三伏峠~塩見岳~熊ノ平~間ノ岳~北岳

個人山行ku-ninn253

【日時】201881214日(お盆)

【メンバー】

【天候】晴れ/ガス/夕立

【山域】南アルプス

【地形図】

【時間記録】
<8/12>鳥倉登山口1410 - 三伏峠小屋1630
<8/13>三伏峠小屋400 - 塩見小屋640 - 塩見岳755830 - 小岩峰1120 - 熊ノ平小屋1240
<8/14>熊ノ平小屋330 - 三峰岳500 - 間ノ岳550610 - 北岳山荘720 - 北岳825850 - 八本歯ノコル925 - 二俣1035 - 広河原1205


 昔からの山仲間の間で思い出深い山行の上位にあがるのが19959月の会山行だった塩見岳だ。担当はsueさん。台風が接近中だったが、総勢9人のパーティーとなった

天気はもちろん悪く、塩見岳の山頂は深いガスで覆われていて視界はゼロ。記憶にあるのは三伏峠での大宴会と、担当sueさんの大胆な食料計画(2セット買うと安くなるということで、すべてが×2だった。ツナ缶5個パックが2セットだったり)。そして、sueさんの車が納車1ヶ月とかの新車だったこと。当人は林道状況を気にしてばかり。私たちにはまったく他人事だったが、雨脚は強まるばかりで、塩見岳に登頂した2日目にそのまま下山し、近くのキャンプ場に行くことになった。

 そのキャンプ場内に小屋があり、その小屋が開放されていたという奇跡的なことが起こった(と思っている)。半分が板張りの小上がり?になっていて、居住性抜群の空間。「神様は私たちを救ってくれたわ♡」と、大喜びでその小屋で一泊、温泉で朝風呂に入り帰路についた…という、荒天だった山ほど、山行としては忘れられないものとなる。

 帰りの高速のパーキングで今回の台風が〝戦後最大の台風〟だとしきりに言っていた。現在みたいに情報がリアルタイムに得られなかった時代だ。出発時、中止を検討したか??だが、行くだけ行ってみて、登れなければその時考えよう!と、ひとつのパーティーとしての仲間意識が強かったのかな、とも思う。


 今年は2年に1度開催されるトランスジャパンアルプスレースの年だ。日本海から太平洋まで415km8日間で駆け抜けるこのレース。2年前に登った南アルプスで選手たちに遭遇し、レースのとりこになってしまったku-ninn228。さて、今年も南アルプスで、と思っていたが、スタートが812日なので、休みが合わない。いくら4連覇中の望月選手だって、2日くらいでは南アルプスには来ない。どうしようかな、と思っていたところ、塩見岳のことを思い出した。23年ぶりに登る塩見岳。三伏峠から入り、トランスジャパンのコースを歩き、北岳を越えて広河原に下る計画とした。

 車を伊那インター近くの駐車場に止め伊那市駅まで歩き、飯田線で伊那大島駅に行き、バスで鳥倉登山口に向かった。全日とも朝は晴れ、午前中にはガスが湧き、午後には雨の天気となったが、初日の三伏峠までは夕立の後だったので濡れずに済んだ。

翌日は暗いうちに三伏峠を出発。塩見岳まで600mほどを登る。雲がなかなか晴れてくれなかったが塩見岳からは展望が得られた。蝙蝠岳のピークが目の前にある。あの時も蝙蝠岳に行ってみたい、と思っていたはず。23年ぶりに塩見岳に登頂し、蝙蝠岳とそのピークから二軒小屋に続く蝙蝠尾根を歩いてみたい、という思いが再燃した。縦走路=仙塩尾根は熊ノ平小屋まで小さなアップダウンを繰り返し標高を下げていく。ガスの中に入り雨が降り出す前に小屋へとただ黙々と歩き、夕立の前に小屋に着いた。

 熊ノ平小屋ではトランスジャパンの話で盛り上がった。ロードを含め全行程を数回にして歩く、というご夫妻もいた。そういえば、塩見岳の下りで声をかけられた。なんと今年の4月に登った谷川岳でお話をした千葉県のご夫妻だった。最初にお会いしてから4ヶ月で、それも違う山域でばったりとお会いするとは…そのご夫妻も一之瀬から仙丈ヶ岳を登り三伏峠から下りるというトランスジャパンルートということだった。

最終日は満天の星空の下出発した。こちらも間ノ岳まで600mほどの登りとなる。三峰岳あたりで夜が明け、間ノ岳からは素晴らしい展望が得られた。それまでは静かだった登山道だったが徐々に人が増え、北岳では登山者があふれている。下山に使った大樺沢も登山者が切れ間なく登ってきていた。それにひきかえ静かな広河原。予定より1便早いバスで北沢峠まで行き、仙流荘、高遠と乗り換え、インターに一番近いバス停で降りて駐車場に戻った。

「自己責任」「自己完結」が理念だというトランスジャパンレース。自身の強さはもちろん、山=自然に対してのしなやかさが求められるレースだ。今年も大勢の選手が駆け抜けた日本アルプス。私もいつかは全行程を歩いたみたい。何回も何日もかけて。


<鳥倉登山口からの登り始めは針葉樹林帯にジグザグに付けられた道を行く。

1/10から10/10までの道標があり、登りやすい道だった>


<三伏峠の小屋とテン場>


2016年に新築オープンした塩見小屋。塩見岳はガスの中で見えず>


<塩見岳は双耳峰で標高3047m西峰に三角点がある。このあたりから青空が広がってきた>


<標高3052mの東峰。こちらのほうが高い。後方は白根三山と甲斐駒ヶ岳>


<塩見岳からの仙塩尾根。中央が間ノ岳で左横に北岳。左奥が甲斐駒ヶ岳>


<突然現れた小屋。よく見なかったがなんだったのだろう?

 ここで熊ノ平小屋と塩見小屋の中間地点となる>


<熊ノ平小屋。山の奥深くに建つ居心地の良い小屋だった。住所はなんと静岡市葵区>


<熊ノ平小屋テラスから望む西農鳥岳>


<三峰岳手前からの富士山>


<間ノ岳山頂>


<間ノ岳から見た塩見岳から蝙蝠尾根。後方は荒川三山、赤石岳>


<北岳と甲斐駒ヶ岳>


<間ノ岳を振り返る>


<北岳山荘と北岳>


<北岳山頂。後方は仙丈ヶ岳と仙塩尾根>


<大樺沢>