大朝日岳(朝日連峰合同保全作業)

個人山行(登山道整備)

日時】2011924(土),25日(日)

【メンバー】M(悠峰山の会山スキー突撃部隊)

【天候】 1日)曇りのち小雨,(2日)晴れ

【山域】 朝日連峰

【地形図】 朝日岳

【実録時間】

 24日」  小寺鉱泉駐車場06:54 − 一服清水08:41    三沢(さんざ)清水09:18    小朝日岳分岐10:21    大朝日岳分岐10:45    銀玉水11:45    大朝日小屋12:19    保全作業(金玉水・銀玉水・中岳周辺)14:00~16:20    大朝日小屋(泊)

25日」 保全作業(金玉水・中岳周辺)07:27~10:20    大朝日小屋12:19    小寺山14:07    三沢清水14:24    ハナヌキ峰15:01    小寺鉱泉16:06


5月の石見堂岳以来の山への突撃である.平成23年度朝日連峰保全協議会合同保全作業にお世話になる.今回は金玉水付近の保全作業ということで,久しぶりの大朝日岳を目指す.

集合は06:30古寺鉱泉駐車場集合ということで,余裕を持って前夜出発で,途中車中泊とする.ところが22:00前に出発しようとすると,19,800円のなんちゃってカーナビの電源が入ったり消えたりしたのち,とうとう無言となり,真っ暗になってしまった.いつもは,「合流があります!」,「事故多発地点です!」とやかましいが,肝心な時に役に立たない.久しぶりに地図と案内標識を良く見ながら車を走らせる.今回は113号線から長井経由で向かう.途中大江町に道の駅があったので,そこに泊まることにする.

05:00に起きて,05:30過ぎに出発すると,それほどの余裕はなく06:20に到着すると,駐車場は既に車で一杯だ.

支度をそそくさと済ませて集合すると,昨年の保全作業にご一緒した鶴岡のTさんに声をかけていただく.思う間もなく山スキーで何度かご一緒したK友会のITさんにも声をかけられる.奇遇である.ITさんとは班も一緒で,以降行動を共にする.

簡単に説明を受け,大江山山岳会寄贈の缶ビールを各自懐に忍ばせ三々五々出発する.総勢48名の大部隊である.古寺鉱泉は駐車場から歩いて34分のところにある.

小寺鉱泉

【小寺山から小朝日岳】

3回目の休憩地点の三沢(さんざ)清水あたりで小雨が降りだす.小朝日岳は,登らずに巻き道を進む.以前歩いた時は,トラバース道特有の木の根で歩きにくかった記憶があるが,以外にも歩きやすい道である.銀玉水手前のピークあたりから,少しだけ風が出てきたため,雨具の上だけを着る.

銀玉水付近の登山道は,一部が石を組んだ綺麗な道にとなっている.まるで,立山室堂の遊歩道のようでもある.気を付けてみると,それ以外にもいたるところに登山道を手直ししたところが分かる.以前に保全作業をしたところなのだろう.

大朝日小屋に着くころには,小雨から霧雨というより雲の中となる.

【小雨降る大朝日小屋】

食事を済ませ,本日の保全作業である.まずは,第2班として緑化ネットを金玉水付近に小屋から移動する.ちなみにこれらの資材(約200Kgだそうです.)は,保全協議会有志や一般登山者がボランティアで担ぎあげたものである.今年は,この保全作業前に荷揚げが終わっていて,ずいぶん楽であった.感謝.

【金玉水付近に保全用ネットを運ぶ.】

資材を金玉水の現場に運搬し終えたので,一旦銀玉水付近に向かった班と合流する.この頃には雨はやんでいる.ここでは,以前使った椰子の繊維を回収して,明日の作業に備えて金玉水の作業現場に運ぶのである.土嚢に椰子の繊維をぎゅうぎゅうに詰め,とりあえず大朝日小屋に運ぶ.この標高差150mが思いのほかきつかった.両手に持つとあっという間に握力がなくなってしまうし,担げば細いビニールロープが型に食い込み,たまりません.ようやく楽な担ぎ方が工夫できた頃には,小屋に着いてしまったのだ.

【銀玉水付近の椰子繊維回収】

担ぎあげた椰子の繊維をさらに金玉水付近の現場に運び終わると,今度は中岳に向かう.途中金玉水の大崩壊地を見る.中岳の保全作業は,この金玉水の崩壊を防ぐため,登山道を流れる水流を手前の斜面に誘導して少しでも金玉水側に水が流れ込まないようにすることが目的である.

【中岳登山道のダム作成】

まずは,水流の勢いを抑えるダムを作成する.これがなかなか難しい.その辺の浮き石を集めて登山者に歩きやすく,しかも崩れないように石組をしなければならない.これを上からいくつも作っていく.次に問題の水流を下の写真の左側の斜面に誘導するための石組を作成する.ちなみに,下の写真はよろしくない見本で,正しくは石の列を逆向きにして,ここでは右斜面側を高くしないといけません…なのだそうです.

【ムダなダム】

1日目の作業を終え,小屋に戻る頃には腹ペコである.腹ペコであるが,運動不足のせいで,既に筋肉痛なのだ.下手な体勢をとると足が攣りそうでもある.大勢でぎゅうぎゅう詰めの中,宴会は続く.筋肉痛も続く.

混んではいるが,管理人さんのてきぱき指示で,なんとか寝場所が確保され,眠りにつくことができた.

5時過ぎに目を覚ますと,外はもう明るい.朝食後,時間があるので,大朝日岳の山頂を往復する.山頂はガスがかかっていたが,下山中,月山を見ると月山の上に月山をなぞったような黒い線が現れたと思う間もなく消えてしまったが,たぶん風の影響による雲がそう見えたのだろう.

 

【大朝日岳山頂】

2日目は,昨日に引き続き中岳の現場である.水流を変えるダム造成事業はなかなかに奥が深そうで,本格的な土木作業のようだ.この現場を終えると,金玉水付近の裸地化斜面の修復現場と合流し,緑化ネットの敷設作業をする.

【中岳現場から見た金玉水,大朝日岳】

全ての作業を終え,各作業現場の説明をリーダー及びK先生からレクチャーを受けて今回の保全作業は無事終了した.

【金玉水付近の緑化ネット(奥に鷲が巣山が見えています.)】

大朝日小屋で昼飯を食べる頃には腹ペコである.さらに筋肉痛でもある.

あとは,下山するだけ.であるが,これが長い.それでもITさんのリハビリ話を聞いているうちに遠くに自家発の音が聞こえ,間もなく古寺鉱泉に到着だ.

ここで,古寺鉱泉に突撃である.薪を燃やした熱い湯を隣の源泉で冷まして入る.飯豊・朝日周辺の温泉に多い鉄分をそれほど感じないが,ねっとりと成分濃厚,薬効十分な感じである.

【小寺鉱泉「朝陽旅館」ただいま湯沸かし中】

今回の保全作業は,事務局が環境省羽黒事務所で,協議会合同作業となっているが,登山道の多くは,地元市町村や多くは山岳会有志が手弁当で整備をしているものと思われ,感謝の気持ちを忘れずに歩きたい.