鉢ヶ岳(2563m)

 個人山行sue

【日  時】 201883

【天  候】 晴れ時々曇り

【山  域】 北アルプス

【メンバー】 solo

【時間記録】 蓮華温泉駐車地点6:20瀬戸川7:15蓮華展望台8:35 塩谷精錬所跡9:50鉢のコル10:35鉢ヶ岳11:10 - 鉢のコル11:50瀬戸川14:30駐車地点15:15  


鉢ヶ岳は白馬岳と雪倉岳の間にあるこじんまりした山で、あまり有名ではないが新潟百名山のひとつだ。

白馬岳から日本海に続く縦走路はこの山のピークは通らずに新潟県側を水平に巻いている。そのため、鉢ヶ岳のピークを経由する稜線は積雪期のルートであって、無雪期は縦走路をはずれてピークの方には行ってはならないものとずっと思っていた。ところが2015年に公表された「新潟山のグレーディング」に鉢ヶ岳は掲載されている。また、各県ごとに登山ルートを紹介する書籍にも載っている。「なんだ、夏道もある山だったのか」と思った私には、鉢ヶ岳はいつか行ってみたい山のひとつとなっていた。

 

6時過ぎに蓮華温泉に着いたときには駐車場はすでに満車だったので、少し戻って道路脇の駐車帯に車を停めて鉱山道に向かう。駐車場を埋めた車の主はほとんどが大池経由で白馬岳へ行ったのだろう。鉱山道は誰も歩いていなかった。悪路というほどではないがあまり人を見ることのない道だ。鉱山道は高山植物が豊富で写真を撮りながら歩いているとコースタイム以内で歩くのは厳しい。


《展望台から県境稜線方面》


《雪渓の横断は4カ所》


主稜線の縦走路に出ると登山者がぽつぽつと現れるようになる。縦走路を雪倉岳の方に少し下ると鉢のコルに着く。ここから鉢ヶ岳の山頂を目指すのだが道標も赤ペンキのマークも何もない。白いザクにかすかに踏み跡があるだけだ。踏み跡はハイマツと脆い岩のやや急な稜線に入るとさらに薄くなる。しかし、ここを過ぎると様相が一変する。広々とした伸びやかな白い稜線が目の前に広がっている。そしてここで踏み跡はなくなっている。この先はどこでも歩けるのである。みんな自由に好きなところを歩くので踏み跡ができないのだろうか。緩やかな稜線を登って行くと山名板すらない静かな山頂に着いた。登山道のある道ではなかったが、人の多い北アルプスにあっては異色のなかなかいいところだ。


《縦走路合流点手前から鉢ヶ岳》


《山頂に続く広い稜線》


しかし、ちょっと待てよ、である。

この山にはコマクサがたくさんある。生育条件が厳しいせいか小ぶりなものが多い。三国境周辺のコマクサ群落のような豪華さはないが広い範囲に点々と咲いている。よく見ると砂礫の隙間にまだ花をつけない小さな株もいっぱいあって気をつけて歩いていても踏んでしまいそうだ。

それと、ここには地表に不思議な縞模様が見られる。帰って調べたら「構造土」というもので凍結によってできるらしい。貴重なものかどうかよくはわからないが、気づかずに歩いていると蹴散らしてしまいそうだ。

道なきところを自由に歩くことは楽しいことだろうし、あまり人の行かないピークに立つことも魅力的なことではある。けれど、歩くルートの定まっていないような山を登山ガイド的な書き物に載せていいのかなあとも思ってしまいました。


《白いコマクサ 砂礫と同色でわかりにくい写真》



《地表の縞模様》


もっとも、この山に人があふれることはないとは思いますが。


《鉢ヶ岳全容 2011.8.12三国境から