オツボ峰(朝日連峰保全作業)

個人山行
【日時】201496日(土)/7日(日)
【メンバー】テレマーク突撃隊M
【天候】晴れ
【山域】朝日連峰
【地形図】大鳥池
【実録時間】
96日 泡滝ダム登山口(標高530m07:18 − 冷水沢 08:15 2吊り橋 08:51 大鳥小屋(標高970m 10:0710:52 三角峰水場鞍部 12:1512:25   12班作業現場(標高1480m1520m 12:3015:15 大鳥小屋
97日 大鳥小屋 05:30 オツボ峰下部作業現場(標高1520m1580m 07:3311:30頃 − 大鳥小屋 12:40頃〜13:40頃 − 泡滝ダム登山口 16:15


今年は朝日連峰保全作業に突撃である.伝説のタキタロウが住むという大鳥池から登った先のオツボ峰付近の登山道修復である.まずやることは,約1年ぶりに履く登山靴の確認である.一部はがれかかったところがあるが,ボンドで修理したので大丈夫だろう.

登山口の泡滝ダム07:00出発に合わせて,早朝自宅を出発する.カーナビの推奨ルートはなんと朝日スーパー林道経由である!ここは,心なくもカーナビ様に逆らい無難に鶴岡経由としたが,所要時間約3時間である.

保全作業参加者は総勢約26人である.私は第2班の副班長を命ぜられる.生まれてこの方,「長」と名の付く肩書・あだ名・褒め言葉を付けられたことがない不人格者である.緊張のあまり「右足の次には左足を出せ!」と心の中で号令をかけながら歩きだす.


泡滝ダム下の駐車場に集合

このコースは20年以上前に歩いたことがあるが,すっかり忘れている.ずいぶんと新鮮な気分で赤川沿いに付けられた道を歩く.どうやら年を取って物忘れが多くなるのも悪くないようだ.


赤川沿いの登山道

この赤川沿いのへつり道は,よく整備されていて大変歩きやすい.しかもへつり道につきものの小沢を越すたびの結構な上り下りがほとんどない.


2吊り橋


冷水沢に掛けられた吊り橋ともう一つの吊り橋で赤川左岸に渡り,しばらく水平道を歩くと,大鳥池に至る標高差約250mの急登が待っている.しかしながら,ここにはこれでもか!まいったか!こうなったら意地だ!というくらいにジグザグの登りやすい道が付けられている.しかも途中には,柄杓付きのおいしい水場まで用意してある.

その急登を終え,再び平坦な道となると,じきに大鳥小屋とその先に大鳥池が広がっている.すっきりとしたきれいな肌をしたブナの林に囲まれたところに大鳥小屋はある.

ここで泊まりの荷物を小屋の2階に置き,保全作業用に荷揚げされたスコップとヤシ繊維を空っぽのザックに入れて,班ごとにオツボ峰下部の作業現場に向かう.

大鳥池からしばらくは樹林の中の急登である.苦労して付けられた階段もところどころ崩れているが,ここも概ね歩きやすい登山道だ.

その急登も標高1200mくらいから傾斜が緩み,次第に視界も開けてくる.取り壊しが噂される以東岳直下の以東小屋もはっきり見える.

三角峰あたりからは,意外にもそれなりにお花畑が残っている.秋の青っぽい花はもちろん,白い花もそれなりに咲いている.



三角峰

三角峰の南側を巻いて,水場鞍部に至る.この上の標高1480mくらいからオツボ峰下部の標高1600mまでの間の風衝地帯にできたガレ地を4班に分かれて保全作業をする.


作業現場:俯瞰(右上のピークがオツボ峰)

この場所では初めての保全作業のため,今回の主な目的は水の勢いを殺して,土を落ち着かせるところにある.もともと風衝地帯は風が強く,構造土となっているところである.そこに登山道が付けられているのでガレ場が広がりやすいのである,きっと.

土嚢にヤシ繊維と土を混ぜて要所に置いたり,ヤシネットにヤシ繊維と土を混ぜたあんこ巻いてヤシロールを作ったりする.土を詰めた土嚢を運ぶのは大変であるが,以東岳など周辺の山を眺めたり,さわやかな風に吹かれながらの作業は思いのほか気分が良いのであるが,そんな気分で適当にやっている本日副班長の作業場所はたいていやり直しとなる.いつものことながら,とほほである.



2班作業現場

15:00過ぎには第1日目の作業を終了し,本日の宿泊先の大鳥小屋に下山する.

ここから小屋までの標高差約700m弱の下りが辛い.1年ぶりの登山で下り始める頃にはすでに筋肉痛である.あまりの辛さに,明日の作業はリタイアして帰ろうかなと真剣に考えていると大鳥池の水面が見えてきて,池のほとりをわずかにへつって息も絶えだえ大鳥小屋に辿りつく.


大鳥池に向かって下る.


大鳥小屋

小屋下にある水場で頭から冷たい水をかぶって一息つく.そして,本日の作業参加者による夜の保全作業が小屋2階で始まる.夜の保全作業に欠かせない乾杯の儀が作業工程として組み込まれているのか分からず,ついフライングをしてしまう.

夜の保全作業も行程表に従い着々と進行していると,西川山岳会から全員にエビスの500ml缶が追加作業として資材補給される.感謝である!できれば最初にその行程が知らされていたら,朝日連峰保全作業ビール消費大綱の行程遂行上なお良かったなぁ.

翌朝,先に目覚めた人達の気配でまどろんでいると,どうやら雨が降っているようである.雨具を着て登るのはどうもと思ったが,出発する頃には雨も上がり,昨日の作業現場に着くころには青空が広がった.どころか,日焼けで痛いわ!


三角峰下部水場鞍部から月山(右)鳥海山(左/雲上)

三角峰下部の鞍部で休んでいると月山から雲の上に鳥海山,反対側に目をやると新潟市の町並みから弥彦山と角田山も肉眼で何とか確認できる.



ハクサンイチゲ

2班の作業を終えて上部で作業をしている第3班,第4班の作業を手伝う.とはいっても景色を楽しみながらではある.そんな訳で昨日はチングルマも見つけていたが,なんとハクサンイチゲまで咲いているのを発見する.最近は雪のあるときにしか山に行っていないので,本当に久しぶりにハクサンイチゲを見ることができて嬉しい.


3班の作業現場

担ぎ上げた資材を使い切り,第2日目の作業も全て終了した.せっかくなので,とりあえずオツボ峰まで行ってみる.


オツボ峰からふりかえりの人々を振り返る.

オツボ峰からは熊の形をした大鳥池に浮かぶタキタロウ調査隊のボートがいくつか小さく見える.大鳥池の左上には化穴山が鎮座している.化穴山に行く時は,くれぐれも熊にけつを咬まれないように気を付けよう.そんなことをふと考えていると,下では保全作業のふりかえりが始まっている.

アドバイザーからの助言をいただき,上部の作業現場から順に下部のふりかえりも無事終了だ.

二日目の大鳥小屋への下山は,ようやく体が慣れたのだろう,どうということは無かった.大鳥小屋までくれば,あとは散歩道を泡滝ダムまで下るだけだ.と,思っていたが,ここからが長かった.くたびれた.年寄りは,昨日歩いた道ももう忘れているのである.そして,辛かったことも忘れて,性懲りもなくまた保全作業に参加しているのであった.