志津倉山

会山行  山スキー突撃隊

【日時】2013210日(日)

【メンバー】7名(テレマーク1名,山スキー3名,洋式わかん3名),ゲスト1名(山スキー)

【天候】 風雪

【山域】 会津

【地形図】 博士山

【実録時間】 大岐(標高705m)10:08 − カーブミラー(尾根取り付き)10:45    標高865m尾根 11:17    柳沢峠付近11:27    標高970m付近 <昼の憩い> 11:5114:13    標高865m尾根 14:32    カーブミラー(尾根取り付き)11:41    大岐15:15


今シーズン一番の寒気が入っている.テレビニュースでは酸ケ湯の積雪が5mを越えたと盛んに映像を流している.昨年2月もたまたま強い寒気団の中,雪てんこ盛りの酸ケ湯温泉になんとか辿りついたところ,テレビ局が何社か取材にきていたのを思い出す.あそこは特殊な場所である.山中深くにある温泉が1軒たまたま真冬でも営業しているのであって,新潟でいえば湯沢の山奥,みつまた・かぐらスキー場の途中にある和田小屋周辺のような場所なのである.温泉以外に周りには一切人家のない山の中なのである.そこの積雪が5mといっても驚くことはない.

驚くのはこちらである.本日の突撃先,志津倉山の登山口である福島県は奥会津の昭和村大岐の積雪である.いつもの倍以上もある.大岐集落の除雪もいつもより手前で終わっていて2m以上の雪の壁となっている.そして,ここでは普通に昭和村の皆さんが生活しているのだ.毎年何回となくこの辺には出没しているが,こんなに積もっているのは初めて見る.

ということで手先も凍える風雪厳しき中,身支度を整えテレマーク・山スキー・洋式わかん混成部隊が除雪の壁を乗り越える頃には,すでに10時を過ぎている.

時間的に本日の目標は,とりあえず柳沢峠あたりまでとして出発する.

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大岐の取り付き

まずは元国道を取り付きの尾根まで歩かなければならない.昨日からの降雪による新雪と思われるが意外と締まっていて,ラッセルは平地で膝下程度である.この程度のラッセルならば柳沢峠よりも先に行けそうだ.

雪は風を伴って降り続いている.顔を上げると目に雪が入るので,ずっとうつむいてスキーのトップを見ながら歩き続ける.40分近くも歩いて大きな左カーブをひとつ廻るとカーブミラーがある.ここから元国道を離れていよいよ灌木の広い尾根に取り付く.ようやく山登りの始まりである.

それにしても,そのカーブミラーが半分近く雪で埋まっている.このあたりで積雪は2m近くありそうだ.

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半分近く雪に埋まったいつものカーブミラー

ここから柳沢峠へと続く南北に伸びる865m尾根に至るこの取り付きの尾根は,灌木の林であるが林間が適当で気持ちのいいところである.今日は雪が多いせいか小枝も全く気にせず登ることができる.

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標高865m尾根

標高865mで柳沢峠に至る尾根に出ると,ここからはほぼ水平にいくつかの小さなピークを越しながら柳沢峠方向に尾根なりに進む.ただし,帰りの登り返しがなるべく楽になるようにルートを考えながら歩く.後で聞いてびっくりであるが雪庇の端に寄りすぎてピシッという音ともに雪が割れて雪崩れたそうである.危険が危ない,気を付けねばならぬ.

鞍部状となった標高870m付近から水平に北東に進んだ先に柳沢峠はある.当初の目的地ではあるが,風の通り道となっていて風雪厳しく時間的にももう少し登ることが出来そうなので,先に進むことにする.

ここはそのまま傾斜を増した尾根なりに登る.風によって木の廻りに出来た抉れが次々に現れるので,直登は無理である.ジグを切って登りやすそうな場所を探しながら登っていく.このあたりからブナの木も次第に大きくなって林間も広がってくる.

時間も12時近くになった.本日はこの辺りまでとする.風を避けられるところを探して標高970m付近の雪庇の陰にテントフライを設営し,恒例の昼の憩いに突入する.会長による入念な設営により,このまま泊まっても良さそうなくらいだ.

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標高970m付近:3D

昼の憩いを終え,フライを撤収するも相変わらず風が吹きつける.しかし,時折木の間越しに博士山が見える.雪の降りは次第に収まってきているようだ.

帰りは登ってきたルートを下ることになるが,雪が深くて昼の憩い場から870m鞍部までの斜面,標高差にして100mほどが唯一自由に滑ることが出来たところだ.後は傾斜が足りず,登ったトレースを外すと下りラッセルとなってしまう.まさしく忠実に登りルートを滑り下りることとなる.

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標高865m尾根

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取り付きの尾根から元国道へ

それでも元国道のカーブミラーまではあっという間で,しばし隊員を待つ.

隊員も揃い,スキー部隊を先頭にここからは元国道をひたすら戻るだけ.登りは下ばかり見ていて気が付かなかったが,道路脇の電線になんと手が届きそうである.

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元国道を大岐へ

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大岐の除雪終了地点

推進滑降で大岐の集落が見えたら最後は除雪の壁を降りて,本日の登山終了である.

風雪厳しき厳冬期の志津倉山となり,今回も山頂には至ることは出来なかったが,この大雪にも関わらず,雪の上を歩くことが出来ただけでも我々は幸せと思わなければならない.

だが,しかし,なんといっても本日の登山行程で最も厳しかったのは車ラッセルである.国道252号線から入った登山口の大岐に至る県道が日曜日は早朝のこととて20cm以上の新雪が降り積もっていても除雪がされていなかったのである.