志津倉山(山スキー・テレマーク)
個人山行(山スキー・なんちゃってテレマーク)
【日時】2012年1月15日(日)
【メンバー】WakaY&M(悠峰山の会山スキー突撃隊),ゲストA&I
【天候】 薄曇り/小雪
【山域】 会津
【地形図】 博士山
【実録時間】 大岐(標高705m)08:32 − カーブミラー(取り付き)09:11 − 標高865m尾根 09:47〜10:09 − 柳沢峠付近10:17 − 1047m標高点下11:27 − 標高1175m<昼の憩い>12:40〜14:20 − 1047m標高点下14:44 − 柳沢峠付近15:32 − 標高865m尾根 15:45 − カーブミラー(取り付き)16:06 − 大岐16:23
志津倉山は会津の山である.霊峰博士山の西隣にひっそりと鎮座する地味で静かな山である.しかし,バイブル「東北山スキー100コース」(山と渓谷社)にも載っているくらいで,山スキー界ではそれなりに知られた山である(ように思う).夏道は大辺峠方面から1234mの2等三角点のあるピークを周回するように付けられているが,本峰は別にあり,そこに至る夏道はない.頂上には1200m前後のピークがいくつか並び,大きなぶなのすっきりとした林が広がっていて好きなところである.青空の広がる残雪期も良いが,厳寒の深雪を滑るのも会津の山奥らしくて気に入っている.
以前から地形図のいくつかある山頂ピークの配置がどうも実際に歩くと違うような気がしていて,今回はGPSをもっているので,それを確認する使命もある.それに,本日は山スキー突撃隊員としてWakaYが初参加する.本日は東北復興支援もあわせてこの穏やかなお気入りの山に突撃なのだ.
山スキーは夏道とは反対側の大岐集落のはずれ,除雪の終了地点からである.歩き始めから膝下くらいのラッセルである.以前は途中に立派な国道の看板があったが,現在は村道?に格下げなのか見当たらない.薄曇りで,時々日も差す.
【大岐から歩き始める.】
村道を40分もラッセルすると,沢を渡る大きなカーブの先にカーブミラーがあり,そこから小尾根に取り付く.暑いので汗をかかないようにここでジャケット脱ぐ.ここのカーブミラーもいつの間にか凹凸ができていて,ブラックホールの重力レンズでひずんで見える銀河のように我々が映っている.
【村道?からの取り付きにあるカーブミラー】
小尾根は雑木が立ち並び,北西方向にほぼまっすぐ柳沢峠に至る地形図に夏道がある865m尾根に続いている.傾斜はいくらもないので,キックターンをすることもなく適当に登っていける.
【小尾根を歩く山スキー初登りのWakaY氏】
【柳沢峠に至る865m尾根】
小尾根を20分も登ると865m尾根に出る.ここで方角を概ね北に向け,僅かなアップダウンをいくつか交えてこの尾根を進むと,標高870m付近で柳沢峠への地形図の夏道と分かれ,そのまま直進して急斜面に取り付く.
この斜面にはぶなに混じって大きな桂の木がところどころに聳えている.いつもは風の影響で,大きなそれらの木の周りには窪みができてうねっているが,このところ強風がなかったようで,概ねフラットで登りやすい.さすがにここの傾斜ではキックターンが必要で,これがうまくできないと体力を消耗する.
この急斜面も標高950mくらいまでで,一旦ゆったりとした尾根歩きとなる.1047mの標高点の手前でこの尾根は西に向きを変えるが,南側にはぶなが広がる素敵な斜面となっている.下平沢から上がってくる尾根と合わさるところに,雪庇とまではいかないが大きな段差ができているため,ここではその尾根側に回り込み,1047m標高点の尾根に乗る.
【1047m標高点手前】
この尾根に出るとようやく山頂台地の一角が望める.志津倉山の山頂付近は広い緩やかなピークの連なりからなるので本峰ピークそのものは見えない.
【これから登る頂上台地への最後の急斜面(奥の斜面)】
1047m標高点は,その北側の斜面を帰りの登り返しをなるべく楽にできるようなラインを考えながらトラバースによって巻き,頂上台地に至る最後の急斜面手前の鞍部に出る.ここも開けていて素晴らしいところであるが,鞍部だけあってさすがに風が少々ある.
【頂上台地への鞍部:3D】
この先が最後の急登である.さすがに雪も軽くなるが,斜登行では膝上まで雪がくる.ここまで以外に時間がかかったため,もっと手前で本日の突撃作戦を終了しようかとも考えたが,もうちょっと頑張って初出撃のWakaY隊員に頂上台地を見せてやることとした.
その急登も標高差50mほどで終わり,緩やかなはっきりした尾根をぶなを愛でながら登るともうそこは頂上台地の一角である.
【最後の急登】
【頂上台地への最後の尾根,標高1140m付近】
1185m標高点のピークの手前に標高1150m付近に志津倉山にふさわしい優美な形状のぶながあり,毎回写真を撮っている.今回もそのぶなを見つけて近づくと残念なことに大きな枝が途中から折れているではないか.それでもなんとかその優美な姿は保っているようで,これからも楽しませてくれ.
【残念ながら枝が折れてしまった優美な姿を誇るぶな:3D】
高みを目指して更に登ると最初の頂上台地のピークである1185m標高点の付近である.時計を見るともう12時40分だ.ここから本峰ピークまで往復1時間以上かかり,スキーは滑らず,いくつかの登り返しがあるため残念ながら本日はここまでとする.
この辺りで一番標高がありそうで風が当たらないところを探し,テントフライを設営して本日の昼の憩いとする.
【頂上台地,標高1170m付近】
【昼の憩いの場,標高1180m付近】
昼の憩いで満腹となり,いよいよ下山である.標高1100m付近までは傾斜が足りず雪も深いので,ほぼ登りのトレースを滑ることになる.1047m標高点に至る鞍部までの斜面が最高においしい.それほど軽い雪ではないが,なんちゃってテレマークでも十分極楽だ.
【頂上台地から1047m標高点鞍部への斜面】
【1047m標高点下のトラバース】
その楽しい斜面を滑り終わると,1047m標高点をトラバースするところが本日最大の登り返しとなる.二人には面倒でもシールを付けてもらう.
【柳沢峠付近への急斜面】
深雪滑降をのんびり楽しみながら下ると,柳沢峠へ至る850m尾根手前の最後の急斜面に出る.ここも又たまらない斜面である.登りに付けたトレースは風がないためにはっきりと残っている.
850m尾根にも何箇所か僅かに登り返しがある.いつの間にか小雪が舞い始めている.
850m尾根から取り付きの村道?に至る小尾根の傾斜は緩いが,今日の深雪でもなんとか楽しく滑ることができる.村道?に出たら,あとはひたすら登りのトレースを推進滑降で滑り降るだけだ.
【大岐集落】
帰り付いた頃には,薄暗くなりかけていた.久しぶりの長時間行動となったが,果たしてWakaY隊員は山スキーの深雪登山を楽しんでくれたであろうか.
登路 ---------- 降路 ----------