高森山(山スキー・雪靴)
会山行(山スキー・テレマーク・雪靴)
【日時】2014年3月9日(日)
【メンバー】雪靴隊3名,山スキー突撃隊2名
【天候】晴れ
【山域】飯豊
【地形図】 飯里
【実録時間】 弥生(標高440m)08:52 − 共同アンテナ(標高665m)09:36
− 859m標高点下 10:09 <休憩> 10:50 − 1166m標高点 11:01 − 山頂(標高1151m)11:44〜12:00 − 山頂下 <昼の憩い> 12:01〜14:11
− 共同アンテナ
14:54 − 標高615m尾根14:59 <休憩>15:23 − 弥生 15:32
今週の会山行は高陽山から鏡山,疣岩山へと続く会越県境に連なる高森山である.飯豊の登山口の一つである弥平四郎の手前から北に分岐する道を詰めたところの弥生から登る.一般には鏡山の登山口として知られている.
高森山へは夏道はない.雪があるこの時季が登山の対象となる.しかし,この山で他の登山者に出会ったことはない.静かな山歩きが楽しめる.
本日のメンバーは,雪靴3名と山スキー1名そしてテレマーク1名の構成である.
弥生の除雪最終地点に車を置き,まずは田んぼを歩く.予想外に青空が広がっている.今シーズン初めての快晴である.日焼け止めクリームを塗るのを忘れてはならない.
これから登る高森山がすっきりと見える.もっともピークはその奥で,弥生からは見えない.下の写真の左側スカイラインをこれから登る.
【弥生から高森山】
昨日あたりに降った雪が10cmほど積もっている.スキーで10cmくらい沈む程度で,本日もラッセルなしである.雪の量は新潟からの道中は少なかったが,この付近では例年どおりのようで十分である.
【雪の状態】
田んぼ歩きはいくらもなく,すぐに東西に伸びる尾根に上がる.
【田んぼから尾根へ】
この尾根は,真中が切り開かれているようになっていて,歩きやすい.途中に共同アンテナが2か所あるので,そこまではメンテナンス用の道が付けられているのかもしれない.
【尾根(530m付近)】
帰りになるべく登り返しをしなくて済むように考えながら尾根筋のルートを選んで歩く.と言っても大した登り返しはどこにもない.
途中,二つに裂けたブナがあり,そのまま立派に育っていて面白い.
この尾根の右側には杉の植林,尾根上にはブナやその他の灌木に五葉松がところどころに交じっている.
【二つに裂けたブナ(標高610m付近)】
標高600m付近で尾根を乗り換えると切り開き状の斜面が広がる.振り返ると遠くに白い飯豊本山が見える.
【遠くに飯豊本山(標高640m付近)】
共同アンテナを過ぎると尾根がやや細くなって,傾斜も急にもなる.段差ができているところもあるので,考えながら登らなければならない.ところどころガリガリのところもあるが,それでも新しい雪が適当に積もっていて今までで一番登りやすい.
【共同アンテナ(標高665m付近)】
このルートでは859m標高点尾根に上がる部分が一番厳しい.そして一番の急登である.その急斜面の手前に五葉松の並ぶ一旦緩やかとなるところがある.ここで息を整えよう.
【五葉松の並ぶ尾根(標高770m付近):3D】
ここを過ぎると,いよいよ問題の急で細い尾根である.その尾根の両側は木の無い急斜面が広がっている.木が無いということは雪崩が良く起きる斜面ということである.そのため,風によって段差ができた細くて急な尾根なりに直登する.過去には最後の杉の木のところが急なうえに雪が深くて,仕方なくスキーを外して両手両足をもがくように使って何とか這い上がったこともある.
本日は雪の状態が良いので,問題の杉の木のところをそのままスキーを使って登れそうである.ところが,登ってみると,その杉の木のところだけ雪が固いうえにずれる雪が積もっていて厳しい.それでも階段登行で何とか気合でそのまま859m標高点尾根に上がる.初めから前回のように杉の木の手前で,左側の斜面をトラバース気味に登れば良かった.
【問題の859m標高点尾根に上がるところ】
この尾根に上がったところで長めの休憩である.今日も当然ジャケットを着ないで登ってきたが,さすがにしばらく休んでいると寒くなる.後はそれほどの斜面はもう無いので,ここでジャケットを着る.予想では本日も風雪厳しいと思っていたので,冬用を持ってきてしまった.雨具で十分である.
【頂上台地への最後の急登】
859m標高点から杉と五葉松の続く尾根をしばらく歩くと標高940m付近から最後の急登となる.周りの景色も次第に開けてくる.木の無い斜面に出ると,日当たりのせいか,ずぶりと潜る雪になっている.
【頂上台地の様子:3D】
その急斜面も標高980m付近で終わる.ここからは,志津倉山のようにいくつものピークが連なる頂上台地が広がっている.天国の始まりである.雪質も締まっているが,粉雪と言っていいだろう.
初めの1040m標高点付近には杉の木が生えている.その下を巻いて次の1080m標高点ピークを目指すが,ここも帰りになるべく登り返しがないように会津側を巻いて行く.
