八甲田山(ガイドスキー)
個人山行(山スキー・なんちゃってテレマーク)
【
【メンバー】Yg&M(悠峰山の会山スキー突撃隊),ゲストI
【天候】 風雪/薄曇り/小雪
【山域】 八甲田
【地形図】 雲谷,田代平
【実録時間】
● 2月2日(木) 八甲田ロープウェー山頂駅(標高1310m)10:07 − モッコ沢出会い10:35〜10:41 − フォレストコース10:41 − 八甲田ロープウェー山麓駅(標高670m)11:04 − 八甲田ロープウェー山頂駅(昼の憩い) − 1325m標高点13:11 − 前岳鞍部13:42 − 銅像茶屋(標高660m)14:55
● 2月3日(金) 八甲田ロープウェー山頂駅 − モッコ沢 − フォレストコース − 八甲田ロープウェー山麓駅(昼の憩い) − 八甲田ロープウェー山頂駅 − 1325m標高点 − 前岳鞍部 − 銅像茶屋
● 2月4日(土) 八甲田ロープウェー山頂駅10:32 − 田茂萢岳10:50 − 1232m標高点11:44〜11:50 − 環状道路(標高650m)13:01
今回は,いつもの山レポートではなく,厳冬期の八甲田ツアースキーの軟弱温泉湯治報告である.
深夜新潟発秋田行きの新日本海フェリーの運航がドック入りのため冬期間(1月から3月中旬まで)休止するため,仕方なくこの3年は早朝に磐越道経由で東北道をひた走り,酸ケ湯に向かう.昨年は余裕で午前中に酸ケ湯に着いて,お昼を食べてから午後のツアーに参加できたので,今年は更に余裕を持って早朝4時過ぎに安田インターを出発する.
今年一番の寒気が入っているせいか,東北道に入っても路面に雪がある.しかもやたらトラックが列をなして走行しているため走りにくい.
宮城県を抜けるあたりから,路面の雪も多くなり,追い越し車線には轍ができるようになる.その上,一ノ関の先で交通事故による通行止めがあり,早めに一般道に降りても待っているのは大渋滞である.
渋滞にはまっているうちに通行止めが解除となって再び東北道に乗り,やっとこさ青森県に入ると,いつの間にか雪煙を巻きあげて爆走するトラックがいなくなり走りやすくなったと思ったら,青森県から平日は有料だったんですね.
悪いことに黒石インターから国道394号線を走っていると,酸ケ湯まであと4Kmのところで,なんと通行止めになっている.地元の人にしか分からない交通止めの電光掲示板を1か所だけ出されていても分かりませ〜ん!結局大渋滞で混乱の青森市まで大きく迂回して,酸ケ湯に到着したのは午後も4時過ぎであった.この日はひたすら移動に費やしたが,強風のためにロープウェーが止まり,ツアーも中止だったのがせめてもの慰みか.
≪2日≫ モッコ沢コース(午前)・銅像コース(午後)
【酸ケ湯温泉,厳冬期でも大勢泊まっています.】
【酸ケ湯をバスで出発】
昨日の悪天が嘘のように,穏やかな朝である.新しい雪が夜中に30cm以上積もったようである.バスに乗って八甲田ロープウェーに向かう.平日なのでツアー参加者は我々3人以外には10人もいないようだ.
山頂駅で点呼を取り,ビーコンチェックが終わって外に出ると,さすがに八甲田である.それなりに風が強い.前日ガイドから暖かい装備でとの指示があったのでフリースを着てきたが失敗であった,それほど寒くはない.
八甲田スキー場にはロープウェーの下を滑るダイレクトコースと北側に大きく巻いて滑るフォレストコースがあるが,フォレストコースはこのところ雪が深いためにクローズされている.
午前中は,様子見を兼ねてダイレクトコースとフォレストコースの間を滑るモッコ沢コースだ.早速スキーをセットしてガイドを先頭にダイレクトコースを1列になって滑っていく.すぐにネットをくぐってコース外に出,トラバース気味にロープウェーの真下に向かう.この辺は,かぜの影響でクラストしているところや樹氷の周りに穴が空いているところもあるので,一人一人慎重に滑る.
【八甲田スキー場のダイレクトコースとフォレストコースの間】
そこを過ぎると,下の写真のようにノートラックの適当な斜度の雪面が広がっている.ガイドが最初に滑り,その後を追うように雪面に飛び込む.白い粉が舞いあがり快適の一言.他の人が滑った後でも全く気にならない柔らかさだ.
【本日先頭のガイド氏】
モッコ沢の出会いで沢を右岸側に渡り,トラバース気味にぶななどの広葉樹林帯に入り,林間滑降を楽しむとフォレストコースに出る.後はコース通りに滑り,国道103号線が見えると沢を渡る橋があり,僅かに登り返して一滑りでロープウェー山麓駅である.時間は早かったが,午前のツアーはこれで終了,午後は山頂駅午後1時集合となる.
【フォレストコースで.遠くにロープウェーが見えます.】
山頂駅の食堂で昼の憩いを取っているうちにいつの間にか雲が切れ,陸奥湾が見えている.青森市がなんとなくいつもと違って全体に白く見える.
【ロープウェー山頂駅から青森市街が見える.】
午後は銅像コースである.午前中のモッコ沢コースは,スキー場を滑るのとそれほど変わらないが,それ以外のコースは,ちょっとした山スキー気分が味わえる.
