月山(なんちゃってテレマーク)
個人山行(なんちゃってテレマーク)
【
【メンバー】Y顧問,T&M(悠峰山の会山スキー突撃隊)
【天候】 快晴
【山域】 月山
【地形図】 月山
【実録時間】
29日:志津バス停 09:32 − スキー場リフト乗り場 10:25 − リフトトップ(標高1505m)10:39 − 牛首 <昼食> 11:33〜12:09 − 鍛冶小屋跡12:34〜12:42 − 山頂12:58〜13:18 − 清川行人小屋(標高1365m) 13:49(泊)
30日:清川行人小屋 07:58 − 標高1720m付近 <休憩> 09:24〜09:58 − 山頂 <休憩> 10:40〜11:26 − 鍛冶小屋跡 11:35〜11:41 − 姥沢小屋(標高1185m) 12:10 − 姥沢駐車場 12:18 − 志津五色沼(標高720m)12:48
ゴールデンウィークは当然東北である.月山である.久しぶりに清川行人小屋に突撃!である.何しろ「行人」である.山中で「修業を積む者」限定の小屋である.これは行かねばならない.
清川行人小屋は岩根沢から月山に向かう登拝道の途中にある小屋で,月山スキー場や弥陀ヶ原まで道路が通じるまではおそらく賑わったのだろうが,今では静かな山旅を過ごす人達に貴重な一夜を提供する小屋になっていると思われる.
日本海東北道が温海まで開通し,月山も随分と近くなったような気がする.初めて走る温海からの日本海東北道は,どうやら鶴岡でジャンクションを作り忘れたようで,なぜか山形道に行くには一旦国道7号線に降りてから鶴岡ICで乗り直さなければならない.今回は渋滞もなくスムースに走れたが,時期によってはどうだろうか.
ついでにもう一つ,山形道も以前から湯殿山ICで一旦国道112号線に降りなければならない.別にジャンクションを作る必要もないが,国道112号線を必ず走らなければならない.高速道路の長距離になるほど走行単価が安くなる法則が,ここで途切れるのではないだろうか.おまけに,湯殿山ICを出ようとすると,見慣れた例のETCゲートの門が見当たらない!ちょっと焦る.門は無いが,良く見ると二つあるうちの一つがどうやらETC専用出口のようである.ただでさえカーブしていて見通しの良くない料金所なのだから統一してくれ!などと思っているようでは修業が足りない.更に山に行かなければならない.
今回は姥沢まで行かずに,志津で09:31発の西川町のシャトルバス(片道500円)に乗り換えて姥沢に向かう.今年の雪なら志津まで滑ってくることができるのだ.
姥沢でバスから降りると,リフト乗り場まで700mほどを歩かなければならない.姥沢のはずれで雪上車が待っていて,スキーだけをリフト乗り場まで無料で運ぶサービスをしているが,修業の身としてはお願いするわけにはいかない.そこからスキーを履いて涼しい顔をして歩き始める.
汗をかきつつリフト乗り場に着くと,ちょうどその雪上車も到着する.ザックもついでにお願いすれば良かった.
まだ時間が早いのか,連休の中日なのに意外とスキー場はすいていてリフトに並んでいる人もいない.それでもリフトに乗る頃にはいつの間にか10時をとっくに過ぎている.
リフト終点に近づくとリフト下の斜面は地面が出ていて,なんとふきのとうを真剣に取っている人がいる.春である.
【月山スキー場(左のピークは姥ヶ岳)】
リフトを降りていよいよ登りである.まずは牛首を目指す.多くの登山者は稜線沿いに登っていくが,雪が切れていたり遠回りだったりするので,我々はなるべく無駄がないようにほぼ夏道なりに登って行く.といっても牛首まではずっとトラバースのだらだら登りが延々と続く.ここは一旦くだっても最短距離で登るのがいいのかもしれない.
【雪が切れている斜面の下の鞍部が牛首,小さな点は登山者】
牛首で簡単に昼食をとる.たいていの人がここで休む.スキーを担いで登る人,つぼ足の人,シールで登る人,大変な賑わいである.
牛首の先が一番の急斜面で,雪の状態によっては緊張するが,本日は完全なざらめ雪でどこでも好きに楽々登ることができる.今年のように雪が多くても,このあたりは風と斜面の関係からかいつものように雪はそれほど付いておらず,這松の斜面に挟まれるようにかろうじて雪面は上に続いている.
その雪も鍛冶小屋跡の石組の下で終わり,そこからは板を担いで雪の切れた夏道を登って山頂に至る.ここまで来るとそれなりに風が吹いていて,時々体勢を崩しそうになるくらいだ.
【山頂ピーク】
登山道を仕切るロープが見えると傾斜が一気に無くなり,山頂台地に出る.本日は山頂には寄らず,雪が付いているところでシールを取り外し,いよいよ滑降の行である.
写真のとおり雪はそれほど汚れておらず,ざらめ雪で快適に滑る(修業する)ことができる.
【大雪城を滑る.】
夏でも雪が残る大雪城を滑る.どこでも好きに滑ることができるが,概ね南南東に滑って行かなければならない.いつまでも調子に乗って厳しい修業をしてはいられない.標高1600m付近で位置を確認する.どうやら南側に来すぎてしまったので,東に向きを変えてトラバース気味に滑って行くと,ようやく本日の目的地清川行人小屋が下に見える.
