはまだ記憶に新しい光景がすべて見渡せた。2週間前に歩いた尾根、踏破した山頂があった。たった2週間しか経っていないのに、雪は確実に少なくなっていた。雪の斜面だった尾根もヤブが出現していた。雪以外なにもなく、何ものも寄せ付けない輝きを放っていた千石平や万石平も木が出現していた。二ツ峰直下もヤブで黒々している。もちろん雪で覆われていた雨量計も姿を現していた。

ただ、三角点と道標が新雪で埋まっているので掘り出す。

 点を追いかける山登りではなく、線をつなぐ山登りをしていきたいと思っていた。今回も連休に縦走し、ピークを踏んだ赤津山、その赤津山につながる尾根線を踏破したかった。点と点との間の線をつなぎたかった。そして、その時に見た景色をもう一度見てみたかった。あの時はこれ以上ないくらいに輝きを放っていた山々。前日のルートを鮮烈な思いで見、これから行く二ツ峰へのルートは未知への不安と何かしらの期待感とで仰ぎ見た。

 今回はどうだろう。連休に見た尾根を歩き、山々を越えて登頂した。まず、つなげられた満足感があった。そして、四季の小さな変化を見届けた充実感と懐かしさでいっぱいになった。前回、もう来ることもないと思いながら山頂を後にした赤津山。だが、短い期間に再度登頂した。もう忘れることがない山頂となった。

 下山もピークをいくつも越える。登りとそう変わらない時間でテン場に戻る。急いでテントを撤収し、縦走路を戻る。四ツ倉の登りで一汗かく。ここまで下りてくると新雪も解け、汚れが目立つ雪となる。四ツ倉からはヤブが目立つ尾根となる。ピークを2つ越え、ヤブの急斜面を登り切ると焼峰の頭に着いた。夏道を少し行き、焼峰山頂で大休止とする。天気は昨日と同じ、急速に回復し、快晴になっていた。

夏道は歩きやすく、ありがたさを痛感する。新緑は8、900mくらいまで上ってきているようだ。傾きかけた陽が差す中、新緑が揺らめき美しい。春の花々も満開だ。春の足音が遅い今春、今しばらくは美しい春の粧いの山を楽しめることだろう。


<大倉を越える・右奥が赤津山>



<飯豊・主稜線>



<テン場・奥は二王子方面>


<松ノ木峰下からテン場を振り返る・奥は蒜場山>



<赤津山頂・右奥が二王子岳>

<三角点へ向かう>



<三角点と道標>


<焼峰への主尾根>




<焼峰の頭と焼峰山(右奥)>