ここまでも,ところどころに大きなブナがあり,穏やかな山容とともに素晴らしい景色が広がっている.歩いているだけで気分が良いところである,県境尾根の鞍部に至ると更に周りが開け,ハラショーである.ここで初めて越後側の山並みを見ることができる.
次の標高約1135mのピーク(仮に「第1ピーク」としよう.)へ続く尾根は,木がほとんどなく,会津側に雪庇ができている.その雪庇から転げてきた直径10cmくらいのスノーボールが真っ白な斜面にポツンとあって思わず和む.
【県境尾根の雪玉,奥は第1ピーク:3D】
この第1ピークを登る途中,振り向くと高陽山が会越県境の尾根続きに見える.また,第1ピークの先には蒜場山が白くその存在を際立てている.
このピークは,わずかに越後側を巻くが,風による段差ができているので,そのまま登ったほうが良かった.
【第1ピークから高陽山に続く県境尾根】
【第1ピークのはるか先に蒜場山】
次の標高約1145mのピーク(仮に「中央ピーク」としよう.)は地形図で見るよりも,それほど顕著なピークではない.その中央ピークの会津側には,大きく広がった木の無い台地となっている.このあたりで泊まったら気分が良いだろう.
【中央ピーク(標高1145m)】
中央ピークから三角点のある本峰ピークまでは,更に顕著なピークは無く,広大な台地を歩くことになる.
灌木の生えた尾根っぽい斜面を一旦わずかに下ると本峰ピークである.
本峰に立つと,残念ながら飯豊の山並みには雲がかかっている.それでもときどきその姿を現す.二つ並んだピークを持つ烏帽子岳の姿が神々しい.大日岳のその白い姿は圧倒的である.
三国岳へと続く白い稜線の下に東日本大震災のちょうど1年後に登った鏡山が見える.松平峠に続く代塚山も確認できる.残念ながら大花山はわからない.
【山頂から(最奥の白い連なりは疣岩山,その下に鏡山),右端のピークは代塚山】
昼の憩いは本峰ピークからわずかに下った灌木の間で執り行う.一級テントフライ設営士である会長の指揮の下,快適な憩いの場が出来上がる.
【昼の憩い場所から山頂】
【昼の憩い設営会場】
ぬくぬくと昼の憩いを楽しみ,晴天の下いよいよ下山の時が来る.
たおやかな頂上台地をのんびりと滑ったりわずかに登ったりしながらとりあえず第1ピークを目指す.
【山頂台地を中央ピークに向かう.】
中央ピークはその会津側を巻いて行く.次の第1ピークへの登り返しもほとんどない.会長は第1ピークの会津側を巻いて降りて行く.
【中央ピーク】
第1ピークから県境尾根を楽しく滑る.やや締まった雪ではあるが快適である.県境鞍部まではあっという間である.振り返って見ると,ここは県境尾根を滑らずに,第1ピークからそのまま1080m標高点ピークの鞍部にブナ林の中を滑ったほうが更に天国であった.残念!
【1080m標高点鞍部から第1ピーク(標高1135m)】
1080m標高点は,なるべく登り返しがないように登るときにトレースを付けてきたので,帰りも楽チンである.その1080m標高点を巻いたところで,T隊員もシールをはがす.
ここから頂上台地の縁までがまた楽しい.角度も適当で,雪も良く滑り,なんちゃってテレマークでも快適に滑ることができる.
【1040m標高点付近】
標高980mから下の急斜面の雪は少々重いが数ターンで登りの尾根に滑りこむ.表面が凍り始めているところがあるので,気を付けて滑る.
急斜面は標高920m付近で終わり,859m標高点までは杉や五葉松の間を滑る.ここは雪が粉っぽくて以外にも滑りを楽しめる.
【859m標高点への尾根】
859m標高点の手前から木の無い急斜面を滑る.粉が顔近くまで上がります.そのままその斜面を滑って行きたい誘惑にかられるが,途中で登ってきた尾根に戻る.
【859m標高点下の斜面】
ここからは,尾根が狭いところもあるし,高度を下げるにつれ雪も少々曲がりにくいものになってくる.注意しながら滑りやすいところを探しながら滑り降りる.
【標高650m付近の尾根】
共同アンテナを過ぎ,尾根を乗り換える標高615m付近の登り返しのところで雪靴隊を待つ.
【標高615m付近】
表面が凍り始めた手強いスピードの出る雪となった尾根から,標高530m付近で杉林に滑りこみ田んぼに出ると弥生である.
【弥生】
予想外に天気も良く,今シーズン初めての青空の下での登山である.申し分ありません.雪の状態も思いのほか良く,滑りも十分に楽しめた.何より山頂台地が素晴らしい.ブナの林を歩いたり,滑ったり最高である.そして人工物が目に入らないのがいい.
飯豊に続く会越県境尾根に連なる高陽山,鏡山のどれも素晴らしいが高森山も負けず劣らず素晴らしい.どころか,山スキーでは高森山が一番!であるというような気がする.ただ,弥生の除雪終了点脇の以前お茶をごちそうになった民家も今はもう住んでいないようだ,もう何軒も弥生には住んでいないようでもある.ここまで除雪してないと,とても高森山には登ることはできない.いつまで登ることができるのだろうか.
登路 ------- 降路 -------