【中央に小屋が見えます.】
ここから下は結構な急斜面で,下の様子は分からない.まずは這松の下にできたシュルントを一つ越えてから1628m標高点下の急斜面までさらに東側にトラバースする.
【シュルントを越えて】
【小屋手前の急斜面】
隠れたシュルントに注意しながら小屋手前の急斜面を滑る.この修業はたまりません!結局今年はシュルントもなく快適で,意外なことに最近滑った跡もなく大変綺麗な斜面に我々だけの修業の成果を刻み込む.
【清川行人小屋】
その急斜面を滑りおりると,大きな雪堤ができていて本日最後の行として20mほどの段差を飛び越すとようやく小屋に到着だ.なお,着地の際はしっかりテレマークターンを決めないと減点です.(良い子は真似をしないようにしよう.)
【この雪堤を飛び越すと小屋です.】
この小屋は絶妙な場所に建っていて,これだけの雪があるのに特に除雪をした様子もないのにそこだけ雪が切れていて,しかもすぐ脇には綺麗な水がしっかり出ているのである.素晴らしい!
【小屋の周りだけ雪がありません.】
【小屋の入口:3D】
【水はしっかり出ています.】
【2階の様子:3D】
【宴は続くよどこまでも♪】
【薪ストーブあります.】
時間は早いが,いつものように遅い昼過ぎの憩いからいつの間にやら夕餉の宴に突入して行くのである.
薪ストーブに火を入れると宴も自然に盛り上がる.炎を見ているとそれだけで心安らぐ.野生の血もちょっぴり騒ぐ.つい必要もないほど薪をくべてしまう.
結局小屋には我々だけで,嬉しいようなちょっとさみしいような夜はふけて,小屋の布団を借りて眠りに就く.2階で寝たせいか暑くて夜半に目が覚めてしまい下着だけになって再び寝入る.
【翌日,2階の窓から】
翌朝,目覚めると薄い層雲が全天に広がっていて外に出ても意外なほど暖かい.
ゆっくりと朝食を食べ,支度をして小屋を後にする.山頂まで登り返すことになるが,帰りは滑ってきた小屋正面の急斜面には行かずにその東側の沢状となった斜面を登って行く.ウロコ板なのでシールは付けずに登る.ざらめ雪なので問題なく登ることができる.おまけに広大な斜面が続いているので,かつてない大きさのジグを切って登る.ひたすら登る.
【どこでも登り放題!】
登り始めて1時間以上となるが高度を増すに連れて風が当たるようになり,少しでも風が弱くなりそうなところを求めて歩いているうちにようやく露岩を見つけ,ここでしばらく休憩だ.
【大雪城の露岩:標高1720m付近】
再び歩き始めるが,その上の大雪城にもトレースは無く,綺麗なままだ.標高1800mを越えたあたりで,昨日付けた我々のトレースに出会う.
山頂でもしばし休み,ザックにスキーを付けて鍛冶小屋跡の下まで夏道を歩いてくだる.
【鍛冶小屋跡直下から:標高1930m】
雪面に再び出たところでバックルを締めてスキーをセットし,後は滑って帰るだけ.
滑り始めると,すぐに狭くなった急斜面となるが,斜面は荒れておらず,ざらめ雪の状態も意外なほど良くて実に滑りやすい.
【牛首上部の急斜面】
その急斜面も牛首で終わる.あとは傾斜も緩く適当に月山スキー場方向に大きなターンで滑る.ひたすら滑る.修業冥利に尽きる.
姥沢へはスキー場を通らずにその東側を滑って行く.そこは延々とトラバースのくだりとなり,途中雪庇が崩れそうなところやそのデブリがあったりしてとても快適とは言えない.それでもこのあたりの景色は雄大である.とても1,000mちょっとの標高とは思えない.どこかでこんな景色を見たことがあるような気がするが,思い出せない.
【延々と続くトラバース】
【姥沢小屋手前】
くだり過ぎないように適当なところで西に進むと立派なぶなの林となり,すぐ下に姥沢小屋が見えてくる.リフト乗り場へと続く道に出て,とりあえず姥沢の駐車場へと進む.
【姥沢から志津へのルート】
駐車場脇の高い雪の壁の上を歩いて志津へのルートに出る.このルートはほぼ夏道沿いに付けられている.ずいぶん前にここを滑ったことだけを覚えているが,意外にアップダウンがあり,最後まで両脇にロープが張ってあって,一部斜面的には楽しめるところもあり,ぶなの林間を滑るのではあるが,どうもスキー場の延長のような気がして少し残念に思う.
最後にジェットコースターのようになったコースを滑り抜けると五色沼に出て,スキーは終わりとなる.
今回は過去の月山の雪では一番良く,天候も穏やかで暖かく春山らしい春スキーができて良かった.4年ぶりに泊まった清川行人小屋も相変らず良かった.
修験の山の小屋に泊まり,修業は更に積んだがそれが今後の人生の役に立つかは分からない.分からないが,素晴らしき仲間ととりあえず八百万の神々に感謝!なのだ.
ちなみに湯殿山ICの入口のETCゲートは柱が片方だけの片持ちゲートになっています.また煩悩が増えそうだ.
登り:― 降り:―