個人山行
【日時】2019年5月1日(水)
【メンバー】山スキー突撃隊(Y,T,M)
【天候】曇り/晴れ/雨
【山域】浅草岳
【地形図】毛猛山
【実録時間】 六十里越トンネル新潟県側駐車場(標高745m)8:47 − 標高830m(シール登行) 09:10 − 電波反射板1125m 10:00 − 南岳 11:03〜11:20 − 標高830m(夏道) 11:56 − 六十里越登山口
12:13
令和元年の記念すべき初登は,鬼が面山の南岳である.
超大型連休黄金週間ゴールデンウイークは,新鮮味はないが桧枝岐の民宿に泊まって,翌日に燧ケ岳に登ることにした.
隊長との待ち合わせをどこにしようか考えているいるうちに六十里越の国道が連休に合わせて開通することを知った.
せっかくなので初日は今までノーマークであった,六十里越辺りで登れそうな(滑れそうな)山を地形図で探す.
第一候補,前毛猛山である.
第二候補,南岳である.
雪の量が分からないので,現地行ってみて決めることにする.
開通となった国道252号線を走る.
県境の六十里越トンネルに近づいても道路脇に雪はない.
第一候補,前毛猛山は即却下である.
スキーで破漕ぎをしている場合ではない!
第二候補,南岳の取り付きにも雪はない!
雪はないが,Y隊長は夏道を登ったことがあり,立派な夏道があるという.
明日は燧ケ岳に登る予定だが,天気予報ではこれから寒気が入り,あまり良くないようだ.
登るなら今日だろう.
しかも初登である.
今日しかない!
ここは気力を振り絞って雪のあるところまで,スキーを担いで登ることにしよう.
スキーをザックにつけて歩き出す.
隊長はザックにつけないで肩に担いで登る.
明日も天気が良くなるよう,げんを担ぐ代わりにスキーを担いでいるのだろうか.
【六十里越登山口】
夏道は標高で950mの付近からは,ほぼ水平につけられている.
六十里越の鞍部まで夏道を行く手もあったが,見上げると送電線の鉄塔が見える標高960m付近のところで雪が繋がっていることに賭け,シール登行に切り替えて夏道と分かれる.
隊長はそのまま肩に担いでさらにツボ足で登る.
【夏道と分かれる.】
ようやくシール登行であるが,なかなかに急登で暑い!
青空も出てきて暑い!
たちまちフリースを脱ぐ!
思わず日焼け止めクリームを塗りたくる!
岩と滝が出ているところを何とか回り込んでさらに登ると,そこには開けたブナ林が広がっている.
素晴らしい!
青空が目にまぶしい.
【ブナの林を担いで登る.】
【標高1,000m付近】
広い斜面を登っていくと電波塔(反射板)に至るほぼ東西に伸びる尾根が見えてくる.
遠目にも.その尾根にはとても乗り越せそうもない雪庇ができているのが分かる.
電波塔には直接は上がれそうもない.
少し遠回りとなるが,雪庇が一番弱そうなところまで大きく左手に回って標高1,090m付近で電波塔に続く尾根に上がる.
【標高1,090m付近で尾根に出る.】
尾根に上がると,まず守門岳が目に入ってくる.
そして,鬼が面山に続く目指す尾根が見えてくる.
どうやら雪は繋がっているようだ.
隊長は,ようやくここでスキーをセットする.
【左奥に守門岳】
【電波塔に続く尾根】
電波塔に出ると展望が素晴らしい.
遠くには博士山も見えている.
田子倉湖の先には名前も知らない,おそらく夏道などない雪に削られた鋭い峰々が続いている.
さらに遠くには明日登る予定の燧ケ岳も見えている.
【電波塔から:写真右の一番高いのは横山,その左奥に会津朝日岳】
【田子倉湖と遥か右奥に燧ケ岳】
ゆっくりと展望を楽しんで,先に進む.
送電線の下は夏道の部分にだけかろうじて雪が繋がっている.
【送電線下の尾根とその先に南岳】
【標高1,180m付近】
標高1,200m付近までは傾斜は無いが,わずかなでこぼこと立ち木を除けながらルート選びをしなければならない.
地形図で見るよりも尾根は広く感じる.
ただし,右手はすっぱり切れているので,良い子は覗き込まないようにしよう.
その標高1,200mを超えると尾根が広がり,傾斜も増すが,なんと小雨が降り出す.
小雨どころか,本格的な雨が降り出す.
おまけに風もそれなりだ.
なんと,日焼け止めクリームを塗ったばかりなのに,雨具を着る羽目となる.
どうやらスキー担ぎはげん担ぎにはならなかったようだ.
【南岳】
迷宮のような灌木帯を抜けると,南岳がはっきりとする.
最後の広い斜面を登りきると山頂(たぶん)である.
山頂ではあるが,いよいよ雨風に気合が入ってくる.
【南岳:てっぺんにかわいい雪庇が残っている.】
【シュルントでスキーをセット】
さらに視界も怪しくなってくる.
南岳は東側に小さな雪庇が残っているが,雪は切れている.
そのてっぺんまで登ることは,もはや考えられない.
その直下にできているシュルントに素早く避難してスキーをセットする.
昼の憩いもパスである.
雨風の中,残念ながら長居は無用,本日はこのまま下山とする.
【電波反射板】
迷宮灌木帯をなんとか滑り抜け,電波塔に至る.
風が強いのは山頂だけであるが,視界は下に降りても良くはならない.
それでも,風がないとずいぶん気分的に楽なものだ.
登ったルートを忠実に滑って夏道に出て,スキーは終わりだ.
再びザックにスキーを付けて登山口にとぼとぼ戻る.
こうして令和元年の初日は汗と涙と雨にまみれて終わった.
予想外の雨の中,それでも南岳まで狙い通りスキーで登られたことで,令和元年初登スキーは思いのほか感慨深いものとなった.
担ぎも20分程度で,まあ良しとしよう.
そして,本行程で最も厳しかったのは雨でも風でも涙でもなく,山頂手前の風によって矮性化した灌木帯ラビリンスなのであった.