白馬岳〜朝日岳

個人山行 sue

【日時】 201272829

【メンバー】 Y、T、K

【天候】 晴れ

【山域】 北ア

【地形図】 白馬岳、黒薙温泉

【時間記録】728日(土)】

   蓮華温泉5:00 7:40白馬大池8:10 9:40小蓮華山9:55 10:25三国境(白馬岳往復)11:50 13:20雪倉避難小屋13:35 14:15雪倉岳14:30 15:35ツバメ平15:45 16:25水平道分岐16:30 17:40朝日岳17:45 18:15朝日小屋

       【729日(日)】

          朝日小屋5:30 6:10朝日岳6:20 7:25青ザク 9:00瀬戸川9:10 10:15蓮華温泉


朝日岳登山道の新しい橋や木道の整備にたずさわったTとKから小屋泊まりで白馬岳〜朝日岳縦走の誘いがあった。高山植物には一番いい時期だし、今まで飯付きの小屋泊まり山行というものをしたことがなかったので、この際小屋泊まりを経験しておくのもいいだろうと思い誘いに乗ることにした。

Iの計画した日程は、1日目が蓮華温泉→白馬大池→白馬岳→雪倉岳→朝日小屋、2日目が朝日小屋→五輪高原→蓮華温泉というもの。人気のルートだが、ここは花をめでながらゆっくりと2泊3日で歩くのが普通だ。蓮華温泉から白馬岳に登り、1日で朝日小屋まで行くとコースタイムは13時間以上になる。こんな計画を立てる者は、よほど体力に自信があるか、山を知らないかどちらかであるが、Iは明らかに後者である。

 

728日(土)】

 前夜は蓮華温泉のT氏とともにかなり飲んでしまった。きつい日程なので酒はほどほどにと言っていたはずなのに、飲み出したら止まらない者が集まってしまった。

 それでも、強い意志で予定どおり5時には出発できたものの、完全に酒が残っている。気持ち悪い。一番若いKは先に登っていったが、Iと私は後発の登山者にどんどん追い抜かれながらやっとのことで大池にたどり着いた。蓮華温泉からの登山者は中高年ばかりだったが、大池まで来ると平均年齢がぐっと若くなる。先生らしき人に引率された小学生も多い。

 ゆっくり小蓮華山に向かって登ると、けさ白馬岳の山小屋を出発し白馬山頂を越えてきた集団が切れ目なく続々と下りてきて、なかなか士気の上がらない我々は圧倒されそうになる。昨年の盆前にもここに来ているが、こんなに人は多くなかった。

《小蓮華山から白馬岳》

 

 三国境からバテバテのIをなだめて白馬山頂を往復する。この間の稜線は高山植物の種類も量も多い。特に、三国境の黒部側の白い砂礫斜面は無数のコマクサでピンク色に染まってみごとだ。縦走路を歩く登山者は少なくなっていたが、山頂はものすごい人、人、人。記念写真を撮るのも順番待ちだ。

 三国境に戻り、朝日岳への縦走路に入るととたんに登山者の姿がまばらになる。広くなだらかで高山植物が咲き気持ちのいいところだ。鉢ヶ岳の巻き道は残雪が豊富で花にはまだ早いが、雪融け水でのどを潤せる。

雪倉岳の山頂では、すっかりガスが出てきてしまって朝日岳方面はまったく見えなくなった。Iはもうへとへとになっていて歩みがすっかり遅くなってしまい、雪倉岳の長い下りにも予想以上に時間がかかってしまった。もうこのあたりは我々以外には誰も歩いていない。

《雪倉岳の登り》

 

さらに、朝日岳への水平歩道は残雪を踏み抜く危険があるということで閉鎖中となっていて、山頂経由で小屋に行かなければならない。疲れ果てたIをゆっくり休ませてやりたいが、ガスの中ではこれ以上遅くなると暗くなりかねないので、Iの荷物をKと私で分担して歩き続ける。

誰もいなくなった朝日岳の山頂を経由し、木道を歩いて小屋にたどり着いたときにはとうに6時を回っていた。ところが、ところが夕食は6時までで終わっているというではないか。山小屋とはこういうものなのかと呆然とした。Kが小屋の人に頼んで3人分の夕食を新たに用意してもらったので、途中ザックに入れたまま開けることのできなかったビールをキャンプ場脇の残雪で冷やして乾杯し、結構豪華な山小屋の夕食をいただいた。

この日の宿泊客は160人と超満員で、小屋の中は標高2150mとは思えないほど暑く、山でフトンで寝るという初めての体験を期待していたが、フトンなどいらないほどであった。

 

729日(日)】

 年のせいか毎夜便所に起きるようになっているが、満員の小屋の中でトイレまで行くのも大変なことだった。

 早い人は3時前からガサゴソはじめ、暗いうちに出発していった。朝食は4時半から食べられるようになっているのだが、内容は下界の旅館に負けないほどのご馳走だった。朝食を済ませ5時半に山小屋の女主人Sさんに見送られて出発する。Sさんは宿泊客すべてを小屋前で見送っているようだった。夕方6時を過ぎて山小屋にたどり着くなどということは、朝の早い小屋にしてみればかなり迷惑なことなのだろう。

 朝日岳の山頂を目指し、登山者が列をなして登っている。登山道の荒廃も目立ってきていて、木道の工事が今も進められている。

 下山を急ぎたい私は、照葉の池の木道を見に行くという2人と山頂で別れ、先に蓮華温泉に向かう。吹上のコルを過ぎ新潟県側に入ると新しい木道がずっと整備されている。以前は泥道だったように思うが、ずいぶん歩きやすくなったし、草原に立ち入ることもなくなった。

《五輪高原青ザクから朝日岳》

 

 追い越しても、追い越しても現れ続ける先行者は、カモシカ坂の降り口あたりでようやくいなくなり、代わって蓮華温泉から登ってきた登山者とすれ違うようになった。

ここはちょうど3ヶ月前に歩いているところだが、カモシカ坂から白高地沢までの間は木々が茂り、積雪期とはずいぶん様相が異なっていてツェルトを張った場所はわからなかった。

どんな大雨が降っても流出することはないと思われる新しい白高地沢橋を渡り、さらに瀬戸川の鉄橋を越え、暑くなり始めた道を登り返して蓮華温泉に着いた。

夏山最盛期とあって駐車場に入りきれない車が路上にあふれていた。