針ノ木岳

会山行ku-ninn110
【日時】201171617日(土・日)
【メンバー】3人+5
【天候】晴れ
【山域】北アルプス
【地形図】
【時間記録】 
<7/16>  新潟4:30 = 扇沢8:459:30 − 大沢小屋10:5011:10 − 針ノ木小屋14:20 − テン場15:10
<7/17> テン場5:45 − 針ノ木小屋6:00 − 蓮華岳7:007:10 − 針ノ木小屋  8:008:10 − 針ノ木岳9:009:20 − 針ノ木小屋9:5510:20 − 大沢小屋12:2012:40 − 扇沢14:00


 久しぶりの北アルプス山行だ。3連休の最終日が仕事なので1泊で針ノ木岳ピストンの参加としたら、2人の方が同じコースでということになり、ピストン組が3人、2泊で針ノ木岳から種池までの縦走組が5人と、計8人となった。天気は晴れのうれしい予報。扇沢の上の駐車場は早くから満杯になり、下の駐車場に案内される。少し歩くが、無料の駐車場があるのはありがたい。扇沢までは登山者よりアルペンルートを行く観光客のほうが多い。一歩外れると静かな登山道になった。まずは車道を何回かショートカットする。大沢小屋を過ぎ、雪渓の取り付き点までは緩やかな登りの道が続く。

雪渓で持参した軽アイゼンを付ける。午後近くになると山には雲が湧き始め、雪渓の全容は見えなくなっていた。暑かった毎日がうそのように涼しい。数年前の晩夏に下った時はほとんど河原沿いだったような憶えがあるが、7月だと雪の上を歩けるので多少は楽なのかもしれない。ガスの中、雪渓の傾斜がきつくなると夏道になった。あとはただひたすら夏道を登りつめるだけなので、黙々と歩く。

針ノ木小屋の周りは登山者で混み合っていた。小屋から数分のテン場は張れる余地はまったくなさそうだ。そこから10分ほど登ったところに緊急用(?)テン場があるという。メンバーのうち2人が小屋泊まりなので、私たち6人は小屋で水を買ってからそこを目指すことにする。水の重さが約2.5kgあるので、小屋からテン場まで、この日一番のきつい登りとなった。ここ最近、テント泊の人が多くなったように感じる。テントの軽量化など装備の性能がよくなり、以前より重装備にならないのだろう。キツキツの小屋より、テントのほうが居住性は格段に良い。

近くのテン場はなるほど入り込む余地がまったくない。10分ほど登ると少し開けたところにテントがまた所狭しと張られている。下のテン場もそうだったが、テント同士の張り綱が交差しているほどだ。そこの一番上に、4、5人用エスパースと、2、3人用ダンロップをなんとか張るスペースを見つけることができた。今回1泊組がいたので、大きなテントを持ってこなくて正解だった。しかも、大分上部なので、他のパーティーを気にせずに楽しめる絶好のテン場だ。テントを張り、外での宴会となる。今回初の食担となるka-ttyanの素晴らしいメニューで大いに盛り上がった。

翌日は快晴の天気。まずは蓮華岳を往復してくることにする。針ノ木小屋で小屋泊2人と合流。昨日は小屋も満杯だったらしい。テントは指定地に設営可能数20張りのところ、その2、3倍はあったようだ。蓮華岳へはジグザグの急登を行く。いったん尾根に上がったところから、コマクサが出始めた。咲いているということで楽しみにいていた。ピークから少し下った鞍部のところはチングルマの群落が広がっていた。尾根上に行き、緩やかな登りで蓮華岳山頂に着く。360度の展望だ。後立山連峰のつながりが見える。剣岳からの立山連峰、薬師岳、水晶岳や烏帽子岳、野口五郎岳のパノラマも目の前だ。そして、槍ヶ岳が少し遠いが、ドデンとしてそびえ立っていた。青い空の下、これまで素晴らしい北アルプスの展望を得られたことがあっただろうか。過去のことを忘れてしまうくらいの眺望を楽しめた。

 針ノ木小屋に一度戻り、針ノ木岳に戻る。私は空身だが、縦走組は荷物を担いで登らなくてはならないので、大変だ。昨日のテン場を越え、カール上を行く。シナノキンバイが見事だ。雪渓を越え、急なガレ場を登り切ると針ノ木岳山頂だった。蓮華岳の登りよりも距離が短く、時間もかからなかった。難儀そうに思えた縦走組もほぼ一緒に登頂した。

 山頂からの眺めは本当に素晴らしかった。黒部湖が真下で、遊覧船まで見える。立山連峰が目の前に連なっている。数年前に登った読売新道もよく分かる。この読売新道、ガスの中を登り、赤牛岳からの展望は得られなかった。そして、バテてしまい、どうしようもないくらい疲れ果てた山行だった。あれから北アルプスに登るたびに自分が登った読売新道を見てみたかった。長い尾根線を見てみたかった。今回、やっと念願が叶った。今度は、もう一度読売新道を登り、赤牛岳からの展望を楽しめたら、最高だろう。

 針ノ木岳で縦走組と別れ、小屋に戻る。もう下るだけなので、ゆっくり気分だ。縦走する人、下から登ってきた人など小屋の前はにぎやかだ。雲が徐々に湧き始め、雪渓にかかるとガスの中に入ってしまった。雪渓の下りは楽で、取り付き点まで早い。登りには気付かなかったが、ニッコウキスゲが咲いている。ここから夏道を大沢小屋を経て、扇沢に戻る。縦走組を身軽にさせてあげたいと、小さいテント、大きなコッヘル、ゴミを持って下山した。登りでは気にならなかったアップダウンを耐えて下った。

 さて、縦走組だが、種池のテン場もすさまじい混雑でどこを探しても張る余地がなかったそうだ。そうそうに幕営をあきらめ、その日のうちに下山をしたそうだ。扇沢着が18時。針ノ木岳ピストンだけで下山した私たちは14時に着いた。4時間しか違わないのは、なぜだろう……。

 天気が良かった3連休。人も多かったが、久々に北アルプスの夏のパノラマを楽しめた最高の山行だった。


 <テントからの蓮華岳>


 <槍ヶ岳>




<針ノ木小屋と針ノ木岳>




<針ノ木岳からの剣岳と立山連峰>



 <チングルマの群落>



<シナノキンバイの群落>




<コマクサ>