長 井 葉 山

個人山行ku-ninn106
【日時】2011429日(祝)
【メンバー】5
【天候】曇り//
【山域】朝日山塊
【地形図】羽前葉山・荒砥
【時間記録】新潟6:00 − 白兎登山口8:35 − 前回テン場700m付近9:459:55 − 葉山11:2013:50 − 車15:15


 今年の1月に敗退した長井葉山を再度計画した。厳冬の前回は道中も雪で大変だったが、今回は季節は春なので、スムーズに登山口まで行ける。もちろん森林公園まで車で入れた。登山道が尾根に乗るまで雪を踏み、尾根道になると夏道を歩く。天気はあいにくの雨模様だが、春の雨は暖かく感じる。芽吹いたばかりのブナの若葉が雨で美しさを際立たせている。道端にはカタクリ、イワウチワが群落を作り、春らんまんの一言だ。標高600mくらいから雪道となり、歩き始めて1時間ほどで前回のテン場に着いた。雪が深かったとはいえ5時間弱歩き通してやっと着いた場所だった。前回は降ったばかりの新雪と格闘し、疲れ果てての幕営だった、ということにしておこう。

 見晴らしの良い尾根道を行くと、ブナの原生林が広がる急斜面になる。ガスが流れているので少し残念だが、雪世界のブナ林も美しい。右からの尾根とぶつかり、西に方向を変える。少し行くと尾根は広くなり植生は針葉樹林に変わる。ここが前回到達した最高点だった。前回は3人で空身でラッセルをして2時間半かかったところだ。あの時は時間も限られており、深いガスの中、山頂まで30分はかかるだろうと下山した。見晴らしは今回も利かない。方角を変え針葉樹林帯の広い尾根を行くと山頂小屋は近かった。その時間、7分。前回でも15分もあれば到着できたかもしれない。でも、思いを残して下山してよかった。あの時は厳冬、それも荒天で猛ラッセルと適度な緊張の中、自分たちの力を出し切れた心地よさがあったのだから。

 山頂小屋の周りは風が強いせいか、雪は付いていない。寒いので、小屋の中でツエルトを張っての大休止とする。この一枚が暖かな空間を作ってくれ、私たちに至福の時間を与えてくれる。十分過ぎるほどの休みの後、小屋を後にした。みぞれ交じりの天気になっており、雨具を着込んで出発する。春の締まった雪斜面の下りは楽しい。あっという間に春景色となり、柔らかな萌黄色のブナの新緑の中に入った。誰にも会わなかった山。冬山のモノトーンと春山の粧いの美しさを満喫できた贅沢な山となった。