宝蔵山(なんちゃってテレマーク)

個人山行(スノーシュー・山スキー・なんちゃってテレマーク)

【日時】201248日(日)

【メンバー】会長,G,隊員T&M(悠峰山の会山スキー突撃隊),ゲストN

【天候】 小雪/晴れ

【山域】 川内

【地形図】越後白山

【実録時間】 高柳:宝蔵山林道分岐(標高145m08:02 − 橋立(標高645m10:12      山頂(標高897m11:24  <昼の憩い> 13:52    前宝蔵巻き道14:06    尼池山付近(標高462m 14:54    高柳:宝蔵山林道分岐15:21


今週の山は守門黒姫のはずであった.天気予報では午後からは晴れるようである.ところが早朝集合場所に向かう途中加茂市在住のT隊員から雪がすごくてノーマルタイヤでは守門黒姫まで行けないとの電話が入る.確かにこの23日の寒気で中越地方には大雪注意報が出ていた.除雪車も出たとのことである.となると,守門黒姫の沢ルートは雪崩のリスクが大きいような気がする.そこで,急遽加茂の宝蔵山に突撃することにする.それならば,T隊員も出撃である.

高柳の奥,橋立へ向かう林道と宝蔵山の尼池山下の電線塔に向かう分岐で待ち合わせ,そこから,今回は橋立経由で宝蔵山に向かう.高柳を過ぎると道にはなんと雪が積もっている.轍も一つ付いている.T隊員のものにしては幅が広いようだ.

その轍は林道除雪終了点に駐車してある車のもので,橋立方向に向かう先行者のものであった.

T隊員と落ち合い,橋立方面へ向かう林道なりに歩き始める.この林道は,いつの間にか橋立て付近まで続いているとのことで,先行者のトレースも林道を忠実にたどっている.それにしても,4月に入っているというのにこの辺りでも,初めから全く板を外すことなくシールで問題なく歩くことができるとは驚きである.しかも,今日は小雪が舞っていて気温も低い.真冬のようである.

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【林道を埋め尽くすデブリ】

林道が沢から外れて大きく高巻くようになると,上からのデブリがすごい.下の沢近くまで埋め尽くしている.デブリの固い凸凹を素早く通過する.こんなデブリに巻き込まれたら一巻の終わりである.

適当に林道をショートカットしながらどんどん登る.林道は,ほぼ夏道なりに付けられている.

杉林は標高350m付近までで,最後の杉林に切り開かれた林道を歩いていると,なんと会長が落ちているデジタルカメラを発見する.先行者の誰かが落としたものだろう.

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【先行者のトレース】

この先,先行者のトレースは夏道を離れ501m標高点に直登するように向かっている.我々もついそれにつられて501m標高点ピークまで登ってしまう.ここは,夏道(林道)なりに鞍部まで詰めた方が良いだろう.雪は重くてまとわりつくような粘り気があって,いまいちではあるが大きく開けたここの斜面は滑りにはたまらないところだ.

その標高点から僅かにくだると標高約480mの夏道鞍部に出る.そこには橋立への標識が雪の隙間に申し訳なそうに鎮座している.林道はどうやらこの下までのようであるが,積雪のせいか良く分からない.

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【橋立への標識:標高485m付近】

ここからは,尾根の南側をしばらくトラバース気味に歩いたり,登ったりしながら徐々に高度を稼いでいくと,先行者のトレースは標高600m付近で夏道どおりに尾根の南側にトラバースして行く.我々は尾根なりに進むことにして先行者トレースと分かれるとすぐにくだってくる4人パーティに出会う.

先行者トレースは彼らのものでデジタルカメラを落としたのは,そのうちの一人のものであった.どうやら權ノ神岳を目指したが,天候不良のためこの先で引き返してきたとのことである.カメラを無事手渡し,ラッセルのお礼を言って分かれて尾根を歩くとようやく橋立が下に見えてくる.後で地図を確認すると,夏道はなるべくアップダウンが無いようにうまく付けられていることが分かる.きっと生活や作業のために付けられた道なのであろう.展望よりも効率である.

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【橋立:左下奥の辺り】

橋立で權ノ神岳と宝蔵山に向かう尾根が分かれ,宝蔵山へはそのまま東にまっすぐ進む.橋立には寄らず,その先の僅かにくだった風の当たらない尾根の南側で本日初めての休みらしい休みを取り,宝蔵山への最後の急登に備え各自エネルギーを補給する.