ロープウェー山頂駅を出ると,まずは電波塔のあるピークまでスキーを担いで歩く.風雪厳しい平坦なピークの一角でスキーをセットし,東側に緩やかに下っていく.今日は,雪の状態からか急斜面には滑り込まず,沢床までそのまま滑り込む.
【先頭でラッセルするガイド氏】
ここから,前岳の鞍部を目指して一旦登る.雪は深いが,今日はシールを付けずにラッセルしていく.ガイドは樹氷を縫いながら登りやすいコースを選んでラッセルする.
【樹氷の間の凸凹を登ったり下ったり.】
【前岳鞍部で休憩】
【前岳】
昨年は,シールを付けて前岳の山頂から滑ったが,今日は前岳東斜面の途中から滑る.まずはガイド氏が雪をチェックしてから滑り,下で待つ.
【前岳下の斜面を確認するガイド氏】
ガイドの合図で,三々五々滑り込む.一面平らに見えた斜面も風の影響か,結構うねりができているが,深くて柔らかい雪でたまりません.
【楽しめる雪】
全員がこの大斜面を滑り終わるのを待って,しばし休憩だ.この下からは木が出てくるが,林間は大きく変化があるし,雪は更に良くなる.一番楽しいところである.
次第に傾斜が緩んでくると,雪が深く,先頭のガイド氏は下りラッセルとなる.銅像コースの看板が見える.
【ツアーコースの看板】
道路に出ると先回りしたバスが待っていて,酸ケ湯に帰ってツアーは終わりだ.この銅像コースの銅像は,八甲田死の行軍で有名な雪中行軍遭難者銅像のことであり,この日は自衛隊が周辺の除雪をしていた.昨年も雪は多かったようだが,今年はそれよりもずっと多い.
【先回りして待つバス】
【自衛隊の除雪風景】
≪3日≫ モッコ沢コース(午前)・銅像コース(午後)
今日は金曜日で,ツアー参加者も多くなって20人以上はいるようだ.昨年ご一緒した新潟のKさんの顔が見える.早朝酸ケ湯に到着したそうである.
午前中は,昨日と同じモッコ沢コースだ.午後も同様に銅像コースであるが,今日は前岳の鞍部への登りにシールを使う.どちらも昨日のトレースは,降雪と風でリセットされていた.銅像近くの緩斜面もガイド数名が先行してトレースを付け,さらに大勢滑るので昨日よりも滑りが早い.
【昨日と同じ銅像コースへ】
【樹氷を縫って歩く.】
≪4日≫ 元湯コース
今日は土曜日で総勢60人以上である.ロープウェー山頂駅で元湯コースと温泉コースに希望者を分ける.温泉コースの方が距離が長いので,多くが温泉コースを選ぶ.我々は,時間的に早く,しかも人が少ない元湯コースを選ぶ.それでもスノーボーダーを入れると20人近くはいるようだ.スノーボーダーもほぼ同じコースを辿る.彼らはスキー隊が付けたトレースをスノーシューで歩いたり,気合いで移動をしたりしている.さすがにここで伝統の「わかん」を付けている人をいまだに見たことはないが,受けそうではある.
山頂駅からシールを付けて元湯コースも温泉コースもまずは田茂萢岳に向かって数パーティーに分かれ,1列になって歩く.ちょっと登ると,たまに下りもあるのでシールを付けていない私はトレースを外れて滑ったり,またトレースに戻ったりして進む.
【シールを付けて田茂萢岳を歩く.】
赤倉岳へと続く1521mの標高点から北西に伸びる斜面の標高1270m付近の平坦地で大休止する.ここで元湯コースと温泉コースに分かれて歩くこととなる.先頭のガイド氏はシールを使っても割と緩く登ってくれるので,粉雪ではあるがシールなしでもなんとか付いていくことができる.
しばらく登ると卵状の平坦な標高約1290mピークの右側を巻く.その北東側には短いがノートラックの急斜面が広がっている.ここで皆さんがシールを外すのを待ってレッツGO!なのだ.沢床まで滑ると,ここからは全員シールを付けずに1232m標高点の鞍部を目指して再び登る.
【温泉コースの皆さん】
1232m標高点の下に至ると,右手の斜面に温泉コースご一行の隊列が見える.ここから下は初めこそ木のない第斜面だが次第に大きな木が現れ,雪も今回のツアーで最も素晴らしい深雪で天国の1丁目である.
【1232m標高点北東側の斜面】
【全員が揃うのを確認するガイド氏】
このコースは環状道路に出る直前までそれなりに斜度があり,最後まで快適に林間滑降を楽しむことができる.待っていたバスに乗り込む頃には午前の半日コースなのに,もう午後1時を過ぎていた.私としては長く楽しめて,めでたしめでたしである.
このガイドツアーは休日にもなると大勢の参加があって大変ではあるが,休憩はたびたびあるし,滑り降りるとバスが待っていてくれたりと超軟弱ではあるが,それはそれでなかなか良いのである.
最近の参加者の道具はもれなく山スキー又はテレマークで皆さんシールを持参している.おかげで,以前は登らなかった前岳や箒場岱コースにも突撃するようである.
今回のように条件が良ければ気軽にノートラックの深雪を楽しめるし,初めての人でもなんとなく山スキーをしたような気分になれ,帰れば温泉が待っていて,夜にはガイドさんの隊長部屋で連夜の宴が開かれつつ夜は更けていくのである.楽しくないわけがありませ〜ん!
ただし,磐越道・東北道の約600kmは辛すぎです.
------------- モッコ沢コース
------------- 銅像コース
------------- 元湯コース