五十沢川〜巻機山 (裏巻機)

個人山行 sue

【日時】 2013921

【天候】 快晴

【山域】 巻機山

【地形図】 巻機山、六日町

【時間記録】 五十沢キャンプ場05:25 天竺の里6:256:35 取水口(2合目)7:35 −下り舟(4合目)8:35 中ノ滝沢1030 牛ヶ岳11:5012:30

  割引岳13:0513:15 大窪沢14:5515:10 取水口管理道16:20 五十沢キャンプ場17:35


自分にとって以前から気になっていた、裏巻機に行ってきた。旧道と新道を使って1周するコースだ。

裏巻機は30年ほど前に下ノ滝沢を遡行したきりで、そのときに旧道をアプローチと下降に使っているが、新道は未知の道だ。

30年前の記憶はすっかり薄れているが、旧道の2合目取水口と4合目下り舟の間が悪かったことを覚えている。

そこで今回は、まだ疲れていないうちに悪場を通過することとして、旧道から登り新道を下ることにした。

 

夜が明けてキャンプ場のゲートから舗装された林道を歩き始める。ゲートが開くのは8時なので待っていられない。林道終点は天竺の里森林公園となっていて、広い駐車場やきれいなトイレもある。

ここまでの1時間少々の林道歩きは意外に長かった。送水管脇の山道を歩いたほうが早かったようだ。先は長いので焦らずゆっくり登って暗くなるまでに下山することにする。

最初は発電所取水口の管理道を歩くが、この道はハイキングコースにもなっているので歩きやすい。黒部下ノ廊下のようなところもあるが問題はない。

 

 

〈こんな所はごく一部〉

 

いくつか沢を渡り、新道の登り口を過ぎるとすぐに不動滝に降りる道があるので行ってみる。地図によっては不動滝までキャンプ場から五十沢川右岸沿いに道が書かれているが、それらしきものは見当たらない。

管理道に戻るとまもなく2合目の取水口となり谷底まで降りる。自分のような軟弱者でも一瞬だけ五十沢ゴルジュに立てるのだ。

下流側は陶器のように白くなめらかに磨かれた花崗岩の峡谷、上流側は両岸の壁がどこまでも高く続いている文字通りのV字谷でどちらも一見の価値あり。

 

         

〈取水口と上流方向〉                     〈取水口から下流方向〉

 

対岸に渡ると、そこから裏巻機旧道となるが、いきなり鎖と虎ロープの急登が続く。一気にかなり登ると対岸には巻機山の一角が見えてくる。

〈大窪沢と奥は割引岳?〉

 

4合目の下り舟というところで五十沢川本流に降りるが、2合目から4合目の間はほとんど全区間といっていいほどに鎖か虎ロープが付けられていて危険個所も問題なく通過できるが、人数が多い時や初心者がいる時はかなり時間がかかりそうだ。

また、ここまで来ても川が増水していれば対岸の登山道に渡れない。

4合目 下り舟 飛び石で渡る〉

 

4合目まで来ても頂上までの標高差はまだ1300mもあり、この先、道はまた虎ロープの急登となる。しばらく登ると大兜山や群馬県境の稜線が見えてくる。

さらに登ると傾斜はゆるくなってくるが、魚沼の山に特有の視界のきかないブッシュのトンネルとなり風が通らないので真夏はつらいだろう。

単調なのぼりが続きうんざりするころ標高1450mで中ノ滝沢を渡る。ここまで来て浴びるほどの水が得られるとは嬉しい限りだ。

 

〈中ノ滝沢(下流方向)〉

 

中ノ滝沢を過ぎるとブッシュはなくなり背の高い笹の中の急登となるが、やがて巻機山らしい緩やかな草原の中を歩くようになる。

前方には牛ヶ岳から割引岳に続く稜線が広がり、後方には黄金色のコシヒカリの田が見渡せ実にすばらしい。

  

〈旧道9合目から巻機山〉

 

〈旧道9合目から魚野川、三国川合流点方面〉

 

しかし、ここまで登ってきた老体には最後の牛ヶ岳の登りは、はっきりきつい。

牛ヶ岳の狭い山頂はすでに10人くらいの登山者でいっぱいだったが、なんとか腰を下ろして360度の景色を眺めながら中ノ滝沢で冷やしてきたビールを味わう。

牛ヶ岳から割引岳までは多くの登山者が歩いていた。2-30代と見える若い人も多い。少し前までは、山ではいつまでたっても自分は最年少と思ってきたが、ずいぶんと変わったものだ。

 

〈割引岳から牛ヶ岳〉

 

割引岳の頂上でヌクビ沢から登ってきたという方からおいしいマス寿司をごちそうになった。腹ごしらえもしっかりできたので新道を下る。

しばらく山頂でのんびりしていたい気分だが、ゆっくりしていると明るいうちに下山できなくなる。

新道もよく刈り払われていて、草原の中を巻機山の伸びやかな稜線を眺めながら気持ちよく下って行ける。

 

   

〈左下:新道のある尾根 中央:旧道のある尾根 右上:牛ヶ岳〉

 

道が大窪沢に向かって左に曲がるころから深い樹林帯に入り傾斜も急になる。長い急な下りが終わり傾斜がゆるくなると沢の音が近くなって大窪沢の渡渉点に出る。大窪沢も遡行が困難な沢らしいが、このあたりは実に穏やかだ。

テントが1張あったが人影は見えなかった。大窪沢のゴルジュを突破してきたのだろうか。

 

 

〈大窪沢 新道4合目〉

 

対岸に渡るとまた急な登りとなる。沢音が聞こえなくなるあたりまで登ると傾斜はゆるくなる。その先で下り坂となると時おりブッシュ越しに深く切れ込んだ本流ゴルジュの一角が見下ろせる。

さらに本流に近づくと傾斜が急になり虎ロープの連続となる。樹林の中ではあるが、落石すると止まらないので複数人で行くときは要注意だ。

 

           

    〈五十沢本流を見下ろす〉                   〈五十沢川本流と奥は県境の山々〉

 

新道、旧道ともに2合目から3合目まではロープの急登がずっと続き、4合目までは下りとなる。これが、裏巻機登山道が敬遠される一因でもあると思うが、ゴルジュ帯を高巻くための道であり、これが五十沢なのだ。(五十沢は「行かず沢」なのだとか)

取水口管理道に出て今朝きた道を戻る。途中で管理道から下を行く道を見つけ、林道歩きをショートカットできると思って入り込んだのだが、これが本日最悪の道で、豪雨で崩れたところが修復してない。時短どころかかえって時間がかかってしまったようだ。

キャンプ場に戻るまでちょうど12時間かかったが、予定どおり明るいうちに戻って来られた。

 

 

*****

 

山頂以外では、大窪沢でテントを1張見かけたほかは誰にも会いませんでした。こんな利用者の少ない登山道でも、しっかりと管理してくださる方々の熱意には感服します。

思ったとおり新道旧道とも楽な道ではなかったけれど、巻機山の良さを再認識した1日でした。