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【橋立から宝蔵へ続く尾根:標高625m付近】

いよいよ宝蔵山に至る尾根を進む.ここからは4月とは思えない軽い粉雪に変わり,小気味良いラッセルとなる.途中何ヵ所かのアップダウンがあり,風で大きく抉られた段差もあり,なかなかに変化がある登路が続く.さっきまで降っていた小雪もやみ,次第に視界がきくようになり,ようやく目的の宝蔵山が目の前に登場する.

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【宝蔵山】

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737m標高点ピーク:風で抉られた大きな段差(2段)を乗り越す.】

木々には霧氷ができていて,風で飛ばされたそれらが雪面に散らばって綺麗だ.適当に登りやすいところを選んで疎林の斜面を登る.雪もいいし今滑ったら最高だろうなぁ,などと考えていると傾斜が次第に落ちてきて申し訳程度の灌木が生えている丸いドーム状の山頂に至る.

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【風で落ちた霧氷の上を歩く.】

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【山頂へ最後の登り】

上空にはまだ乱層雲が広がっていて粟ケ岳の山頂はまだ雲の中だ.視界も堂の窪や權ノ神岳がそれとなく分かる程度だ.

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【山頂:奥は矢筈岳方向】

比較的風の少ないところで昼の憩いとする.意外なことに山頂には我々だけである.

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【昼の憩い:奥は權ノ神岳と粟ケ岳】

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【青里岳(左)と矢筈岳(右奥)】

天気予報では初めのうち雲や雪は残るが,次第に晴れるとのことであった.昼の憩いも佳境を迎える頃,テントの外に出ると,なんと予報通り上空はすっかり青空となっている.川内の山々も白く姿を見せている.富岡惣一郎画伯のトミオカホワイトを現実に絵に描いたようである.表現がおかしいがとにかく素晴らしいのだ!

特徴的な五剣谷岳,青里岳,矢筈岳がはっきり分かる.そして粟ケ岳が立派だ.長岡や加茂から見る粟ケ岳は山頂が五頭山のように複数の似たようなピークが並ぶ山としか見えないが,ここから見る雪を纏った粟ケ岳は見違える山である.堂の窪,權ノ神岳,一本槍と徐々に高さを増して粟ケ岳に至るバランスがいい,ハラショー!

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【左から堂の窪,權ノ神岳,粟ケ岳】

昼の憩いを終え,支度を整え下山である.登ってきたルートは登り返しが厳しすぎるため,前宝蔵経由の違うルートでくだることにする.

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【山頂直下】

山頂直下は傾斜も緩く,広い.天気が悪かったおかげで,雪もまだ粉雪で快適である.次第に尾根がはっきりしてくると傾斜も増してくる.西側の斜面に落ちないようにいくつもの段差を慎重に滑り降りる.スノーシュー隊を時々待ちながら滑っていく.今年は雪も大量にあるうえに粉雪である.思いのほか楽しめる.

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【前宝蔵への尾根:標高850m付近】

前宝蔵(766m標高点ピーク)には登り返さずに標高710m付近の尾根まで高度をなるべく落とさないように北側を巻く.その先には両側が落ちている細い尾根が100mほど続く.どちら側にも落ちないように気を付けよう!

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【前宝蔵下の両側が切れた尾根:標高660m付近】

更にくだると本日一番の急斜面,あずき坂に至る.4月というのに雪はたっぷり付いていて板を脱ぐことなく滑り降りることができる.ただ,この付近から徐々に雪は腐り気味で重く滑らなくなる.それにしても雪が多い,去年の2月よりも多いかもしれない.

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【アズキ坂:標高550m付近】

ここを過ぎるともう急な斜面は無く,なんちゃってテレマークには最高に楽しい快適な緩斜面が続く…はずであったが,ここまで来るとさすがに雪は完全に腐りきり,この角度ではさっぱり滑らない.仕方なく推進滑降を交えてなんとか尼池山から鉄塔下の林道に至る.

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【尼池山付近】

ここからは更に滑らない高柳への林道を我慢のスキーである.少しでも日蔭の滑る雪を求めて滑る.ところどころで良く滑る杉林の中をショートカットしてもそれも僅か,やっとこさ駐車場所近くに至ると林道に水が川のように流れて雪が無くなっているので,杉林をちょっとだけ巻いて車に至る.

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【宝蔵山林道分岐の取り付き(まだこんなに雪があります.)】

それにしても,この時期にこの標高の山で一度も板を脱ぐことなく登って滑られるとは奇跡のようである.しかも,板のソールもほとんど汚れていない.奇跡のようではなくて間違いなく奇跡であった.

降雪と天気が思わしくなく守門黒姫の代わりに急遽突撃した宝蔵山ではあったが,登りも滑りも思いのほか楽しめた.近くて奇跡の宝の蔵の山と仲間に感謝!

登路:――――  降路:――――