白砂山

会山行 sue

【日  時】 201961-2
【メンバー】 会員3

【天  気】 晴れのちくもり(両日とも)

【山  域】 上信越

【行  程】 1日目 四万温泉 - 稲包山 三坂峠 - ムジナ平

       2日目 ムジナ平 上ノ倉山 白砂山 野反湖


 61日】

稲包山登山口7:50 - 赤沢峠9:45 - 稲包山11:3011:50 - 三坂峠13:00 – 1766m標高点15:35 - セバトノ頭16:25ムジナ平()16:50

 

群馬県のHPによれば、四万は群馬県北部のヤマビル分布の中心地らしい。

靴に入念にヒル除けのスプレーを振りかけて出発する。登山道の真ん中でフラダンスをして我々を出迎えるヒルを見ると血を吸われる前から血の気が引いてしまう。


《ヤマビルの棲む森》


ハルゼミの声が頭上から降り注ぎ、遠くから鹿の鳴き声が聞こえる。のんびり歩きたいが、ヒルのことが頭から離れない。危険地帯を抜ける赤沢峠まで一気に歩き通す。


《赤沢峠の休憩所》


登山道は送電線の巡視路も兼ねているようでよく整備されて歩きやすい。

途中で地元の人らしい単独行に会った。足首にビニールを巻いてヒル対策をしていた。

スプレーだけの自分の靴を脱いで足を確かめるのが怖くなった。


《稲包山に続く立派な登山道》


道は広葉樹林の中を緩いアップダウンを繰り返すが、稲包山の山頂直下だけは急傾斜で、これを登りきると360°の展望が広がる山頂に出る。


《稲包山頂から平標、仙ノ倉》


少しガスがかかっているが、これから行く県境の稜線も目的地の白砂山と思えるところまでずっと見える。この2000mの稜線はまさしく「天空の分水嶺」だ。

しかし、ただ、ただ遠い。長い。


稲包山から県境稜線まではわずかな距離だ。そしてここからが県境トレイルになる。右に行くと三国峠から谷川連峰。左は目指す白砂山だ。

この先は低木とササ原の中を歩くようになる。新緑にシャクナゲとムラサキヤシオが色を添え、白いムシカリが清楚な花を咲かせている。


《ムラサキヤシオ》


1時間で三坂峠に着き、少し登り返すと新潟県側の三国スキー場跡への分岐となる。そしてここから白砂山までが昨年8月に開通した区間だ。


《三坂峠に続く道》


新たな開通区間までは三国スキー場跡からはコースタイムで1時間40分だ。四万温泉からだと5時間もかかるが下山後の車の回収を考えると群馬県側からの入山となってしまう。

新区間の入口の看板には「上級者コース」と書いてあり、他にもクマがいるとか小屋がないとかいろいろ注意書きが綴られているが道は広く刈払われていて歩きやすい。


《昨年8月に開通した道》


最初はブナ林の中を行くが、しだいに針葉樹が現れて再びシャクナゲが出てくる。群馬県側は急斜面で展望良好、新潟県側はシャクナゲの林。そんなところをずっと歩く。


《シャクナゲの咲く尾根を行く》


緩いアップダウンを繰り返してなかなか標高をかせげないと思っていたら急な登りが2カ所出てきた。2カ所目の急斜面を登ると樹林帯が終わり広大なササ原となった。

樹林帯を出る前に夕食のタケノコとコシアブラをゲットできた。


《樹林帯を出ると展望が広がる》


残雪が点在するササ原を行くとオオシラビソの林となり平らな山頂のセバトの頭に着く。林内は残雪が多く注意していないと道を見失う。


《セバトの頭 山頂付近》


セバトの頭を下るとようやくテント場のムジナ平で2‐3張分の広さのササが刈ってある。予想どおり誰もいなかった。


《ムジナ平》


ムジナ平にはこのコース唯一の水場がある。ところが水場を示す導標もそこに行く踏み跡もない。ササ原が広がっているだけだ。

しゃにむにササをかき分けて沢を下りやっとのことで水を汲んできた。本日最大の難所だった。



62日】

ムジナ平5:15 - 上ノ倉山6:05 - 忠次郎山6:55 上ノ間山8:258:40 - 白砂山10:0510:30猟師ノ沢ノ頭11:30 - 堂岩山11:55 水場分岐12:2012:40 - 地蔵峠13:40野反湖14:25

 

ムジナ平からはまたササ原の道となるがよく刈払われている。さえぎるものがなく素晴らしい展望が広がる。


《上ノ倉山への登り》


上ノ倉山へは今回で一番の急な登りだったが、まだ道が荒れていなくてスリップすることもなく歩きやすかった。ほとんど名の知られていない山だが標高は2108mある。

山頂は少し木でおおわれているが展望は最高だ。


《北関東の山々》



《苗場山》


《佐武流山と岩菅山(左奥)


この先、群馬県側は急斜面でだいたいがササ原。新潟県側は樹林帯だが木は多くはなく展望は良い。


《次のピーク忠次郎山に向かう》


《白砂山と清津川源流部 背後は志賀高原の山々》


シャクナゲはなおも登山道を彩り、ミネザクラは3分咲きくらいで咲き始めていた。


《佐武流山から白砂山に続く稜線 手前はミネザクラ》


遠かった白砂山もようやく近づいてきた。これまで前日に稲包山で1名の登山者にあった以外は誰にも会っていない。


《白砂山が近くなった》


このまま白砂山までは誰にも会わないだろうと思っていたら、前方から黄色い姿がこちらに向かっている。近づくとサポート隊のNa氏だった。

白砂山頂で合流する予定だったが、白砂山を越えてこちらまできてくれた。

 

ガスはさらに濃くなりすっかり展望は効かなくなった。ゆるいアップダウンを繰り返しているといきなり目の前に白砂山山頂の木柱が現れた。


《白砂山山頂》


山頂でNa氏からたくさん担ぎ上げてもらった食料をありがたくいただき、白砂山に到達した証拠写真を撮って下山にかかった。

 

下り始めてすぐにもう1人のサポート隊員Ka氏が登ってきた。Ka氏は山頂を折り返してすぐに本隊に追いついた。

 

白砂山からは下りのみと思いこんでいたが、そう甘くはなかった。猟師ノ沢ノ頭堂岩山とまだ2000mを越えるピークが続いている。下山なのにいくつも登りがある。

この日は名前のある2000m以上のピークだけでも8つ踏んでいる。

 


《白砂山の下りから佐武流山》


堂岩山を過ぎるとようやく標高を下げるようになる。

水場分岐の広場で休憩するとKa氏のザックの中から冷えた飲物が出てきた。これまた感謝感激である。


地蔵峠で秋山郷へ続く道を見送り、ハンノキ沢を渡り、野反湖への最後の坂をあえぎながら登るとゴールの野反湖の駐車場が見えた。


《野反湖》


 2日間ともほぼコースタイムで歩き、だいたい予定どおりの山行だった。

 総じて展望の良いコースで、特に稲包山頂、セバトの頭の手前、ムジナ平から堂岩岳までの間がいい感じだ。

白砂山ではガスに包まれてしまい残念だった。



《上ノ間山から歩いてきた稜線を振り返る》


稲包山から堂岩山まではほぼ全区間でシャクナゲが咲いていた。時期的にもベストだった。これを3人で独占したのだからこの上ない贅沢だった。


《樹林帯のシャクナゲは木も大ぶり》


車の回収ではNaのご厚意で四万の登山口まで50の道のりを送ってもらった。

 

多くの方のご支援で憧れの稜線を歩くことができました。